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第7回国賠裁判  医師の意見書で国を追い詰める
徳島刑務所の医療放棄暴く

 星野再審会議の2021年全国総会と第7回口頭弁論・法務省弾劾デモから星野闘争の新しい発展が始まりました。星野文昭さんが残してくれた200点の絵画は私たちの宝です。全国で絵画展を開き、広範な労働者・民衆と結びついて、11月28日の渋谷闘争50年集会に向かって前進しましょう。

 9月9日、東京地裁民事第14部(村主隆行裁判長)で星野国家賠償請求訴訟の第7回口頭弁論が行われました。終了後は、報告集会と法務省弾劾デモが行われ、60人が参加しました。
 弁護団は「原告第4準備書面」と布施幸彦医師(ふくしま共同診療所長)の「意見書」を提出し、合わせて「調査嘱託申立書」を提出しました。


原告が意見陳述

 星野暁子さんと藤田城治弁護士が裁判体更新に伴う意見陳述を行いました。
 暁子さんは、「肝臓がん切除手術が行われた直後に主治医から説明を受けました。『患部はすべて摘出することができました。これから回復室に入り術後ケアを行います』というのを聞いて本当に喜びましたた。文昭は救われたと思いました」と述べました。しかし実際には「文昭は命の危機にさらされていたのです」と振り返り、怒りと悲しみを込めて被告・国を弾劾しました。傍聴席に座った人たちは、一言も聞き逃すまいと集中しました。
 原告である兄の星野治男さんの陳述書を弁護団は合わせて提出しました。
 藤田弁護士がこの日提出の原告「第4準備書面」の要旨を説明しました。これは、被告・国が前回提出した「準備書面(6)」を全面的に打ち破るものです。
 「調査嘱託申立」について被告代理人が「不必要」と主張しましたが、裁判長は「争点と関係ないとは言えない。採用する」と答えました。2019年3月1日のエコー検査で星野さんの肝臓に巨大な腫瘤(しゅりゅう)があることに気がついた徳島刑務所が徳島市内の病院に送ったという「診療情報提供書」がありますが、これに対する回答書が記録にはありません。このような文書による照会には必ず文書で回答することになっています。本当にこの文書を送ったのかどうか疑問が生じるので、裁判所に調査を行うよう申し立て、採用されたものです。
 その後、医師の意見書について説明を求められ、土田元哉弁護士が「布施先生の他に、肝臓がんの専門医等2人の意見書を、遅くとも年内に出します」と表明しました。

法務省弾劾デモ
 終了後、日比谷図書文化館のコンベンションホールで報告会が行われました。土田弁護士、和久田修弁護士が第4準備書面の内容を報告し、短時間ですが質疑応答もありました。
 星野暁子さんが家族の思いを語り、ここでも陳述書を読み上げました。
 全員が日比谷公園霞門に移動し、新しく参加した人も含めて小雨の中を法務省弾劾デモに出発しました。今回もデモコールは学生が行いました。法務省前では怒りのシュプレヒコールを一段と高く行い、若い力を示して、意気高くデモを終えました。

意見書カンパを
 布施医師の意見書は、被告・国のごまかしと居直りを全面的に打ち破るものです。被告側は、星野さんが経験したことのない腹痛に倒れ継続的な食欲不振と体重減少に苦しんでいた2018年秋に「エコー検査を行う法的義務はない」と主張しています。
 これに対して布施意見書は、「星野さんのような急性腹症の原因を解明するためには、当初疑った胃と大腸が否定された以上、さらなる検査が必要であった。エコー検査や広範な血液検査を行う必要があった」ことを、医学的知見や多くの論文に踏まえて科学的に証明したのです。
 肝臓がんがどの程度の速さで大きくなるかは重大な問題です。最も遅い速度で大きくなったとしても、2018年の秋にエコー検査を行っていれば半分程度の大きさで発見され、もっと安全な手術を行えて、星野さんは生きていたのです。
 肝臓がんの専門医を含む意見書がこの裁判の勝敗を決します。くり返しのお願いになりますが、意見書作成カンパをお願いします。
 次回期日は11月15日です。被告・国が反論を提出する予定です。徹底的に打ち破り勝利しましょう。
星野新聞第119号 掲載