星野文昭さんのメッセージ |
2010年全国総会へのメッセージ 2010年6月 星野 文昭 今年の総会には、皆さんが再審・釈放をかちとる確かな手応えを感じて参加していることと思います。 昨年11月の第2次再審請求以降、請求書・陳述書の学習、岩井弁護人講演DVDの学習を中軸におきながら、各会における例会、街頭宣伝、署名、絵画展などの取り組みを強めつつ、諸労組・労組交流センターで取り組みの決議をかちとり、労働運動における本格的取り組みが開始され、市民・社会各層を含め全社会的な再審・釈放をかちとる運動の本格的発展へ、試行錯誤しつつ大きな歩みをかちとってきたことを実感しつつ、本総会をかちとれることを心から感謝し、喜んでいます。 突き破らなければならない壁への挑戦 暁子・家族と共に、第1次再審特別抗告棄却を受けて、再審・釈放をかちとるために、どうしても突き破らなければならない壁への挑戦が、私たちに突きつけられました。 一つは、再審の場で勝負し、勝利する、その内容を絶対にかちとること。そのために、供述がまったくの虚構であることを不動のものとし、同時に私の無実を不動のものにすること。 二つは、権力は、再審の場だけで、供述の虚構と私の無実が明らかになっても、それが社会的な力をもたないと、権力それ自身の力でそれらを平気で踏みにじることを見据え、無実には再審、無罪、釈放を! の声を圧倒的な社会的な声、力にすることで、それでも再審、無罪、釈放を決定しなければ、裁判所(・検察)が裁判所(・検察)として成り立たない、存在しえないという所まで追い詰めて、再審、無罪、釈放をかちとること。 三つは、 そのためには、星野無期が、沖縄・労働者人民の闘いを圧殺して、沖縄への基地犠牲、労働者人民への犠牲をどこまでも強い続けて、資本・権力が自らの体制を維持するために、無実を百も承知で強い続けて、35年も投獄している、こんな理不尽なことを許せるのか、沖縄とすべての労働者人民の解放をかけて許さず、取り戻そう! ということをストレートに訴え、沖縄とすべての労働者人民の解放の闘いと一つに、星野解放-再審、無罪、釈放をかちとること。実はそのことが最も多くの労働者人民の心を揺さぶり獲得すること。 四つに、そのなかで、何より私自身が、無期獄中をうち破って、暁子・家族、仲間・友人、すべての労働者人民と一つに闘っているのか、そうできているのか、ということがありました。 とりわけ、これまでの過程で、自らの闘いの弱さ、不十分さが、暁子に大きなしわ寄せを集中し、それを打ち破って、改めて無期と、すべての現実に立ち向かって闘うこと、そこからの解放を、暁子・家族、すべての労働者人民と一つに力を合わせてかちとることが問われ、それに全存在をかけて挑戦してきたということがあり、それが、一つ目から三つ目も含めたこの間の挑戦になっています。 獄壁による分断を打ち破って そのようにして、今、手にしているものは、改めて、獄壁による分断を打ち破って、暁子・家族、仲間・友人、すべての労働者人民とすべてを共有し、一つに団結し、力を合わせて未来・解放を開く、ということです。 無期投獄が、獄壁による分断・弾圧によって、孤立させすべてを奪い、生きる意志さえ奪おうというものであることに対して、どこまでも家族・労働者人民と共にあり、その怒り、思い(自己解放への根底的欲求)、生活、闘いを自らのものとし、自ら(家族)の解放とすべての労働者人民の解放を一つのものとして(すべての労働者人民の人間的解放のなかに、自ら(家族)の人間的解放があるものとして)共に力を合わせ、団結して、無期投獄を含め、全現実を変え、解放をかちとる星野の闘いは、そのようなものです。 そしてそれは、暁子と共に、無期を含めすべてに立ち向かい未来を開く、その一つひとつを積み重ねることによって、あらゆる困難をのりこえ、未来を開く、ということに支えられ可能になっています。また、今日、多くの友人、闘う仲間が、私たちの思い、闘いを受け止め、これまでの殻を大きく打ち破って、共に未来・解放を開こうと闘っていることに支えられ、可能になっています。 無期投獄の中にあっても、何ものをものりこえる力となっているのは、そのようなものですが、それは一言で言えば、分断を破って、すべての労働者人民のすべてを共有し、その力を真に自らのものとし、信頼し、一つに団結し闘い、現実を変え、未来・解放を開く、ということに尽きます。 労働者こそ社会の真の主人公 資本主義が労働者階級を賃金奴隷にすることで成り立つものである以上、この現実に怒り、労働者階級の自己解放闘争によって資本主義・階級社会を終わらせ、人間の普遍的解放をかちとることができ、労働者階級はその力をもっている、そのことに誇りをもって立ちあがり、勝利していくことによってのみ、人間と人間社会本来の姿を人類は手にすることができるのです。 労働者こそ、補い合い助け合って生産を担い、社会を動かす社会の真の主人公であり、資本・権力が分断し、賃金奴隷を強いあらゆる犠牲を強いることに対して、一つに団結した力によって彼らを倒し、彼らに代り、彼らからすべてを奪い返して、現実に社会の主人公として自らを解き放って、すべての人々が人間らしく働き生きることのできる共同社会を実現していく、その闘いはまた資本主義・帝国主義の下で呻吟しているすべての人民の真に自己解放的決起をかちとり、共にこの闘いを実現していくものです。このような闘いが、動労千葉を先頭に闘っている階級的労働運動・革命的大衆闘争であり、実は、星野闘争です。 それが今日の大恐慌-大失業、戦争の下で怒り、立ちあがろうとしているすべての労働者人民、世界の労働者人民に未来と勝利の展望を与え、獲得するものになっています。 このように養なわれている、人間的魂、情熱、すべての労働者人民の団結した力で誰もが人間らしく生きられる社会を、という情熱と確信が、無期に負けず、無期を覆していく、あらゆる困難をのりこえる力になっています。 資本主義の世界史的生命力は尽きている 今日、資本・権力が生き延びるために、大恐慌とその下での大失業・戦争の動きを激化させ、青年の半分を非正規化し、さらに全労働者の9割を非正規化することを公言し、まともに働くことも生きることもできないことを強制する現実は、資本主義そのものの世界史的生命力が尽きていることを示しています。 大恐慌への天文学的財政投入は、過剰資本の整理を中途半端にし、むしろ過剰資本・資金を拡大することで日米欧帝国主義の長期不況と保護主義化と世界市場における資本・国家間の争闘を激化させています。 資本の利潤のために労働者が賃金奴隷としてトコトン搾取・抑圧され、生活・生命まで破壊され、それを帝国主義の下で新自由主義をかかげて全社会的・全世界的に推し進め、とりわけ今日、大恐慌下での資本・国家間の争闘に生き残るために一層無慈悲に押し進め、世界分割をかけた戦争をますます拡大・激化させようとしています。 それは、資本がすべてを食い物にするために、生産、社会、世界のすべてにおいて、人間・人間社会本来のつながり、共同性を破壊し、対立、競争、格差、差別、分断や排外主義を強いつつ押し進めています。この現実を見据えることがすべての出発点だと思います。 労働者階級の自己解放を通して人間の普遍的解放を そして、この現実からの解放をかちとり、人が人とすべてとつながり、補い合い助け合って人間らしく生きられる人間本来、人間社会本来の姿を取り戻していくことのなかに私たちの真の解放がある。これが私たちの原点中の原点だと思います。 そしてそれを空想の夢物語にしないためには、現実の生産を担い、社会を動かしている労働者階級が、この現実と、職場、社会、世界で一つに闘い、民族・国籍・国境をこえた団結を取り戻し、強め、賃金奴隷からの解放をかけて、資本・権力から職場、地域、全社会、全世界での支配権を奪い返し、社会の主人公となることで、その共同性によって、生産と社会生活全体において、人間と自然、そのすべてとつながり、誰もが補い合い、助け合い、人間らしく生きられる、人間的未来、人間社会本来の姿を取り戻していく、そのように労働者階級の自己解放を通して、人間の普遍的解放を実現していくことが、唯一の現実的道であり、そこに私たちの人間本来の唯一の展望があります。 私たちは、それが、今日の労働者人民の根底的欲求になっていることを何よりしっかりと受け止めなければならないと思います。昨夏、自民党政権を打倒したものは、資本主義・帝国主義-新自由主義への怒りと、この根底的欲求です。 そしてこの現実に改良的手直しを加えるかのようにしながら、資本・権力の延命のために、一層労働者人民に犠牲を強いる民主党・連合政権への幻想を打ち破り、一層の怒りを解き放って、この根底的欲求を実現していく、それが私たちの進む道、闘いです。 それが国鉄-全労働者の闘い、沖縄基地撤去の闘い、三里塚・市東さんの闘いを労農連帯で闘う闘い、教育民営化を許さず、教育を労働者人民の手に取り戻す法大の闘い、労働者解放と部落解放を一つに闘う西郡・八尾北の闘い、そして星野無期、長期投獄を許さず、再審無罪・釈放をかちとる闘いであり、それを一つに結び、勝利していく道であり、力なのです。 階級的労働運動と星野の勝利は一つ 今日の労働者人民の団結・組合的団結を破壊して、一切の既得権を奪い、犠牲を労働者に集中して資本・権力が生き残る新自由主義の出発点、国鉄分割・民営化、労働者としての誇りと解放をかけて絶対反対・階級的団結で闘い勝利してきた動労千葉が体現している闘いは、私たちの勝利のための道標であり、宝です。研修外注化・道州制はじめ、民営化・分社化-外注化によって大合理化・大リストラ・安全破壊・生活破壊を進める新自由主義に勝利するのは、その動労千葉を先頭とする階級的労働運動・革命的階級闘争の闘いであり、それが2000万青年労働者はじめ、全ての、全世界の労働者人民に勇気と展望を与え、獲得する力をもっています。星野の勝利もそれと一つです。 ここで話したいことがあります。鳩山が辺野古移設を日米合意に踏み込んだことの怒りが鳩山を倒しました。しかし、菅がそれを踏襲するとしていることを絶対に許すことができません。 沖縄の思いを踏みにじって基地を強いる、その先に私たち、労働者人民の未来も解放もありません。そもそも沖縄基地・日米安保は誰のためにあるのか。帝国主義・ブルジョアジーが自らの利権・生き残りをかけて世界・アジアの再分割をかけた第二次大戦を引き継ぎ、勝者の米帝がアジア・世界を分割・支配するために、敗者・日帝がその米帝との同盟によって、自らの延命と帝国主義としての復活を図るために日米安保を結び、米帝は戦後一貫して朝鮮・ベトナム・中東侵略戦争の要石として沖縄に基地犠牲を強い、日帝はそのように沖縄に犠牲を強いることでそれをテコに全国的な戦争体制を再構築しようとしてきました。 鳩山も菅も、自民党支配を引き継ぎ、それを貫こうとしています。これを許して私たちの未来はありません。沖縄の思いを踏みにじった犠牲強要を許さない、そのことを含め労働者人民への犠牲強要を許さない。それを強いる民主党連合政権・資本・権力もろとも、労働者人民の団結した力で打倒する。そのことが全世界の労働者人民とつながり、一つに団結して、誰もが社会の真の主人公となって、誰もが人間らしく生きられる社会を実現していく、そこに私たちの未来・解放があります。 再審無罪・釈放の声を 71年11月の闘いは、まさにそのことを目指した闘いであり、そのことへの諸反動・星野無期をはね返し、今日の闘いの大きな力を生み出していますし、その力で星野無期と負けず、うち勝っていく、再審・釈放をかちとっていく、そこに星野の勝利の核心もあります。 そして、この闘いに勝利していくためには、権力が生半可には、私の再審・釈放を認めないことを見据え、一切の幻想を払拭して供述の虚偽と私の無実を徹底的に明らかにし、にもかかわらず無期を維持し投獄を続けていることを絶対に許すな、一日も早く再審無罪・釈放を、の声を労組・労働運動を中心に全ての市民・人民に圧倒的に広げ強めていくことによってこそ、全社会的に無実が明白なものになり、再審決定、無罪決定、釈放しなければ「裁判所」が「裁判所」として、「検察」が「検察」として存在しえないという状況をつくる。 それによって確実に釈放・解放が可能になる、その一点に総力を結集し、集中するということを訴えます。それぞれの思い考えもあると思いますが、どうかその一点に総力を結集し、集中してください。どうかこの力を弱めるのではなく、この力を強めてください。討論を深めつつ。 権力のでっち上げは崩壊している 権力は捜査の過程で私の無実を百も承知していました。私が殴打に加わっていないこと、火炎びん投てき命令もしていないことも承知していました。にもかかわらず、実に悪どいやり方で私が殴打し、投てき命令をしたという供述調書をつくりました。そして、そのことが供述者の公判証言や新証拠で次々と明らかになり、最早、その信用性は崩壊しています。 供述者が、殴打していた現場に、ほぼ知った人物がいなかったことがはっきりしています。それは先頭のほとんどが反戦労働者で、当局が当初そのように反戦を狙い捜査を行い、完黙の闘いによって失敗し、それで群馬の学生に狙いを定めて冤罪を作ったことも明らかです。 そこにおいて、当局が、公判証言で明らかになっているように長時間取調べ、一生出さないの脅し等を使い、今回のK新証拠でも明らかにされているように、当局が予め示す殴打者に当てはめる形で知っている名前を言わされるという誘導・強制によって供述が作られ、自らもやっていないのに、火炎びん投てきを認めるよりはということで殴打を認めるという形で誘導・強制による供述が作られたということが明らかになっています。そして、そういうものであれば、事実と合致しないことが次々に明らかになり、ボロボロになっているということです。 供述において、当初から殴っていたとされる私は十字路におり、道案内、奥深山君も後方にいて殴打に加わっていなかった。また後半に入れかわり立ちかわり殴打に加わったとされた群馬の4人も全て当人が否定しています。そして許せないことにそのうち三人が強制された供述で実刑さえ強制されています。私に対してだけではない、大冤罪です。 殴打現場にはいなかった そもそも新証拠でも出されているように滞留時間が35秒程で、そのすべてで殴打があったわけではなく、証拠にあるように、倒れた後、出発するまでの時間を引けば、殴打は20秒にも満たず、供述にあるような多数が入れかわり、立ちかわり殴打したということは不可能なのです。私も含めて。 そして何より、新証拠によって、K証人が、殴打をしているのを見た人物の服がキツネ色系だったことを改めて明らかにしました。特別抗告棄却決定において私の当日の服が薄い青だったことを認めざるを得ず認め、それでも私が殴打していたとするために、K証人の殴打していた人物はきつね色だったということ自体が記憶違いと強引に主張した。その根拠が改めて誤ったものであり、私が殴打していたという最大の根拠の誤りが、当然のことながら改めて、明白になったということです。 そして私が当日のリーダーだったからこそ、殴打を横に見て先頭の十字路まで一気に走り、そこを先頭に間もなくNHK方向に現れた機動隊からの攻撃を受ける前にデモ隊を再結集し、渋谷に向かったのであり、その役割から、十字路を離れ、殴打に加わることなく終始十字路にいたこと、そして新証拠として出されているように十字路にいなければ見ることのできないことを目撃していることを明らかにしています。 到達直後、NHK方向に、山口巡査を追うのを諦めた二人を見ている。NHK方向の道路が一旦下り、また上りつつ右にカーブし、さらに視界の一番高い所に右から左に車が流れている道路があった(今は建物で見えない)それらの車のフロントが光っていた。 また、統一教会裏手から白い車が出てきたのを見ている。そして何よりNHK方向に現れた機動隊の動きを詳しく見ている。これらは、それを裏付けることで無実を不動のものにします。 一つに団結した力で未来、解放をかちとろう 以上、事実・真実にリアルに踏まえて無実を確信することが再審・釈放に全力を注ぐ最大の武器・源になります。事実・真実にこだわり、それを明らかにし、無実の力で勝負しきる、その無実の力によって再審無罪を絶対に勝ち取れるし、そこにあらゆる力を注ぐことによって、釈放・解放の道を最も早く、確実に開くことができる。それを、本メッセージで訴えているように、世の中を変える最大の力をもっている労組・労働運動を軸に人民、人民各層に広げ、全社会的な力とすることで確実なものにしましょう。自らと労働者人民の力をどこまでも信じ、一つに団結した力で未来、解放をかちとりましょう。 |