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FumiAkiko Calendar 2011



暁子と歩く、春の山里
   週一回の手紙 

あなたにとって 
政治も 生活も 愛も
本当に ひとつのことだから
頭から 政治の話ばかりしてくる
あなたの 手紙を読むと
少し 孤独に なるのです

でも 最近は 少し 変わりましたね

週一回 7枚だけに 限られた
あなたの手紙の中で
日々のくらしがああり
愛の言葉があり
何よりも 私の手紙への 言葉があると
人の心は 不思議です
心が 抱きしめあえたように
安らぎを 感じます
奪われた 愛の営みの大きさに
ためいきをつくのではなく
豊かな あなたの愛の大きさを感じます
日々の生活に立ち向かう 勇気を
もらいます

「僕らの仕事は みんなを
励ますことだ」とあなたが言う
その「僕ら」とは 私のことだから
暁子も しっかりしなくてはと
思うのです
 

アフガン、カブールの姉妹






暁子が 僕のためにしてくいれていることを
考えたら もっともっと と言う
あなたの手紙に
愛の 静かな 喜びを 感じている
今日の 私です




面会の日、ほほえむ暁子
 
  文昭64歳の誕生日に 

数えきれない 無念さと
深い憤り
悲しみも あった
そんな あなたの足どりは
今 とびっきりの 笑顔になった

監視された日常
忍耐の獄中に あっても
心は いつも 暁子とともに
みんなとともにあると
あなたは言った

エールを送る
あなたの笑顔に包まれた時
みんな 幸せな気持ちになるようだ

愛が息づく あなたの笑顔は
小さな奇跡を 無数に産んで
「解放」の時の訪れを
ぐいっと 引き寄せている


冬の日々を豊にする野菜たち


五月 雨の日、帰る道の会話


 ゴーヤ、シマナー、シマトーガラシとマンゴー、スターフルーツ


夏風吹きわたる北の大地
 
   ピカドン
 

 そ8月6日 8時15分
あの日 黒こげになって
亡霊のように 川辺に向かって
人が歩いた
この同じ道を 同じ時を
激しい デモの中で 迎えましょうと
約束しましたね

 「この 川辺でした みんな次々に
 この川に入って おぼれて 死んだんです
 せともののかけらも 昔と同じです
 持って帰りませんか」

 「骨すらも残っていない死者は
 この地の中に 沈んでいる
 地下1メートルのところには 骨が
 ヒロシマの道は
 シズシズと歩かなければ」

  65年後の ヒロシマの怒りは
なまなましく
やっと来れましたよ
大槻さん
車イスで 出迎えてくれた あなたは
うれしようでした

ノーモア ヒロシマを叫ぶコールは
街中に 広がって
沿道の 人々の中に 吸い込まれていく
「機動隊は 帰れ!」
機械のように 立ちはだかる
機動隊に 怒りのこぶしを
ふりあげる

 「沿道の青年が二人
 デモに参加しましたよ」
 「盲導犬を引き連れて
 盲人の友人が デモに
 来ていますよ」

炎天下の8月6日
ヒロシマの怒りは
激しい デモで 悲しみを 燃やす




色どり豊かな木瓜の花々




 
   真夏日に 

こんなむし暑い日は
クーラーのある部屋に入っていますと
友の電話
少しは 節約をしようと
クーラーを 
つけたり消したりしている私と
あんまり 変わらないね

刑務所の夏は
濡れたタオルで いつでも 自由に
体をふけるようにという
あなたの 要求が 実現するまで
何年 かかるのだろう

昔は 刑務所にいる あなたと
同じ環境に いようと 
思ったことがあった
寒いときには寒く
暑いときには暑く

真夏日に
私が ひんやり甘い桃を
食べるのが好きだと言うと
自分も食べたような気になると
あなたが言うので
2個目の冷えた桃を
食べ終えて
手紙を書きました

     結婚24周年に、
     暁子へ、感謝をこめて

 
  面会室 パートⅢ 

談笑の途絶えた 待合室
待っている 面会人は 私ひとりだ
番号を 呼び出す アナウンスはなく
現れたのは 処遇第一統括
「弁護士が面会したから 
星野には 会えない」
思いを断つ 言葉を 
笑顔で言った

24回目の 結婚記念日の この日
贈りたかった 言葉があった
その すべてを 閉ざして
月2回の わずかな 
家族の 語らいすら
認められないと 統括は 言った

アクリル板で 遮られる
その ずっと手前の 検問
待っているはずの 文昭
たどり着けなかった 面会室


朝陽を浴びる北欧の街


暁子の誕生日、一緒に過ごす日に




冬が来る前に、暁子の贈る花々








 

  昭生命をいとおしむ
 

あなたから 生まれた花々は

音楽を かなでながら

思い思いの輝きで

生命を 広げて

咲き誇っています

過ぎてゆく 生命を 

いとおしむ あなたの

愛でしょう

この輝きは

ときめきでしょう

この柔らかな色づかいは

  毎 日 便 

「ゴッホとモネとセザンヌ
ピエール・ボナールの絵も 
あった方がいいね」

モーツアルトのコンサートの時は
いっしょに聞けたら 
どんなにいいだろうと
言った あなたなのに
友だちに誘われた 印象派の 
絵画展
きっと いい時間が 
過ごせるだろうと
送り出して くれた

たくさん買い込んだ 絵はがきは
今日 一枚 ゴーギャンを 選んだ
「ひと言 あいさつするぐらいで 
いい」と
あなたが 言うぐらいの 
言葉を添えた
私の 毎日便 
たくさんのたよりの中から 
見出して
あなたの孤独を 
抱きしめてくれるように



  文昭からの
    プレゼントⅠ
 


心のキャンバスに あなたから届いた
ウイスキーを飲み
私の好きな リンゴを食べて
バラを花瓶に挿してみた

あなたが送ってくれた賞与金で
ケーキを買い
今日のメニューは
あなたの好きなサラダとシチュー
ふたりで私の誕生日を迎える

今日を最高に生きることを
何よりも大事にしている
文昭と私の いっしょに迎える
55歳の誕生日

不思議に
さびしさはない