星野暁子さん面会日記
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2014年 2月12日~14日

     獄壁を突き抜けて都知事選闘った文昭がいた


 2月12日、東京都知事選の報告を文昭にしなければと思っていたが、文昭は文昭で選挙総括を私に話さなければと思っていたようだ。  
 「1000万東京都民を相手に、何をどう話せばいいか、みんなといっしょに格闘して、やりきったよ。主張をそのままぶつけて、成長できた選挙戦だった」と文昭は、高揚した面持ちで話した。それが、本当にそうであることを、私は文昭の3・11アピールを読んで実感した。そこには、都知事選を主体的に闘うことによって、獄中39年の壁を突き抜けた文昭の姿があった。都知事選で獲得した地平は、すでに、まず文昭自身のものになっていた。だから、話す機会が私との面会しかない文昭は、言葉があふれ、止まらなかった。「選挙結果、『朝日新聞』で知ったよ。12684票。マスコミがまったくとりあげない中でよく頑張った。自分たちの主張をそのまま訴えて、通用するかどうかをかけた選挙戦だった。通用することがわかったんだ。入れてくれた人は、本当にわかってくれた人たちだ」と文昭は、言った。
 

 13日。この日の文昭は、前日とはうってかわって静かだった。「どうしたの?」と聞くと、「昨日は、しゃべりすぎたから、今日は、暁子の話を聞こうと思っている」と言った。手紙では伝えてあったが、鈴木さんの街宣の様子や、雪の中、何度も応援演説に立ったことを話した。「今年はできるだけ蒲団に入って、学習もするようにしている。でも、絵を描く時は着れるものを全部着て、机に向かっていたので体の芯から冷えたよ。」『3・11に、福島・花見山』の絵を描いて宅下げしてくれた。
 福島の根本さんからの写真と東京の福田さんからの風景写真を参考に描いたと言っていた。春めく桜を描いた絵だ。酷寒の徳島刑務所で描かれたこの絵は、『自然豊かな福島・只見川の秋』とともに、3月の福島での絵画展に出展する。身を削って幸せを描く、本当にそんな感じだが、真実の力は、文昭にも、生きる力を与えてくれていると信じている。
 



フクシマのすべてを返せ

 14日。朝から大雪だった。この日のうちに東京に戻れるかどうかわからない中で、午前中の面会人は私ひとりだ。「花見山」の絵の話も、ゆっくりすることができた。副題は、「フクシマのすべてを返せ」だという。「自然も、生活する場も、仕事をする場もすべて返せ!
 福島のみんなに対するいっしょに闘っていこうという思いと、この間忙しかった暁子を癒せればいいと思って描いたよ。表現できたんじゃないか」と文昭。みんなからの年賀状も一部、宅下げしてくれた。「『愛と革命』を出版してから、みんなからのたよりが血がかようものになってきた。励まさ
れるものばかりだよ」文昭との話しは、選挙戦の話に戻った。「安倍は、テレビを見ただけでも、虫唾が走る。安倍が、労働者民衆を幸せにしないことは、大衆的にも明らかになっている。資本・権力は、労働者民衆を生きられなくしている。ブラック企業、病気、非正規化、外注化、今の状況を変えるには、すべての労働者が団結して立ち上がることで変えられる。労働者がすべてを奪い返すことで、誰もが人間らしく生きられる社会をつくることができる。都知事選で獲得したものを土台に、職場、地域でより大きな闘いをつくっていこう。労働者が団結して組合を作る。労働者自身の力で変えていく、ここに自分たちの未来がある。そういう闘いを国鉄闘争が切り開いている。地域にも、職場にも、闘う労働組合と組織を圧倒的につくっていこう。
 都知事選で獲得した地平は、星野の地平でもある。人間的に生きようとすることをつぶそうとする星野無期を乗り越えて、今の暁子と僕がいることが一番大きなことだ。闘って、僕らの人生を豊かにしていく。直接抱きしめられないのが、残念だ」と文昭は、まるで、私に向かってのアジテーションのように話した。選挙戦を獄中で闘って自己変革をとげた文昭に、私も自分の飛躍で応えたいと思った面会だった。