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国賠第1回裁判・報告集会での弁護団発言
国家犯罪を徹底追及


裁判終了後弁護士会館での報告集会(6月22日 東京・霞が関)

 6月22日、国賠第1回裁判の後、弁護士会館で報告集会を行いました。裁判に結集した60人の支援者を前に弁護団が熱く訴えました。

藤田城治弁護士
 星野文昭さんの獄死の責任を問う根拠を書いた訴状を裁判所には事前に提出していますが、本日正式に裁判官の前で述べました。 
形式的なやりとりの後、暁子さんから裁判官に対して意見陳述をして頂きました。ゆっくりと、力強くご発言いただきました。続いて弁護団から私が、訴状の中身を簡単に説明致しました。どちらかというと、代理人としての思いに力を入れて言ったつもりです。
 普通、民事の事件で弁護士が関わるというのは、いわば事件が起こってからです。けれども、今回我々弁護団の実働メンバーは再審弁護団ですから、2018年から、星野さんがやせていく状況もリアルタイムで見ていました。ちなみに、私は手術の前の日に星野さんと接見もしていました。そこでは力強く、手術でちゃんと回復して闘いましょう、というやりとりをして別れました。それが突然亡くなったのだということも話しました。
 大きな問題点は二つになると思います。一つは18年の1月から19年4月17日までの徳島刑務所の責任。つまり、がんを11センチ×14センチという巨大になるまで放置した責任です。 
 18年に星野さんはみるみる体重が減っていきました。そして刑務所という規則正しい環境の中で、γ-GTPの数値が前の年の倍になっていました。しかも8月に倒れているわけです。それにもかかわらず刑務所は必要な検査をしないで放置しました。
 それともう一つ、徳島刑務所は19年3月にエコー検査をして、肝臓に腫瘤(しゅりゅう)があることを発見しているわけですが、それを星野さんにも我々にも報告しなかった。四国地方更生保護委員会が、「仮釈放はしない」という決定を出した後、4月になって、肝臓にがんの疑いがあると告げられています。そこまで隠し、放置した責任です。
 大きな問題点のもう一つは、医療センターの責任です。ここは一見立派な病院に見えますが、その実態は、ベッド数に対して医師も看護師の数も少ない、一般の病院に比較しても遠く及ばない。そんなところで大手術をして良いのか、ということです。それと、手術後のケアがお粗末、非常にずさんであったということを言いました。
 今後の進行は、8月7日に国側の反論の書面が出されます。それを受けて27日に、第2回の口頭弁論期日が開かれ、第3回の時に我々がそれに反論をするという展開になります。おそらく、そういう応酬が半年以上1年くらいは続くかなと思います。多くの方が関心を持っているというのは裁判官に対する何よりのプレッシャーです。引き続き傍聴に駆けつけて下さい。

岩井信弁護士
 今年の2月に、龍谷大学の赤池一将先生編集の「刑事施設の医療をいかに改革するか」という本が出ています。刑事施設の医療というものが今、全国各地で問題になっています。
 私たちは制度を変えるためにこの裁判をやっているのではなく、星野文昭さんという人と知りあってここに来ています。星野さんという人が、誠実に向き合って生きてきたという事実を私たちはこの裁判を通じて明らかにする。それが結果的に日本の刑事施設の医療を変えることにもなると思っています。赤池先生は1月の阿佐谷集会に、わざわざ京都から来られて参加されています。負けられない裁判でありますし、国の責任を問うていきたい。

和久田修弁護士
 星野再審弁護団が結成された1991年からずっと関わっています。それだけに30年かけて星野さんを生きて取り戻せなかったことの無念をこの1年ずっと抱いて来ています。残念で悔しくてなりません。
 この国賠闘争は絶対負けられない。獄中医療というのは本当にひどい状況にあります。その事実もこの裁判の中で明らかにしていきたい。そのためには、裁判の中だけではなくて、広く社会に訴えていかねばなりません。皆さんの力が本当に必要です。再審も、死後再審ということで、がんばって星野さんの無実をはらすまで頑張っていきます。それまで、まだまだ長い道のりですが共に頑張って行きたいと思います。

小林博孝弁護士
 私は和久田先生と同じ期で、一緒に第一次再審弁護団に入りました。まずは、徳島に行って星野さんと会うというので、徳島に飛んだことを覚えています。
 今回、手術のために徳島から東京・昭島の医療センターに移ったと聞いて、良かったなと思っておりました。地方では、刑務所のお医者さんのなり手がない。専制君主のようにして、全く受刑者の言うことは聞きません。何回か刑務所に抗議に行ったこともあります。徳島ならまだしも東京でこんなことするなんて、日本中大変なことになっているなと思いました。私は今回の訴状には全然タッチしていませんが、いても立ってもいられなくて、今日は来させて頂きました。

土田元哉弁護士
 再審弁護団の和久田修先生のご紹介で、今回の国賠訴訟に加入させて頂きました。私は弁護士になったのは去年の12月で、星野さんにお会いしたこともありません。弁護団に入って事件の記録を読んだ時に、本当にこれはひどいなと思いました。星野さんがなぜ獄死しなければならなかったのか、本当に理解できません。星野さんが獄死させられたということは本当にひどいことだと思いまして、弁護団に参加させて頂きました。
 今回の問題は、星野さんの無念を晴らすと同時に、刑事施設にとらわれている全ての方の権利を守っていく闘いであると認識しています。全力を尽くして頑張って行きたいと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。


星野新聞第102号 掲載