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FumiAkiko Calendar 2010



冬の日、暁子の心を癒すバラ





 
   細い足踏みの雪道 

細い細い 足踏みの雪道を
父は つくってくれた

慣れない 手つきで シャベルを持った 私が
ようやっと 雪かきを 終えたと思って
顔を あげると 
雪が もう うっすらと 積もっていた日

認知症になった 父が
さびしげに 私を見守って
いつの間に つくってくれた
細い 雪道を 歩いた
その細さが とても 悲しかったけど
心に 明かりが ともった

「お父さん ありがとう」
と言うと
こぼれるように うれしそうな顔をした父よ
何度も 思い浮かべて
私の中に 生きている父に
出会う この日に



大根、キャベツ・・・春の味


暁子と歩く春の小道


 初夏に歩く、京都東山・哲学の道



 母の日のプレゼント、バラ








 
    春の小道 

「暁子と歩く 春の小道」を
描いてくれた あなたに
「そんな時が 本当に 来たらいいのに」と
私は言った
「そんな時は 必ず来る」
楽しそうに あなたは応えた

そうね
希望は 信じるところから
生まれるものだから
そして
離れて 生きる日々を
豊かに 大切に 生きることから
つながるものだから

満開の桜の道は
乾いた日々の 夢を乗せて
確かに 希望へと向かって
つながっている

「そんな日は 必ず来る」という
半年ぶりに会った 
あなたの 笑顔が 
希望なのだ


沖縄の光のなかの果物たち


とうもろこし、なす、とまと夏の味
   森の匂い 

 大河の向こうから
私の あの男が
悲しく 私の名を 呼び続ける

傷だらけの あの男の体から
私の名を 呼ぶ声だけが
聞こえて

雨の日も 日照りの日も
この世のなのか あの世なのか
幾世紀かの 隔たりを越えて
その声は 聞こえて

生きていく 思いの すべてを
ここにかけて
私は あの男を求めて
さまよった

木々がなびき 
風の音が
あの男を 運んでくれるように
祈りながら
かけまわる 私の体は
朝露に 濡れて

疲れ果て
森の静けさに 包まれた時
木々の 色めく 匂いよ
一つになって 
我と彼を生きさせよ
 

       心癒すゆりの花々










夏風吹く北の大地
      愛情の発信地 

三畳の小さな房の中から
届けられる あなたの絵が
私に 伝えてくれるのは
生きている 生命の 喜びだろう

あまりに多くを 奪われているがゆえに
ふりしぼった 愛の強さゆえ
見えてくる 生命の輝きを
あなたは キャンバスに託した

あなたの日常に届ける
毎日の 私からのたよりは
あなたと私の生活を
豊かに 変えてくれたようです
孤独を癒し
あなたを
より身近に 感じさせてくれるのです
あなたの描く 生命の喜びが
許されている 私が
たよりを 毎日 書くことで
伝わってくるのです

豊かに ともに 生きるということが
闘いではあるのだけど
愛情の発信地に 
私がなることで
初めて 私たちの愛は 
豊かに なれるのです
 未来につながる生命
  (12人と多くの生命に)








輝く生命、暁子の誕生日に
 あふれる光の中の天使 

いつも 傍にいて 抱きしめ 愛していることを
僕は いつだって 恥じない
伝えられる限りの 真心で あなたに 向き合ってきたんだ
そして今日 接吻と 花束を 贈った
僕らの 奪われた愛を 天使の翼で 奪い返して

目を閉じた あなたは
幸せそうに 言った
「ぬくもりの先に あるものを
私は 知っているの
分かり合えた時の 喜びと
分かり合えない時の いたわり
それが 夫婦だってことを」

いつも 傍にいて 抱きしめ 愛していることを
僕は いつだって 恥じない
僕には 天使の翼があるから
いとしい あなたの さびしさを
ぬくもりにして 愛を 伝えることができるんだ

バラとひまわりが よく似合う あなたを
光の中で 抱きしめたんだ


 
    子どもたちへ 

母さんは おまえを 愛さなかった
おまえは 知っていた
夜になると 訪れる 男の声
とたんに 顔色を変える 母さん
「邪魔なのは あの子なのよ」と
しわがれた声は 聞こえて
母さんは おまえを 愛さなかった

「もっと いい子になれば
母さんは きっと 
抱きしめてくれるはずだ」と
おまえは 思って
「本当に 何のとりえもない子だね
結局 何ひとつ 身につかなかったじゃないの」
誇らしげに 母さんが そう言った時
おまえは 心で 謝っていた
母さんよりも できないままで
母さんよりも きれいでもなく
そう 母さんの子どもでいることを
母さんは 望んで
望まれるままに
心を 差し出す お前を
母さんは 愛さなかった






そうだったのだ
母さんに ぶたれて
血まみれになって 倒れた おまえが
叫んだのは
「母さん 母さん・・・」
「母さんのためだけに 生きる
おまえを 愛しているよ」と
魔女たちの 祭典が来るたびに
母さんは 言った

去っていく足音 お前の旅立ち
おまえを 抱きしめてくれる
大地を 踏みしめ
去るごとに おまえは
華やかに なびく 春風に乗って
本当の おまえに 出会うんだ
人間を 尊いと思える
そんな おまえにだ
(「虐待」の新聞記事を読んで)
 

暁子の心を満たすシクラメン