星野暁子さん面会日記
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2019年 4月2日~4日

    仮釈放はだめだった



 4月2日
 肌寒い風は吹いているが、刑務所に向かう路上の桜は満開。きれいだ。
 文昭はこの日も大きなマスクをして出てきた。「仮釈放、どうだった?」あいさつもそこそこに聞いてみた。「いい報告をしたかったけど、今回は駄目だった。昨日処遇課から呼び出しがあって言われたよ。3月25日に決めたらしい」
 そうか。駄目だったのか。言葉を飲んで黙っていると、文昭は「僕は逆境に強いから構え直してかえって元気が出るよ」と言った。「更生保護委の見直しは10年後だから、今後は刑務所長に仮釈放を求めていくことになるね。再審も力を入れなきゃね」と私。
 「健康の方はどうなの?エコー検査の結果はまだなのね。大腸検査もやった方がいいよね」と言うと「言っているんだけどね。まだなんだ。夕食のご飯がだいぶ軟らかい日が増えてきた。固いご飯だと胃にてきめんなんだ。お茶をかけて無理に食べると胃が痛む。食べないと必要な養分がとれない」と文昭。明日申し入れることを伝えた。
 「暖かくなってきたから、仕事を終えたらすぐ休むのではなく、机に向かうことが多くなっている。運動も長距離はすぐ疲れてしまうけど、80メートルのグランドを休みを入れながら、10周するのはやっているんだ」。やりすぎだとは言わなかったが、ちょっと心配になった。

 3日
 久しぶりに宅下げした絵を見ながらの面会。「体調悪い今の僕に描ける絵を描いてみたよ」「犬がちょっと苦しそうに見えるね」と私が言うと「眠っているところなんだ」と文昭。
 「昨年5月3日の懲罰は監査官に訴えて『不採決』というのはどういうこと?」と聞くと「『不採決』は聞き置くということで、その後処遇はよくなることが多い」と文昭。4月の優遇区分の見直しで2類に戻る可能性が高いが、仮釈放審理期間中は3類に据え置かれたということだ。


人類を支える伴奏者




 4日
 「面会室にエアコンが入ったり、待合室のイスやロッカーまで新しくなった。文昭のカバン作りは刑務所のプロジェクトだから全部刑務所の利益になる。文昭に軟らかいご飯を出してほしいというささやかな要求こそ実現してほしい」と私が言うと、文昭も「寒さ対策とか暑さ対策に金を使ってほしい」と言った。
 「無期受刑者の終身刑化の問題にも取り組んでいく」と言うと、「受刑者本人に申請権がないことを変えていくことが大切だ」と文昭。そして「暁子が、落ち着いて対応してくれていることが一番うれしいよ」と言って面会を終えた。