節曲げぬ闘志に感銘
私は群馬の出身です。50年ぐらい前、高崎経済大学で様々な不正が行われ、学生が立ち上がり、次々と逮捕されました。当時私は27歳で弁護士に成り立てでしたが、その学生たちをずっと弁護してまいりました。
この学生の中に星野文昭さんがおられたわけです。去年の夏、星野さんの同窓生で、群馬で星野さん奪還運動をやっている伊藤成雄さんが私の事務所に来て、星野さん解放のためにぜひ手助けをしてもらいたいと要望がございました。私はその時、資料を全部読ませて頂いて、腹の底からこれは酷い、こんなことが許されていいのかと怒ったのです。なぜかと言いますと、私は村山政権の時に法務政務次官を仰せつかり、石川一雄さんの仮釈放について、部落解放同盟の皆さんといろいろと相談をさせていただいたという経過がございます。この経験と合わせて、まず44年間、節を曲げず闘いぬいた星野さんの闘志、魂に触れて、私は感銘を受けたわけです。これは、どんなことをしても奪還をしなきゃならないと、私は腹をくくった。
そして、ピンときたのは憲法第36条です。公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対に禁止するとあります。今、星野君が受けているのは、まさにこの残虐な刑罰にほかならないじゃありませんか。こんなことが許されてはならない!
そして、11回と12回の更生保護委員会への要請行動に参加しました。すると、更生保護委員が出て来ない。そんな無礼な話はない、われわれの生の声を聞かずして、なぜ判断ができるんだ!と、私は怒って追及しました。役人は真っ青になって何も答えない。さらに、星野君の健康状態はどうなっているんだ。いろいろ悪い所があるし、72歳だ。万万が一のことがあったら誰が責任を取るんだ!検査し医者に見せてくれ、それが人間のやることじゃないのか!と追及した。
この闘争は、政治的な側面を否定できない。安倍が更生保護委員会の後ろにちらちらしている。私は安倍は"亡国の宰相である"と思っている。あの戦争法を通し、集団的自衛権を認めた。もう自衛隊は専守防衛ではなくなった。そういう自衛隊を、憲法の中に堂々と書き込む。これが改憲の真意、本質です。そんなことは、体を張っても絶対に許さない。従って、今年の参議院選挙で安倍にとどめを刺しましょう。星野君をそれまでに奪還したいが、安倍を倒せば、また状況も変わると思います。
さらに、国連の人権理事会に通報し、世界的な渦を巻き起こそう。私は星野奪還を皆さんと一緒に頑張ることをお誓いします。 |
星野さんも遺族も解放を
私は新潟県の佐渡島から来ました。星野解放闘争のことは、昨年初めて中身を知りました。
佐渡では短期間で100筆を超える仮釈放署名が集まりましたが、それは佐渡では部落差別解消に取り組む市民団体「佐渡扉の会」と市役所が一緒に普段から人権問題に取り組んでいることの成果と思います。
星野さんが殺害したとされる機動隊員が佐渡出身と知りつつも「44年は長すぎる」と市民も署名をしてくれました。そこで私はご遺族が真相を知らないなら、この星野闘争は星野さん解放だけの問題ではなく、ご遺族にとっても大事な解放だと考えました。そこで四国地方更生保護員会に請願を出すことを考えました。
そして四国地方更生保護員会にファックスを送りましたが、お電話で「わざわざ遠いところから来なくてもお手紙でいいですよ」と。私は「自分の言葉でも伝えたいので行きます」と行く、来なくていいの話しに終始しました。
次の電話は「一般の方からの請願は受けられません」から始まりました。私は「それを書面で示して下さい」と言いましたら「個別案件は守秘義務があります」との回答。私は「守秘義務と憲法で定められた請願権はどちらが上ですか。対応が間違えば、ことは大
きくなることもありますよ」と厳しく指摘。
3回目の電話では「ご要望を受けられません。ご家族と弁護人のみに対応します」「日程が合わない」と説明は二転三転しました。
そこで私は請願をもって11月14日の申し入れに参加。鈴木弁護士は冒頭に「請願を受け付けないとは許されない。この対応をするなら裁判にする」と述べられ、私は「え、その裁判の原告は私かしら」とドギマギしましたが、「請願は受け付けます」という回答をもらいました。
佐渡は毎年人権展で人権教育、人権啓発に真剣に取り組んでいます。私はこの中に星野さんのコーナーも設けられるのではないかと考えています。皆さんも地元の人権展に星野さんのコーナーを設けられ、広げて行かれたらいいのではないかと思います。 |