−事務局報告−
全証拠を開示させ、ただちに再審開始を
2013・6・30
〔1〕国家権力のスパイ荒川碩哉を満身の怒りで弾劾する
(1)権力中枢の攻撃を打ち破る
革命的共産主義者同盟(革共同)は『前進』第2588号において、国家権力中枢が革命党破壊のために送り込んだスパイ荒川碩哉を摘発し、打倒したと発表しました。荒川は、星野文昭さんと共に渋谷闘争を闘い、被告団として裁判闘争を闘ってきた人物です。
私たちは、満身の怒りで国家権力と荒川を弾劾します。荒川が行ったのは、政府中枢の意を受けて労働者階級の闘い、とりわけ国鉄闘争を破壊し、革命運動を分裂させようという許しがたい裏切りです。
重要なことは、荒川を摘発・打倒したのが労働者階級の団結と階級的決起だということです。階級的労働運動の地を這うような実践が生み出した労働者階級の団結と闘いが、荒川の正体をあぶり出したのです。
この摘発と打倒は、まさに歴史的な勝利です。荒川を打倒することによって労働者階級の闘いは、国家権力と絶対反対・非和解的に対決し抜く新たな段階に突入しました。星野闘争も、新たな段階での闘いに突入します。
革命運動は原則的に闘い抜くことによって、潜入したスパイを浮き上がらせ、摘発・打倒する力を持っています。この中にこそ、労働者階級勝利の根源があります。荒川を打倒した階級的力を巨大に発展させて、戦争と改憲の安倍政権打倒に向かって総決起しよう。
摘発された事実の何とおぞましいことでしょうか。
1991年に出獄した荒川は、95年に内閣情報調査室(内調)のスパイとなり、2000年から2001年には公安調査庁(公調)とも関係を持って、双方から報酬を得ながら革命闘争と労働運動の情報を売り渡していたのです。この関係は、摘発されるまで18年間も続きました。
それだけではありません。荒川は、動労千葉と国鉄闘争に対する反発をあおり、革命闘争を分裂させるための策動を長年にわたって続けてきました。あらゆる悪質分子と関係を持ち、情報を交換しながらうごめいてきたのです。当然にも、その策動は完全な破産に終わりました。しかし、荒川の罪は万死に値します。
(2)星野闘争への敵対を許すな
私たちが何より許せないのは、荒川が行ったことは星野文昭さんと星野闘争に対する裏切りであり、星野闘争破壊だということです。
荒川は、1970年代から80年代にかけて「星野・奥深山・荒川裁判」の被告として裁判闘争を闘いました。星野さんが信頼と期待を寄せる仲間だったのです。星野闘争を闘う者として、全身の血が逆流するような怒りを覚えます。
1996年、星野さんは第1次再審を申し立てました。これは、70年安保・沖縄闘争への階級的報復としてかけられた死刑求刑−無期懲役とどこまでも闘い抜き、国家権力打倒まで労働者階級と共に闘うことを宣言する渾身の決起でした。星野さんは、本土・沖縄の労働者人民の分断攻撃を根幹において打ち破り、70年闘争の地平を獄中において貫いているのです。
このことに恐怖した国家権力が荒川をスパイに仕立て上げて送り込み、星野さんの闘いを破壊しようとしたのです。荒川を打倒したことは、星野闘争が新自由主義攻撃、とりわけ新自由主義司法と真っ向から闘って勝利する道を開きました。この闘いを大きく発展させる中にこそ、星野さんを取り戻す展望があります。
本日の集会を大成功させ、今こそ、星野文昭さんを取り戻そう。
〔2〕階級攻防の現局面と星野さんを取り戻す闘い
(1)6・9集会の勝利から4ヶ月の闘いへ
6月9日に開かれた国鉄闘争全国運動の集会は、怒りに燃えた1800人の参加で、闘う労働組合を甦えらせ、安倍政権打倒へ総決起する闘いとして大成功しました。
国鉄決戦が、反原発闘争・改憲阻止闘争と一体で安倍政権打倒の最前線に押し上げられました。安倍政権は、原発再稼働と輸出、賃金・雇用破壊から改憲への道を開こうとしていますが、それが労働者階級の怒りに火を付けることは明白です。
6・9国鉄闘争集会の成功は、9・25判決にいたる4カ月決戦を、日本の階級闘争を決する最大の闘いに押し上げました。外注化阻止・非正規職撤廃の闘いは、すべての労働者民衆の命運をかけた闘いです。
そのただ中で、山本太郎さんが参議院選挙に東京選挙区から立候補します。山本さんの主張は、「被曝させない TPP入らない 飢えさせない」の3点です。ここに、反原発闘争の先頭で闘ってきた山本さんのすべてが込められています。
山本さんの決起は1000万人を対象にし、100万人を獲得する闘いです。山本さんの当選をかちとることは、安倍政権打倒に向かう労働者人民の巨大な決起を切り開くものとなります。私たちも総力で闘い、山本さんの当選をかちとろう。
動労千葉鉄建公団訴訟は、国鉄分割・民営化の真実を白日の下に暴き出すところまで前進しました。これに恐怖した東京高裁難波裁判長は5・8結審を強行し、その一方で、東京地裁民事第11部の統括判事・白石哲が突然更迭、左遷されるという事態(白石事件)が引き起こされました。このことは、国鉄決戦こそが政府・国家権力中枢と激突し、その新自由主義的矛盾と破綻を心臓部から引き出し、階級的力関係を変える闘いとしてつらぬかれていることを示しています。
労働者人民は、新自由主義攻撃によって文字通り生きていけない現実に突き落とされています。外注化・非正規職化への怒りが、世界と日本で燃え上がっています。今、最も求められているのは、絶対反対・階級的団結で闘う労働組合の復権です。動労千葉、動労水戸はその最先頭で闘っています。
青年労働者を先頭に、4大産別・全産別で歯を食いしばって闘う労働者の団結力が、安倍政権と資本家たちを震え上がらせる情勢の到来です。
原発再稼働絶対阻止へ、7・11NAZEN東京集会から、8・6ヒロシマ、8・9ナガサキに向かって闘いましょう。
6月27日、東京高裁山崎学裁判長は、迎賓館・横田爆取でっち上げ裁判において、まったく不当な控訴棄却の判決を出しました。証拠に基づく事実認定はなく、「推認」「推論」による決めつけがあるだけです。
政治危機の時代には、裁判所が治安弾圧の前面に立ちます。白石事件に示される動労千葉鉄建公団訴訟においても、三里塚裁判、爆取裁判、そして星野再審闘争においても、裁判所は公正さの建前をかなぐり捨て、資本と政府の利害を露骨に貫徹する機関に成り果てています。世界大恐慌と3・11情勢の中で、司法権力が労働者人民弾圧の前面に出てきているのです。星野闘争は、まさに国家権力、新自由主義司法と最先頭で闘っています。
(2)危機と破綻にあえぐ安倍政権を打倒しよう
世界大恐慌の激化の下で、各国の金融緩和は、世界経済の絶望的なバブル化を押し進め、過剰マネーがあふれる世界的な金融緩和戦争の激化のはてに、世界的なバブル崩壊の破滅と果てしない争闘戦的激突をもたらそうとしています。その先頭を走っているのが、アメリカであり、安倍政権です。
6月17日からイギリス・北アイルランドで開かれた主要8カ国(G8)サミットは、大恐慌がさらに本格化し、大国間・帝国主義間の争闘戦が戦争に向かって激化していることをまざまざと示しました。
アメリカでは、「財政の崖」をでたらめな金融緩和政策で乗りこえたと称していますが、真の没落はこれからです。実体経済の回復はまったく進まず、ドル暴落の危機は深まっています。一切の犠牲を労働者民衆に転嫁する攻撃に対して、ILWU(国際港湾倉庫労働組合)を中心に戦闘的なストライキが闘われています。
ヨーロッパにおける危機も深化し、ギリシアにおける緊縮策に対して怒りのゼネストが叩きつけられています。イタリア、スペイン等で労働者の闘いが燃え上がっています。
「アベノミクス」なるものは早くも破綻を開始しました。でたらめな金融緩和は実体経済の回復をもたらすことなく、株価は乱高下を繰り返しながら暴落し、長期金利も上昇を続けています。
安倍政権は、「成長戦略の基軸」として原発再稼働と原発輸出を強行しようとしています。さらに、新幹線等インフラのパッケージ輸出を追求して、アジア・中東諸国への訪問を繰り返しています。その一方で沖縄へのオスプレイの配備と訓練を強行し、あくまで辺野古新基地建設を強行しようとしています。これは、フクシマ・オキナワの怒りを踏みにじり、改憲・戦争に突き進む攻撃です。
労働者階級を先頭に安倍政権打倒の闘いが燃え上がっています。福島においては、原発事故から2年3ヶ月が経過しても、事態はいっさい収束されていません。「除染」作業はあまりにもでたらめで、放射線管理地域と同じ環境での生活を数十万人の福島県民が強いられてています。
沖縄では、オスプレイの配備と訓練の強行、辺野古新基地建設に対して、基地労働者を先頭に、沖縄を「基地の島」から「国際連帯の島」へ変える闘いが実現されています。
三里塚は、7月29日に迫った市東さん裁判の判決を迎え撃つ闘いが進んでいます。市東さんの農地には、「星の木」があります。7・14千葉市内デモに決起し、市東さんの農地を死守しよう。
生きた改憲阻止闘争としての裁判員制度廃止の闘い、TPP絶対反対の闘い、賃下げ・福祉破壊との闘いが全国で進められています。
学生運動は、国家権力の弾圧を打ち破って、力強い前進をかちとっています。不当逮捕された総計125人全員が完黙・非転向を貫き、広島大学・東北大学等、新たな時代の学生運動の発展をかちとっています。
動労千葉・動労水戸を先頭に、4ヶ月決起の勝利で安倍政権を打倒しよう。
(3)星野再審闘争の現局面
第2次再審の異議審は、証拠開示請求を巡り、東京高裁、東京高検との激しい斬り合いの局面を迎えています。3月13日に続いて、第2回目の三者協議が7月19日に設定されました。最大の攻防は、昨年12月4日に請求した、現場目撃者11名の供述調書の開示と写真ネガの複写です。
第1次再審闘争は、確定判決の基軸証拠であるKr供述が誤っていると認めざるを得ないところに最高裁を追いこみました(2008年特別抗告棄却決定)。ここから出てくる結論は、再審開始・星野さん無罪以外にありません。
にもかかわらず、昨年3月30日、東京高裁第11刑事部(若原正樹裁判長)は、弁護団が求める証拠開示を行わないまま、第2次再審請求を棄却しました。若原正樹裁判長は、「一郎丸写真」に関して、「不鮮明ながら損傷らしき痕跡」があると主張しています。
ふざけるな! 弁護団は、「写真が不鮮明だから、ネガの精密な鑑定を実施する必要がある」と主張し、繰り返しその開示を要求していたのです。それを拒否しておいて、「不鮮明ながら」などというセリフが、どこをどう押したら出てくるのでしょうか。
「足利事件」「布川事件」「東電女性社員事件」等が示したことは、刑事訴訟法が再審開始の条件と定める「新規かつ明白」な証拠は検察官が隠しており、それを開示させることによって、再審・無罪の道が開けたということです。その検察官が、ぬけぬけと「開示に応じる意思はない」という「意見書」を出してきたのです。
これに対して、3・5、4・22と二波の東京高裁包囲デモを闘いました。4月22日には、署名提出行動を行いました。ビデオ国賠と面会・手紙国賠裁判の時は、必ず裁判所前街宣を行って来ました。
本年1月10日、共同代表の柴田作治郎さんが逝去されました。
1996年に北海道・救う会の代表、2002年に全国再審連絡会議の共同代表に就任して、キリスト者としての固い信念を貫いて、星野文昭さん解放のために闘ってこられました。2006年には、徳島刑務所に行って星野文昭さんと面会しています。
柴田さんの意思を引き継ぎ、星野文昭さんを取り戻そう。
〔3〕星野闘争勝利の基本方針
(1)星野闘争は新自由主義との真っ向からの対決
1.38年間不屈の闘い
星野文昭さんは、1971年11月14日、目前に迫った沖縄返還協定の批准を阻止するために渋谷闘争に決起しました。機動隊は各所でデモ隊を襲撃し、池袋駅では大阪から上京した教育労働者・永田典子さんを虐殺しました。星野さんをリーダーとする労働者・学生約200名は機動隊の壁を突破して渋谷に突入し、その中で、1名の機動隊員が死亡しました。
11・14闘争は、11・10沖縄ゼネストを頂点とする沖縄労働者人民の闘いに連帯し、本土−沖縄の労働者人民の分断攻撃を打ち破る歴史的闘争として闘われました。ベトナム侵略に対する国際的連帯の闘いであり、70年安保・沖縄闘争の頂点をなす闘いです。
この闘いに驚愕した国家権力は、許しがたい報復弾圧に走りました。星野さんを「機動隊員殺害の実行犯」にでっち上げたのです。79年、検察官は死刑を求刑し、83年、東京高裁草場良八裁判長は懲役20年の一審判決を破棄して無期懲役を宣告しました。87年の上告棄却によって刑が確定し、星野さんは徳島刑務所に送られました。この過程は国鉄分割・民営化の攻撃と完全に一体です。
私たちは、2009年の全国総会において、「労働者階級の力で星野さんを取り戻す」方針を決定しました。これは、前年の最高裁・特別抗告棄却決定をいかにして打ち破るかという必死の討議の中から生み出された方針です。
獄中38年、絶対反対を貫く星野さんの闘いは、新自由主義司法を打ち破る闘いであり、同時に、国家権力の人権侵害や不正義に対して闘う労働者人民との強固な団結を生み出しています。
2.全証拠開示大運動は新自由主義下の司法反動を打ち破る闘い
資本主義の危機の中で、絶望的な延命のために新自由主義攻撃が激化しています。大企業の利益を唯一の基準にして、労働者の団結や人間的つながりを破壊する新自由主義は、司法においても、人権や真実、公平・公正などを無視抹殺し、国家や大企業を防衛するむき出しの暴力機関としての本質をあらわにしています。
全証拠開示大運動は、警察・検察が集めた証拠を全部出させ、国家によるでっち上げをあばき、星野さんの無実を明らかにする闘いです。それは、国家権力、新自由主義司法との真っ向からの闘いになります。
裁判所の人権侵害やでっち上げと闘う多くの人たち、国鉄分割・民営化の国家をあげた不当な攻撃をあばき、1047名解雇撤回闘争を闘う裁判、農地法を使って市東孝雄さんの農地を奪おうとする三里塚裁判などと一体に、司法権力を追い詰めて行きましょう。
3.広範な労働者人民に訴え賛同と署名を集めよう
検察官に全証拠を出させるには、労働者階級人民の力で、裁判所と検察庁を徹底的に追い詰める闘いが必要です。裁判所も検察庁も破綻と危機を深めており、労働者人民の怒りはふっとうしています。
正義と真実を求める声は圧倒的に高まっており、全証拠開示を求める署名はどこでも圧倒的に集まります。弁護士274人の賛同は、大きな威力を発揮しています。
全国の職場、地域に打って出て、署名を集めよう。思い切って広範な人たちに署名を拡大して、大きな社会的力を生み出そう。星野救援会を拡大しよう。
(2)オキナワ・フクシマの怒りと一体で闘おう
「『復帰』41年 5・18沖縄集会」の基調報告は、「星野文昭さんこそ、国際連帯の象徴であり、分断を乗り越える力だ」と提起しました。
戦後の沖縄の労働運動は、基地労働者の闘いを最先端とする攻防点として闘われてきました。70年安保・沖縄闘争のただ中で「復帰」闘争の主力部隊として登場した全軍労の闘いと組織を破壊するために、米軍は幾度にもわたる大量解雇攻撃をかけてきました。これに対して、全軍労は牧港支部を先頭に米軍の弾圧をはね返し、基地内決起を含む数次にわたる激しいストライキ闘争で反撃しました。
沖縄の労働運動と階級闘争の一切をかけた闘いとして、基地労働者をめぐる歴史的決戦が到来しています。全世界で吹き荒れる新自由主義攻撃は、それが凶暴であればあるほど、万国の労働者があらゆる分断をのりこえて団結する条件を生み出しているのです。「外注化反対・非正規職撤廃」はまさに全世界の労働者階級のスローガンなのです。今こそ基地労働者の闘いを中心に、国際連帯の闘いで労働者階級が勝利する時代が始まったのです。
4月28日、沖縄現地と一体となって闘う「在本土沖縄労働者会議」が結成されました。新自由主義と闘う沖縄闘争、国際連帯闘争の担い手・牽引者として在本土沖縄出身労働者・青年の本格的決起が始まったのです。「基地の島」であり「大失業の島」である沖縄からの出稼ぎ労働者・定住労働者としての在本土沖縄出身労働者・青年は、沖縄の労働者階級の一部であり、日本と世界の労働者階級の一部なのです。歴史的決戦に入った沖縄闘争の勝利に向かって在本土沖縄労働者・青年の決起が開始されたことは決定的です。
日米政府が、沖縄労働者人民に「基地の島」を強制している現実こそ、沖縄が全世界の労働者の団結の要となる根拠なのです。まさに「基地の島」から「国際連帯の島」へ! なのです。
3・11大震災と福島原発事故は、「原子力ムラ」の現実の暴露をとおして、国家と資本の正体を暴き出すものとなりました。
何重もの下請け構造をつくり電力会社や原子炉メーカー、大手ゼネコンは責任を取らず、被曝労働を強いられるのは無権利・超低賃金の非正規職労働者なのです。大学とマスコミを買収して、それが「未来のエネルギー」などと言いふらしてきました。すべてがウソだったのです。ウソにウソを塗り重ねてこの資本主義社会は、最後の延命形態である新自由主義によって人間社会をとことん破壊して生き延びようとしています。
核の出発点は、第2次大戦下での原爆開発と広島・長崎への原爆投下にあります。直後の死者は広島12万人、長崎7万人。その後5年間で、それぞれ20万人、14万人が死亡しました。まさに無差別の大量殺戮にこそ、核の本性があるのです。
安倍政権は、年内にも7原発・14基の原子炉の再稼働を企んでいます。さらに、原発の輸出を経済政策の基軸に据えようとしています。
〔4〕第2次再審に勝利しよう
(1)確定判決の証拠構造
星野文昭さんを38年間も監獄に閉じ込めているのは、1983年の確定判決(東京高裁第11刑事部・草場良八裁判長−後の最高裁長官)です。確定判決は、星野さんが@鉄パイプで機動隊員を殴打した、A倒れた機動隊員に火炎びんを投げるよう指示をしたと認定しました。一審が「未必的殺意」としていたものを「確定的殺意」と認定替えし、これを最大の根拠として無期懲役を言い渡しました。
確定判決は、殴打行為に関してはKr供述(2・14検察官調書、4・26検察官調書)をOt供述とIt供述で補強し、火炎びん投てきの指示に関してはAo供述(2・16検察官調書)と、Ar供述(4・12検察官調書)を核心証拠としています。
確定判決には、星野さんを有罪とする物的証拠はありません。あるのは、デモに参加した学生6人の供述調書だけであり、しかもそのうち3人は未成年者です。絵に描いたようなえん罪の証拠構造です。
6人のうち5人は、公判廷で「供述調書は取調官の強制と誘導で強いられたもの」と真実を証言し、残る1人は証言拒否でした。つまり、公の法廷で検証された供述調書は1通もないのです。
にもかかわらず、裁判長草場は「公判廷での証言より供述調書の方が信用できる」と強弁して、星野さんを無期懲役にしたのです。
(2)確定判決を打ち破る闘い
1.Kr供述の崩壊
第1次再審闘争は、12年間に及ぶ闘いによって、ついに確定判決を大きく揺るがす決定的な地平をかちとりました。星野さんの当日の服の色が「きつね色」ではなく、「薄青色」であったことを最高裁に認めさせたのです(2008年特別抗告棄却決定)。
殴打行為に関する核心的証拠であるKr供述は、@きつね色の服装の人が機動隊員を殴っているのを見た、Aそのような服装の人は星野さんしかいなかった、Bしたがって殴っていたのは星野さんだ、という独特の三段論法になっています。Kr供述は、「顔は見ていない」と明言しています。服装の色が違うのは、決定的な問題なのです。色が違うことからは、星野さんは殴打者ではないという結論以外に出てきません。
しかしながら、最高裁は、Krは服装の色は間違えたが、星野さんが殴打したことは「声で分かった」とか、「後ろ姿で分かった」と言い張り、特別抗告を棄却決定したのです。
これは、国家意思を貫くための無理を承知の強弁です。Kr供述は、一番大事な部分で崩壊しているのです。第2次再審は、この地平で闘われます。
2.Krは殴打現場を通り過ぎた
Krは、供述開始から間もない1972年2月8日に、警察官によって殴打現場に連れて行かれました(「現場引き当たり」)。その時に、決定的に重大な事態が起きました。
Krは、殴打現場がどこか分からず、そのまま通り過ぎてしまったのです。あわてた公安刑事が連れ戻し、「ここだろう、ここだろう」と執拗に迫って、その結果、きわめてあいまいな形で殴打現場だと認めさせられたに過ぎないのです。
しかも、Krが現場に行った時はすでに路上にチョークで印がつけてあり、それに合わせる形での供述しか許されませんでした。検察・警察は、星野さんを機動隊員殺害「実行犯」とする方針を予め持ち、すべてをそれに合わせてでっち上げて行ったのです。
このことをKr自身の控訴審「陳述書」において、怒りを込めて告発しています。Krには、殴打現場を通り過ぎてしまう程度の記憶しか無かったのです。
そのKrが、総計27項目にもわたる内容を、まるでビデオテープを再現するように供述しています。その中には、現場を見ていた近くの住民の人数や服装まで述べています。草場は、このようなKr供述に「任意性」と「信用性」があり、法廷証言より信用できるとして、星野さんに無期懲役を言い渡したのです。
3.Aoは「火炎ビンを投げろ」を聞いていない
確定判決が、火炎ビン投てき指示の証拠とするAo供述は、星野さんが「火をつけろ」と言ったことになっています。これは、他の学生の供述調書にも、民間目撃者の供述調書にも出て来ない特異な言葉です。
なぜAoだけが「火をつけろ」なのでしょうか。検察官、警察官にとっては、「星野さんが言った」という供述さえ得られれば、後はどうでも良かったからです。彼らは、「火をつけろ」というセリフを変えるように下手に迫ったら、供述全体をひっくり返す恐れがあると危惧し、そのままにしたのです。でっち上げを自覚したでっち上げなのです。
4.『厳島鑑定書』
再審弁護団は日本大学の厳島行雄教授に、Kr、Ao、Arの3人の供述調書の鑑定を依頼しました。厳島教授は、実際の闘争現場よりも記憶が残り易い条件設定の下に、複数の被験者を使った殴打実験を行い、その2ヶ月後に、実験参加者の位置、服装、持ち物、行動などの記憶再現を行ないました。
Krは、闘争から3ヶ月経って逮捕されました。殴打現場を通り過ぎてしまう程度の記憶しかないのに、わずか1分程度のできごとについて、27項目にわたる供述を行っています。「厳島鑑定書」は実験結果に踏まえて、Kr供述調書が検察官・警察官の誘導によってねつ造されたものであり、真実の記憶に基づくものではないことを証明しました。
5.「一郎丸写真」の発見
検察官は、第2次再審請求の三者協議において、159枚の写真を開示しました。
その中に、星野文昭さんを写した1枚がありました。「一郎丸写真」の発見です。東急本店前を走る星野さんが右手に持つ鉄パイプは白い紙がまかれたままで、曲がったり損傷したりしていません。「機動隊員殴打」の痕跡などどこにもないのです。
まさに、無実を示す「新規かつ明白」な証拠の発見です。
これ以降、検察官はいっさい証拠開示に応じなくなりました。「一郎丸写真」が若干不鮮明なため、「より精密な鑑定を行うためにネガを開示せよ」と迫る弁護団に対して、「ネガが傷つく恐れがある」という不当な理由をこじつけて開示を拒み続けました。
6.星野さんは十字路にいた
機動隊員が攻撃を受けている時、星野さんはデモ隊のリーダーとしてそこから10数メートル離れた十字路に立ち、いつ襲撃してくるか分からない機動隊の動きに全神経を集中していました。これは、リーダーとしてあまりにも当然の行動です。
星野さんはその時、NHK方面に出てきた別の機動隊に注目し、その背後を走る車のフロントが光るのを見ています。これは、殴打行為に参加していたら、絶対に見ることのできない光景です。
弁護団は11月14日の午後3時半ころの太陽の角度を検証し、NHK方向を走る車のフロントが光って見えることを明らかにしました。星野さん無実の積極的証明です。
7.3・30棄却決定弾劾
昨年の3・30棄却決定は、第2次再審請求を退けました。
『厳島鑑定書』に追いつめられたあげく、「捜査官による誘導もそれが不当なものでない限り有効な記憶喚起方法になる考えられる」という暴論を展開しています。これが、裁判官の言葉でしょうか。不当でない誘導など存在しません。3・30棄却決定は、裁判としてはあり得ないような暴論を展開する以外に国家意思を貫けなかったのです。
「一郎丸写真」に関しては、先に見たように「不鮮明ながら傷跡のような痕跡」があると主張しています。本当に怒りに耐えません。
光の問題についても、星野さんが十字路を通過する時にちらっとと見ることができると、机上の空論で反論しています。そんなことが可能かどうか、現場に行ってみろ!
Kr供述の色の問題については、「色は間違えたが、星野さんの特定は正しい」と強弁しています。この3・30棄却決定を覆すのが当面する最大の闘いです。
(3)全証拠の開示をかちとろう
第2次再審に勝利するためには、全証拠の開示が絶対に必要です。
2010年の「足利事件」、2011年の「布川事件」、2012年の「東電女性社員事件」の再審・無罪が示したことは、無実の証拠は検察官が持っているということです。
全証拠開示大運動の連続学習会第3回の講師である元「無実のゴビンダさんを支える会」
事務局長の客野美喜子さんも、「無実の証拠は検察庁の倉庫から出てきた」と指摘しています。「布川事件」の桜井昌司さんは、検察官と国家権力の責任を追及するために、国家賠償請求訴訟を起こしました。
星野さんの再審・無罪を、全証拠開示大運動で切り開こう。
現在、特に強く開示を求めているのが、民間目撃者の供述証拠です。警察の捜査資料にも民間目撃者から調書をとったと記載があるし、Kr供述も近所の人たちが近くで見ていたと供述しています。
さらに写真ネガの開示と複写です。星野さんが持っている鉄パイプに殴打の痕跡がないことが、物証によって証明できます。
その上で、膨大な捜査資料を全部出せということです。
警察の「捜査状況報告書」等の中に、星野さんをでっち上げ経過が必ずあります。6人のデモ参加者の「取調状況報告書」などで、警察・検察が6人の供述を捏造した事実も必ず判明します。
国家権力が唯々諾々と証拠開示に応じる訳がありません。星野さんの獄中38年、不屈非妥協の闘いと一体に、国家権力との絶対非和解の闘いとして、全証拠開示大運動の全人民的発展を勝ち取り、階級的力でそれを強制しましょう。
(4)ビデオ国賠に勝利しよう
1.証拠隠滅を許すな
現在進められているビデオ国賠は、第2次再審の重要な一環をなす闘いです。
警視庁公安部が「紛失」したとするビデオテープ二巻は、1971年11月14日当日のテレビニュースを警察が録画したものです。法廷(第49回公判、1972年2月17日)で目撃者がそれを見ながら証言した4日後に、裁判所が警視庁公安部に「保管委託」し、警視庁公安部が「紛失」したと言うのです。
証拠採用された証拠品は、大き過ぎるものあるいは危険物など例外を除いて、裁判所庁内に保管することが刑事訴訟法で決められています。ビデオテープはこの例外規定に当たりません。
警視庁公安部は証拠品の保管に当たっては帳簿を付けることにしているにもかかわらず、「帳簿が存在しない」と主張しています。
これは、裁判所と警視庁公安部による「証拠隠滅」に他なりません。
2.全証人却下・結審策動弾劾
5月14日の第12回裁判で、山田明裁判長は全証人の採用を却下し、次回裁判で結審と通告してきました。事実関係全てに蓋をして、星野さんに無期懲役を強制したまま責任を逃れようとする断じて許せない決定です。
ビデオテープを「保管委託」した裁判官、「保管承諾」した警視庁公安総務課長らを法廷に引きずり出し、一切の悪事を自白させましょう。
〔5〕2013年後半の闘争方針
(1)国鉄闘争を基軸とする4カ月決戦に勝利しよう
国鉄闘争を軸にして国鉄闘争・反原発闘争・星野闘争・改憲阻止闘争などを一つに闘い、9・25に向けた4ヶ月決戦で、安倍政権打倒へ総決起しよう。
三里塚闘争、沖縄闘争も総決起の時を迎えました。
これに、山本太郎さんの参議院選挙が一体となって展開されます。
山本さんの選挙闘争は、1000万人を獲得するための闘いであり、安倍政権打倒の100万決起の先頭に立つ闘いです。山本太郎さん当選のために全力で闘いましょう。
8・6ヒロシマ、8・9ナガサキを全力で闘い、「すべての原発いますぐなくそう! 全国会議(NAZEN)」の全国への拡大をかちとろう。
4ヶ月決戦を全力で闘い、安倍政権を打倒しよう。
(2)7・19第2回三者協議に勝ち抜こう
第2回の三者協議が7月19日に行われます。
公判廷のない再審闘争において、三者協議は決定的な闘いの場です。
検察官は「3・28意見書」において、証拠を開示する必要はないと居直っています。証拠開示を拒否する検察庁とそれを容認する裁判所を、三者協議において徹底的に追いつめ、全証拠の開示をかちとろう。
再審弁護団と団結する、高裁包囲デモ、街宣、申入、署名の突きつけなどは、極めて重要です。これらの闘いによって、私たちの怒りは必ず伝わります。この間の警視庁公安部の反応ぶりを見れば、明白です。
首都圏を先頭に、7・19三者協議に向かって総決起しよう。
(3)全証拠開示大運動を全国で発展させよう
星野闘争の中軸は、全証拠開示大運動を全国で拡大し発展させることです。
現在、弁護士274名を先頭に800名を超える賛同が寄せられ、43,271筆の署名が集まっています(6月29日現在)。あらゆる機会にあらゆる場で署名を集め、星野さんを取り戻す政治的・階級的力をつくって行きましょう。
弁護士会館で開催した連続学習会は、金元重先生、宮本弘典先生、客野美喜子さんの3回とも成功しました。8月23日には、厳島行雄教授の学習会が開かれます。
星野絵画展は、開催される度に新たな出会いをつくり出しています。7月13日には、九州で初めての絵画展が開かれます。12日から、みやぎ・救う会も開催します。
星野闘争を全国に広げ、組織と運動を拡大しよう。
(4)星野文昭さんと家族を防衛し連帯しよう
徳島刑務所と法務省は、2010年5月から友人面会を禁止してきました。今では、家族以外で会えるのは青柳晃玄さん一人だけになっています。
2006年に始まった友人面会は、総計94人が星野さんと面会しました。これは、実質的に獄壁を打ち破り、星野さんとの団結を形成・拡大する闘いでした。徳島刑務所は、このことに恐怖して友人面会を禁止し、さらに手紙の墨塗りを行いました。現在、面会・手紙国賠訴訟を起こし、闘っています。
自由な面会は、星野さんの人間としての当然の権利です。面会拒否や手紙墨塗りという受刑者の基本的人権を抹殺する攻撃は、新自由主義の破綻的攻撃としてあります。徳島刑務所の人権侵害を許さず、星野さんの生命と闘いを守り抜いて行きましょう。
(5)奥深山幸男さんの生きる権利を守ろう
奥深山幸男さんは星野さんと一体で闘い、免訴を要求して闘っています。
検察官、裁判官による裁判再開攻撃を、弁護団・医師・「免訴を実現する会」が一体となった闘いで打ち破りました。
奥深山さんを裁判から解放し、生きる権利を守ろう。
(6)階級的労働運動の前進をかちとり、合同労組に参加して闘おう
新自由主義は、労働者階級を文字通り生きていけない現実に突き落としています。
合同労組は、新自由主義攻撃にさらされる労働者人民が闘う労働組合を再生させるために結集し、階級的労働運動の前進をかちとる重要な闘いです。
星野闘争を全国で闘う人々も、その多くが非正規労働者と家族であり、不当で不安定な労働を強制されています。合同労組に参加して、階級的労働運動と星野闘争の前進を一体で発展させて行きましょう。
(7)国際連帯を拡大しよう
動労千葉は、アメリカのILWU(国際港湾倉庫労働組合)、韓国の民主労総との強固な団結をつくって来ました。
これと一体で闘い、さらに国際連帯を拡大して行きましょう。
アメリカの闘う弁護士リン・スチュアートさんを解放しよう。
(8)9・8徳島刑務所包囲デモへ
全国労働組合交流センターは、9月7日、8日、全国拡大運営委員会を徳島で開催することを決定しました。これと一体で9・8徳島刑務所包囲デモに決起しよう。
昨年2月5日、全国から集まった労働者人民600人が徳島刑務所包囲デモに決起しました。デモの声は星野さんに届き、「集団面会を実現したようだ」という感動的な闘いになりました。
全国から徳島に総結集し、徳島刑務所をデモで包囲しよう。獄壁を超える星野文昭さんとの団結をかちとろう。
9・8徳島刑務所包囲デモに決起し、星野文昭さんを取り戻そう。
以上
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