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星野さんの健康被害は深刻
3医師が要求「速やかに仮釈放を」
 医師の吉川健明さん、杉井吉彦さん、布施幸彦さんが「44年間もの残酷な拘禁は非人道的で許せません。星野文昭さんの生命と健康のために直ちに解放されるべきです」とアピールを発しました。一部を抜粋して掲載します。
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 現在、星野さんのことで最も大変なのは健康問題です。今年の夏異常な暑さの中、星野さんは作業中に倒れる事態が発生しました。
 「カバン作りをしようとしたら急に体調が悪くなり、吐き気をもよおして、血液が逆流するような感じになり、視界がボヤけチカチカした。これはやばいという感じ」(文昭さんの手紙より)になったので、早めに工場担当者に言い、横になれるようにしてもらい、医師の診察を受け、「胃けいれん」の診断で1日入病できました。その後、暁子さんの面会の時に「食欲がなく食べられな」く、3キロ痩せたことなどがわかり、刑務所側に食事の改善と胃カメラなどの精密検査を要求しています。

 長年苦しんでいる重度の皮膚病

 星野さんはこの救急症状以前から病気を抱えています。数年前から重度の皮膚病にかかり、夜も眠れぬほどのかゆみを訴え、一時は疥癬(かいせん)まで疑われましたが否定され、ステロイドの外用に加え内服も行なっていました。尋常ならざることです。皮膚病で長期にわたり、ステロイドを内服するのはよほど炎症が酷い場合です。ステロイドは強い薬ですが、同時に副作用も強く、代表的な副作用に胃腸の障害、胃かいようがあります。今回の胃腸の急性症状のベースもこのステロイドを服用していたことが考えられます。
 獄中での皮膚病、かゆみというのは大変なことです。戦前の治安維持法下の弾圧で、皮膚病にかかり命を落とした人が何人もいます。哲学者の三木清や戸坂潤も治安維持法で刑務所に入り、疥癬で敗血症になり、敗戦前後に獄中で亡くなっています。長野県で、農村医療を実践した佐久総合病院の院長をされていた若月俊一医師も戦前に東大で共産党に加わり、治安維持法で1年以上刑務所にいましたが、この疥癬に苦しんだそうです。

 検査と治療を十分な説明を

 さらに文昭さんは、不整脈や肺気腫に苦しみながら獄中生活を続けています。昨年は、長年使用していたコンタクトが壊れましたが、眼科受診も認められませんでした。不整脈についても心臓超音波検査も心電図検査も受けられていません。特に重大なのは、この間いくつか検査を受けても結果や説明を本人や家族・弁護団に知らされていないことです。
 文昭さんの受けている健康被害は、明らかに長期にわたる刑務所生活によるものです。太陽に当たることもできず、夏の猛暑、冬の極寒を十分な冷暖房もなく強いられ続け、年齢はもう72歳になります。皮膚病も不整脈も胃腸の急性症状も何でもない疾患のように見え、獄中では診断も治療も療養も並大抵のことではありません。さらに、隠れた重要な病気は刑務所では見つけることも治療することもできないのです。文昭さんには、人として、自由に自分で選択して、十分な検査と治療、療養を家族とともに受ける権利があるのです。現在の状態で、なすすべもなく見過ごし、もし、重篤な事態に文昭さんが陥ったら、その責任は相当大きいと思います。
 法務省、刑務所当局は、無実であることも、長すぎる無期刑であることも、星野さんの健康が大変であることも知っていて、外に出そうとしないのです。未必の故意として徹底的に弾劾したい。
 戦前の治安錐持法弾圧下、特高警察により多くの人が苦しみ殺され、戦争にまで行き着きました。星野さんが今されていることは、戦前の革命家や労働運動家がされていたことと同じです。
 星野さんに自由を。とりわけ医療人として、星野さんが自分の意思で、速やかに適切な検査と診察、治療と療養を受けられるよう、徳島刑務所と四国地方更生保護委員会に訴え、速やかに仮釈放するように要求したいと思います。