星野暁子さん面会日記
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2013年 10月23日~25日

        暖かい感じが伝わってくる絵
 10月23日、ようやくしのぎやすい口々が訪れている。文昭の賞与金で買った服を着ていった。「似合うよ。いいね。今度描く、みんなが持ってきてくれた花束を抱えた暁子の絵の服は、この服にするよ」と文昭。
 「風邪どう?」と聞いてみた。「38度6分あった熱は、今は37度になっている。夏の暑さのための疲れだと思うけどね。鼻炎がまだおさまっていないのと、全身のだるさがとれていない」37度を越えるともらえる風邪薬を飲んで、ようやく熱が下がったという。
 激しい雨の中行なわれた三里塚集会の様子を伝えた。さがしても見つからなかった反対同盟の市東孝雄さんが、わざわざ来てくれて、「星野さんに会いたい」と言っていたことを伝えた。
 来年のカレンダーの版下を見せていたら、「文字を見せるのは、検閲を受けていないものを見せることになるので、認められない」と看守に言われた。「絵ならいいんですか?」とやりとりをしている問に、一応文昭に全ページみせることができた。表紙は、文昭の希望で選んだものだった。文昭は、「本がいい出来だから、それに見合うようなカレンダーにしあがったね」と喜んでくれた。
 


 数年ぶりの兄弟の面会
 10月24日、弟の修ちゃんといっしょの面会だ。「岡山でパフォーマンスをやるんだ。キジムナというのは文昭なんだ。文昭であるキジムナと、亡くなったアイヌの画家ビッキが出会うという話なんだ」と修ちゃん。「修ちゃんは『流砂』つていうお芝居もやったんだよ。社会的評価もされたんだよ」と私か説明した。文昭が私の感想を聞くので、「人間に対するニヒリズムを色濃く出した作品だよね」と話した。「15年ぶりなんだ。被災地の状況、男女のやりとりを描いたんだ。『テアトロ』にも掲載されたんだ」と修ちゃん。聞き役に回っていた文昭だったが、「修三は修三でやっていくわけだからな。周りの人にとって、よいと思われることをやっていくことが人事だ」と兄貴らしく面会をまとめた。アクリル板越しに手を重ねて、数年ぶりの兄弟の面会は終わった。


 10月25日、3日目の面会。前の日に宅下げした文昭の絵「生命生まれるI暁子の歩みに重ねて」を見ながらの面会だ。「 すごくいいね。暖かい感じが伝わってくるよ」と伝えた。文昭は、「暁子が喜んくれてよかったよ。『デイズージャパン』にあった母と子の写真を見て描いたんだ。写真では、赤ん坊の鼻にチューブが入っていたんだけど、チューブはとったんだ。シャガールの絵を取り人れて、バックは小さい時のうさぎを抱いている暁子、チロを散歩に連れていく暁子、大人になって、抱き合っている暁子を入れてみたんだ。いつもだと面会一週間前ぐらいに時間に追われて描くのだけど、この絵は一ヶ月ぐらい前から少しずつ描くことができた。自分でもよく描けたという感じがしている」と言った。
 修ちゃんの話しになった。「修は修でやっていくことが伝わってきて安心したよ。以前は、尊敬もしている僕を暁子にとられたという感情があったけど、今は乗り越えることができたんじゃないか」と文昭。「昨日別れ際に、修ちゃんとはじめて握手したよ」と伝えた。
 11・3労働者集会で、はじめて星野としてアピールすることを知らせた。文昭から、短いコメントをもらって、3日目の面会を終えた。