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12.3 第3回口頭弁論と法務省デモ
弁護団「原告第1準備書面」提出
国の居直りを全面批判

 12月3日、東京地方裁判所民事第14部(伊藤正晴裁判長)で、星野文昭さん獄死の責任を追及する国家賠償請求訴訟の第3回口頭弁論が開かれました。被告・国はこれまでに、劣悪で非人間的な獄中医療と、星野さんを死亡させたこと自体も含めて、一切を居直る許しがたい「準備書面(1)(2)」を出しています。
 今回弁護団は、星野暁子さんの陳述書と兄・治男さんの意見書を含む18点の証拠を添えて、国の準備書面を全面的に批判する「原告第1準備書面」を裁判所に提出しました。
 「第1準備書面」はまず、総論で、徳島刑務所と東日本成人矯正医療センター(医療センター)は自由を奪われた受刑者に対して「健康配慮義務」があり、その医療水準は通常の診療関係で要求されるものと同じでなければならないことを指摘しました。
 その上で、徳島刑務所の違法行為として、①2018年、年初以来の星野さんの一貫した体重減少の原因を、「夏だから」、「ステロイド剤を中止したから」等と「誤診」し、8月に激烈な腹痛で倒れ、それ以来の激しい食欲不振が続いているにもかかわらず、長期間適切な検査をしなかったこと。②2019年3月1日に行ったエコー検査で、肝細胞がんを疑う重大な結果を得ながら、それ以降47日間も、精密検査も医療も一切行わず放置したことを主張しました。
 こうした徳島刑務所の違法行為こそが、肝細胞がんを巨大化させて、死に至らしめたのです。
 次に医療センターの違法行為とし、術前に関して、①巨大肝細胞がん切除手術を実施するには不適切な施設であるにもかかわらず転医させなかったこと、②手術後の急変に備えて、主治医、執刀医の当直はおろか、オンコール(30分以内に電話で呼び出す)体制も整えないまま手術を実施したこと、③術前の検査で、手術方針を決定した当初より、数値が悪化していたにもかかわらず、リスク増大を踏まえた検討もせず、対策もとらなかったこと。そして術後は、④星野さんは血圧が90以下で、尿量も少ないなど出血性ショック状態に陥っていたにもかかわらず、腹腔内出血を疑うエコー検査も行わず、適切な処置をしないまま、深夜4時間も放置したことを主張しました。この術後の違法行為が、星野さん死亡の直接の原因です。
 これらの違法行為を居直る国を、徹底的に弾劾しましょう。

 家族の陳述書(抜粋)
 
星 野 暁 子
 文昭を奪われた私の喪失感は大きく何を持っても埋め合わせることはできません。悲しみが癒えることはありませんが、国賠訴訟をやり、責任の所在を明らかにすることで、次のステップを刻みたいと思っています。そして、文昭がなぜ、どのように殺されたかを明らかにすることは、貧困な獄中医療を変革する力になっていくだろうと思っています。

 星 野 治 男
 司法の場においていわれなき罪をきせられ、拘束の場において人間としての扱いを受けられずに去っていった弟文昭の兄です。
 民主主義を真っ先に唱えるべき司法界は一色一岩(造語)であるというのが、私が弟文昭の件を通して考えるゆえんです。
 この度の弁護団ならびに妻暁子、兄治男そして弟修三の問いかけに対して、あなたがたの真摯(しんし)にしてかつ誠実かつ正直な対応を願うばかりです。

  法務省弾劾デモに100人

 12月3日、30人が参加した裁判所前街宣に続き、裁判終了後、日比谷公園・霞門には原告の星野暁子さん、星野国賠に勝利する全国運動呼びかけ人をはじめ、各地の救援会、全国労組交流センター、婦人民主クラブ全国協、大坂さん救援会など、緊急の呼びかけにもかかわらず100人が結集し、弁護団から裁判報告を受けた後、デモに出発しました。
 裁判報告で怒りを一層大きくした参加者は、星野文昭さんの遺影を先頭に「星野さん虐殺を弾劾するぞ」「法務省は責任をとれ」「安倍と菅こそ刑務所行きだ」等、腹の底からシュプレヒコールをあげ続け、法務省を弾劾しました。
 コロナ禍で、金のためには労働者民衆の命も健康も平然とないがしろにする新自由主義の本質が暴かれ、今、新自由主義・菅政権への怒りが地に満ちています。星野さん虐殺への怒りはこの怒りと一体です。
 アメリカで開始されたBLM運動が全世界を席巻しています。今こそ行動の時、「星野国賠に勝利する全国運動」で人間らしく生きられる社会を作ろう。


星野新聞第110号 掲載