更生保護委に求められる独立性と中立性 星野再審弁護団
(検察官は、刑を執行する権限を有していますが)仮釈放及びその取り消しの審理・決定は、地方更生保護委員会の所管事務となっています。つまり、刑の執行に関する事柄でありながら、仮釈放に関しては、検察官の権限から分離され、法務省から独立した行政委員会である地方更生保護委員会の権限となっていることの意味を考慮しなければなりません。
更生保護委は独立行政委員会
独立行政委員会は、その所管する事項について、政治的な中立性が要請され、その執行には内閣からの独立が必要とされるため、その委員の任命には両議院の同意が求められ、身分保障も与えられた上で、内閣から独立してその権限を行使するものとされています。更生保護委員会に即していえば、権限行使にあたり、行政の一つである検察庁等からの独立性が求められているといえます。
地方更生保護委員会の所管事務は、仮釈放とその処分の取消のほか、……いずれも、刑事施設からの解放に関する事項です。
そして、上記の所管事務の遂行にあたっては、地方更生保護委員会設置の根拠となる更生保護法の目的は、「社会内において、適切な処遇を行うことにより、再び犯罪をすることを防ぎ、またはその非行をなくし、これらの者が善良な社会の一員として自立し、改善更生をすることを助ける」(1条)としていることから、受刑者の社会内処遇を進めることを基本的な目的・任務としています。
したがって、地方更生保護委員会は、検察庁等の影響を受けることなく独立して、社会内処遇を通じて改善更生をすすめることが、その任務・立ち位置であることは明らかです。
無期受刑者について、検察官が改悛の状の一判断要素である、「社会の感情がこれを是認すると認められない」と反対の意見を述べるなどして、地方更生保護委員会に無期受刑者の仮釈放を認めない方向で影響を与え、「無期刑の終身刑化」が生じていることの問題点は、既出の意見書で指摘しているとおりですが、そうした実態は仮釈放制度の本来の趣旨に反する運用の結果にほかなりません。
「社会の感情」で考慮されるのは、「帰住地感情」ですが、その点では、星野氏に関しては、親族の支援・受入体制が充実し、帰住地感情という面では懸念すべき事情はありません。
星野氏の身柄拘束はすでに43年間に及んでいます。星野氏の受刑中の態度は1月の意見書に記載したとお
りです。貴委員会は、こういった事実をつぶさに見て、速やかに星野氏の仮釈放を決定することを強く希望します。
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