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FumiAkiko Calendar 2014




暁子と行く、麦畑広がる大雪山のふもと


沖縄から命をもらったフクシマの子


   Shall we sing?
   歌いませんか?
 

獄中39年の
あなたの過ぎ去った 時の流れの中で
奪われた かけがえのない
時間と空問
話すこと 聞くこと
自由こそが 奪われた

そして奪い返したもの
私との愛 家族のきずな
対話
限られた 時間と空間を生きて
その場に身をおくこと
愛と革命をこそ 奪えいかえした
 







未来と希望
それは 闘ってこそ
まるで はじめから あったかのように
あなたの 人格と笑顔になって
ここに あるのです

どうです? Shall we sing?
この男と いっしょに 歌ってみませんか?
暗い道のりの中から
希望を奏でる 伴奏者が
今 走ってくるのです




 春、朝陽のぼるつくぱの野
 

厳冬の徳島刑務所から
連帯の のろしを あげて
朝陽のぽる つくぱの野を
描いたのですね

生命を 与えられた 花々は
みごとに 花咲いて
かじかむ手先、冷え切る体の奥底から
暖めてくれるようです








関東平野を 職場にする動労千葉
動労水戸
その闘いは すべての労働者民衆のための
闘いであることで
あなたの 闘いに
つながっています

朝陽に映し出されて
つくぱの野に 人知れず咲く 花々を見に
待ちわびた 約束の春
出かけましょうね
 

    春、朝陽のぼるつくぱの野


春を呼ぶシクラメン


   車椅子の母
 

母の乗った
車椅子を 押して
ゆっくり ゆっくり
今日は ワンフロアだけの 散歩だよ

七夕の 紙飾りに
並んだ 願いの 数々
お母さんのも あるから
読んで みようか






80歳の
口元が あやしくなった母は
「ここにいると 動物の顔になる」と
私に言った
自分は 黒猫で
暁子は 白猫だと 言いながら
笑う母
笑顔が いいね 母さん

ちょつとずつ 弱っていく母の
生命の 重みを
車椅子に 感じながら
ゆっくり ゆっくり
私は 車椅子を 押した




 一杯のコーヒーを飲む時 

「ぶとうの木」で買った コーヒーを
仕事の合間に 飲む時
濃厚な その味わいの中で
思い浮かぶのは
出がらしの お茶を飲む 文昭の
ひとときの 休憩のことだ

暑さゆえに 眠れない 刑務所の夜
日照りの 夏は 去った
訪れる 厳寒の冬に 備えて
筋肉トレーニングを していると
文昭は 言った


このコーヒー豆は 一日 50シリング(100円)で
12歳のシルビアちゃんが 摘み取った豆だ
「この子らのために 世の中を変えたい」

一杯のコーヒーを 飲む時
世界中の 子どもの
笑顔を 抱きしめる
静かな あなたの 意志力を
感じる
 

    アフガン・カブールの姉妹Ⅱ


イラク・バスラ、失った命と共に生きる


  「ママはどこに?」 

「ママは どこにいるの」
君が 泣くたびに
「ママは きっと 帰ってくるよ」と
君を 寝かせる日々は 続いて
取り残された 私の 寂しい心に
なつかしい あなたの思い出が 寄り添う

亡くなってしまった人は
よりいっそうに 近く 親しくなるのだと
そんな言葉にも すがって
今は いない
あなたとともに 生きよう









「戦争が ママを 連れていったのだ」
「アメリカの 爆撃機が 連れていったのだ」と
泣き疲れて 眠った君に そっと つぶやく

ママの分も 抱きしめてやらなければと
君を見つめて
抱きしめてくれた あなたのぬくもりを
幾度となく 思い返す
「パパと君の中に ママはいるよ」と
明日こそは 伝えるのだ-



   
あじさいの花
 

あじさいの 花が
花瓶の中で 強く
今 生きていることを
伝えて くれるよ

米沢の 実家の
荒れ果てた 庭で
咲き誇っていた
あじさいの花
「きれいだよ」








誰のために 咲いているのか
まっすぐに 強く
生きたいと
あじさいの花
電球の 明かりの下でも
語りかけるよ

 

あじさいの花


パレスチナ、嘆きを力にかえて未来を!


    すもも 

紅い ゆりと
黄色の小さな花と
たわわに実るスモモの枝を
大切そうに 私は持って
いつもの 面会室に 入った

「今日も 暑いね」と
挨拶を 交わしながら
スモモの実を
ガブリと かじった







暁子が 何かを 貪べるのを
見たのは はじめてだと
じっと 見つめる あなたに
すっぱい スモモの昧は
生命の覚醒のように 伝わってくれたらと
私は かじった

何も言わない 看守の前で
文昭は
「みごとな 食いっぷりだ」と
笑った


   
フクシマの今
 

「私は、結婚しても いいですか?
 子どもを 産んでも いいですか?」

そう問いかける あなたに
用意された 答えを持たない 大人たちは
うろたえました

「それを 決める前に
 原発を なくす道を 選んでください」
原発の被害者として 生きる子どもが
自分の運命の 主体として 生きるには
それしかないのだと その女性は 言いました





無期の中で、星野文昭が
人間が人間らしく生きられる
世の中をつくることを
諦めないように
暗闇を 焼き尽くす 希望を
その女性は 示したのです

その女性も私も 自分の子どもは
ありません
それゆえに なおさらに強く
子どもたちの 未来を抱きしめて
寄り添った言葉は
「闘って 原発をなくそう」
生きる 勇気を 与え合った
瞬間でした
 

暁子、チェルノブイリを生きる子を抱きしめて


結婚27周年 新たな出発の日に暁子へ


   生命が甦る 

「暁子か 笑わなくなったからだよ」
と文昭は言った
もう 何年も前のことだ

「ヘルペスが体じゅうに出ているんだ」
「ここにも ここにも』と
傷ついた 体の すぺてを
私に みせてくれた







柔らかな 男の性を
私は やさしく 受けとめて
生きている感動と
出会った 愛の大きさに
体が震えた

生命の輝きが 甦って
とり戻した 笑顔の中に
私が いた



暁子と行く、麦畑広がる大雪山のふもと

 

誕生日、暁子の好きな果物


未来につながる生命

   接 吻
 

30分の 面会の終わりを
いつものように 告げる 看守の声を間くと
あなたは 立ち上がって
なごりおしそうに 私の前に立つ


二重の アクリル板が
あなたと私の間に 立ちふさがり
これさえなけれぱ
温かい あなたの 体のぬくもりを
感じられるのにと
思いながら
私も立ち上がって
接吻を送る あなたに
唇を 合わせる

アクリル板に 口をつけるのも
駄目だという 看守も
心の 接吻を
抑えることはできない