2013年 9月5日~9日
みんなの声聞こえたよ
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9月5日、面1 室につながる庭のサルスベリのエンジの花は、半月もたつのに、まだ咲いていた。「すずしくなったでしよ?」と聞くと文昭は「すずしくなったよ。昨夜は寒いぐらいだった。パジャマを着て、タオルケットをかけて靴下まではいて眠ったよ。久しぶりにぐっすり眠れたよ」。この暑かった夏がやっと終わったのだ。
「今、労働組合について勉強している。星野としても組合に入ることが大事じやないか。宮城で大学の教員をやっている高経時代の友入がいるんだけど、最近労働組合に入ったんだ。そしたら、自分の立ち位置がはっきりしてきたと手紙に書いてあつた。『星野』が労働者の課題だと言っても、仲間として入っていないと自分の身近な課題にならない。星野として労働組合に入ることで、労働者にとって星野がはじめて自分たちの問題になる」。星野の運動の中でも労働組合の仲間は増えている。「検討してみるね」と私は答えた。
またこんなことも伝えた。「文昭の先月の面会報告『僕のアジテーションは、聞いてくれる人によって言葉を変えていたんだ。わかりやすいってよく言われていたよ。文章のセンテンスが長いのは、長く獄中にいるせいもあるよね。文章は苦手な方なんだ』を読んで、劇作家のSさんが泣いたんだって。『コミュニケーションを奪われる』ことの重さと痛みに直撃された。自分は何もわかっていないって」。文昭は即座にこう答えた。「奪われたんだ。しかしひとつひとつ奪い返してきた。そして今いいと思えるのは、広島の増上さんが『獄中にいる人のアピールとは思えない』と言うように、どういうアピールをするのがみんなにとって一番いいのか考えながらできることなんだ」。「結構話せたね」と言いあっ
て一目目の面会を終えた。 |
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みんなからの花咲く面会室
6日、2日目の面会。「監査官への苦情申し立てを書いた」と文昭。「Kさん、S君への禁止処分(面会も手紙も認めないという処分)は、昨年の2・5徳島刑務所包囲闘争に対する不当処分だと書いたよ。この内容は、9月8日のデモに来てくれるみんなに対する僕からのエールなんだ。9月8日は集団面会なんだ。みんなに会うことを楽しみにしている」と言った。監査官への申し立て等は普通無期懲役囚はやらない。仮釈放に不利だからだ。しかし文昭は筋を通し、みんなとの団結の力で解放を勝ち取ろうとしている。 |
9月9日。8日のデモを闘って翌日残った20入が、頼んであった一輪の花を持って差し入れ行動に参加してくれた。みんなに送られ、山川さんからのむくげとなつめ、私の好きなゆりの花も入っだ大きな
花束を持って面会室に入った。
文昭は会うなり、「すばらしい」と喜んだ。「ぜひ写真を撮って差し入れてほしい。絵に描きたいから」と文昭。
「昨目、みんなの声聞こえた?」と私は聞いた。「聞こえたよ。ヘリコプターが飛んでいて聞き取りにくかっだけど、30分ぐらい聞こえた。女性の透き通った声がリードして「星野さんを返せ」と言っていた。歌も聞こえたよ。特に「トラワヨ(帰れ)」というのが大きく聞こえたよ」。刑務所前で、文昭が好きな「釜出港に帰れ」をみんなで歌ったのだ。「今回は余裕を持って、一人ひとりの顔を思い浮かべながら聞くことができた。一体感を感じることができたよ」と文昭は言って3日目の面会を終えた。
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