星野暁子さん面会日記
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2017年 2月13日~17日

   無期の終身刑化に反対


2月13日
 一ヶ月ぶりに会う文昭はインフルエンザにかかっていた。「今まで病舎で寝ていたんだ。ワクチンを打っていたから軽くて済んだ。インフルエンザで退院した人が同じ職場で間近にいたからね」
 奥深山幸男さんが亡くなったことは電報で知らせてあった。奥深山さんへの哀悼の言葉をもらった。「奥深山は渋谷の闘いをやりきった。星野の闘いの中に奥深山の闘いは存在していたし、これからも存在していく。星野闘争も含めて最後の勝利まで、すべての人の解放のために一緒に闘っていこう」

 14日
 「明日、元の部屋に戻る。金曜日の矯正処遇日は部屋で読書をしたり絵を描いたりできるけど、布団に入るのは駄目なので厳しい。土、日と同じように仮就寝認めれば風邪をひく人が少なくなるよ」と文昭は言った。
 「ステロイド剤を2錠から1錠に減らしてもらった。血糖値が160から183に、HbA1cが7から8・3に上がったので、糖尿病の薬も飲むようになった。医者が『春になったらステロイド剤やめてみましょう』と言っている。片山さんが差し入れてくれた糖尿病の本、役立っている。お礼を伝えてほしい」とのことだった。

 15日
 工場はインフルエンザのため閉鎖になっている。病舎を出た後は別の部屋に入り、昼夜独居の状態で造花づくりをやっているとのことだった。
 「30年問題」について話した。「30年問題」というのは、服役して30年になる無期刑の受刑者に対して、刑務所長が仮釈放を申し出ない場合は、地方更生保護委員会が一年以内に審理を開始しなければならない、というものだ。文昭は、今年7月に30年になる。「30年問題を処遇改善の問題として取り組む。無期刑の終身刑化に反対。獄死攻撃に反対。生命を守る闘いだ。再審、証拠開示の問題と一つの課題として取り組む」と文昭。

 17日
 修ちゃん、ゆかりちゃんといっしょの面会だった。この日に来てくれた70人の人たちへのアピールももらった。
「韓国、どうだったの?」と文昭。「鳥肌が立った。韓国の人々の怒りすごい。働く人間の間に壁がない」とゆかりちゃん。「韓国では日本以上に財閥が力を持っている。民主労総の闘いがあることが決定的だ」と文昭。
 ふたりに何か言ってあげられる言葉はないのかと聞くと、「二人とも輝いているね」と文昭。私が「文昭も輝いているよ」と言ったら、うれしそうな顔をしていた。「二人が出会ったことは、本当によかったんだ」と私が言うと、「苦しかった部分があったけど、自分の中の革命が起きた。変えていけると思えるようになった」とゆかりちゃん。
 文昭は「獄中は、悲しみも喜びも2倍になる。こういう所にいると、未来を開くものを見出さないと生きていけない。団結の中にこの社会を変えていく力がある。ひとつの攻撃を自分たち全体への攻撃として皆で闘っていく。本当の共同性を奪い返すことだ」と言って、名残惜しい面会を終えた。