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  2014年9月9日 判 決 裁 判
  

ビデオ国賠訴訟-勝利判決
「証拠紛失」に賠償命令

 9月9日、東京地裁民事第45部(山田明裁判長)で、星野文昭さんのビデオ国賠の判決が行われた。被告・国(東京地裁)と都(警視庁公安部)による、証拠であるビデオテープ「紛失」の違法を明確に認めさせ、賠償金の支払いを命じた判決だ。徹底的に闘い抜いてもぎ取った、全面的な勝利である。
 このニュースは、面会のため徳島にいた星野暁子さんを通して、直ちに星野さんに伝えられた。星野さんは「画期的な判決だ。これをきっかけに、全面的な証拠開示につなげ、再審に勝利したい。すべての証拠は、私の無実を証明するものだ」と、喜びを語った。
 星野文昭さんは、1971年11・14沖縄返還協定批准阻止闘争をデモ隊のリーダーとして闘った。闘争で死亡した機動隊員を「殴打した」等、殺人罪をでっち上げられ、無期懲役刑で、今なお、獄中40年を強いられている。非転向を貫く無実の政治犯である。
 1審・東京地裁で、現場の星野さんのデモ隊が映された、沖縄闘争を報じるテレビニュースを録画したビデオテープ2巻が検察官から証拠申請され、採用された。このビデオテープが裁判途中、東京地裁から警視庁公安部に「保管委託」され、警視庁公安部がこれを「紛失」した。
 証拠は、裁判所庁内に保管することが刑訴法で決められている。東京地裁は、違法に警視庁公安部に「保管委託」したのだ。そして、警視庁公安部は、本来は証拠品管理の「帳簿」を付けることになっているのに、このビデオテープに限って「帳簿が存在しない」と言うのである。これが証拠隠滅でなくて何か!
 星野さんは無実であり、現場の客観的な事実の中にこそ無実の証拠が存在する。再審弁護団は、ビデオテープを精査するために閲覧申請しようとしていた矢先に、最高裁より「紛失」の「通知」(!)を受けた。
 2011年4月の提訴以来3年半、17回に及ぶ裁判を通して、ビデオテープ「紛失」=証拠隠滅を、徹底的に弾劾して闘い抜いてきた。判決では、警視庁公安部の責任を明確に認めた。さらに、東京地裁についても、「保管委託」しながら一度も保管状況を確認してこなかったことが、「紛失」につながったと、責任を厳しく認めた。
 当然である。星野さんにとって、すべての証拠は国家権力によるデッチあげを暴くものだ。その「紛失」など断じて許されない。
 裁判では、警視庁公安部も裁判所も、自らの悪行が暴かれることを恐れ、「ビデオテープは星野さんの所有物ではない。例え紛失しても、星野さんに損害賠償を請求する権利はない」と居直り、具体的な事実関係の追及に、回答を拒否して逃げ回った。事実関係の審理を行わせずに、棄却させようと策動したのだ。
 ふざけるな! 星野さんこそ、40年間も獄中に捕らわれながら、生命と人生をかけて無罪を争っているのだ。その証拠を「紛失」して、何という言い草か。徹底的な弾劾を通して、判決でも「原告(星野さん)の本件ビデオテープを利用できる利益は、法律上保護された利益ないし期待権に当たる」と明確に認めさせた。
 星野さんをとり戻そう!全国再審連絡会議は、判決の前に東京地裁前で、「証拠隠滅弾劾!」「全証拠開示・再審開始!」を訴える街宣を行った。共同代表2人をはじめ、埼玉と東京各地の救援会など11名が結集した。ビラはどんどん受け取られ、「100万署名」に応じた弁護士は、その場で、全証拠開示大運動の賛同人になった。
 7・1集団的自衛権行使の閣議決定は、安倍政権の「戦争突入宣言」だ。星野さんは獄中40年、非転向で戦争反対を貫いている。闘えば勝てる。戦争は絶対に阻止出来る。その力は労働者階級の団結と国際連帯の中にある。「11・2全国労働者総決起集会」(日比谷野音)に集まろう。労働者階級の力で戦争を止めよう・星野さんを取り戻そう!