法廷内外の闘いで必ず勝利しよう 家族・共同代表 星野暁子
徳島刑務所でも大晦日だけは午後9時就寝ではなく、「紅白歌合戦」を観て午前0時まで起きていいことになっていた。4年前の大晦日、文昭との話を楽しむために私は友人といっしょに紅白歌合戦を観た。1月の面会に行って感想を聞いてみると、「大晦日は紅白歌合戦を見ないでロシア革命の本を読んでいた」と言った。こんなことは文昭と結婚して以来初めてのことだった。読み終えたロシア革命の内容に興奮していた。今から思うと、自分の生きられる時間の短さを惜しむように、ロシア革命の本を読んでいたのではないかと思う。 文昭はこんなことを言っていた。「革命を自分たちの世代でできるように頑張って、出来なければ若い人たちに委ねる」と。 文昭はウクライナでの戦争に何というだろうか。日本は、ウクライナに巨大な軍事物資を送るアメリカと一緒になって、ドローンまで送った。核戦争・世界戦争の危機に対して、全世界で反戦闘争が展開されている。ロシア・ウクライナはじめ世界の民衆による国際反戦闘争と連帯し、戦争に加担する自国帝国主義・岸田政権を倒すことだ。岸田政権は、軍拡と大増税を強行し、原発再稼働・新増設まで強行しようと狙っている。沖縄・南西諸島を軍事拠点化―戦場にしようとしている。戦争を阻止するには革命の実現しかないことがお茶の間の話題になるような情勢だ。頑張ろう! 星野国賠訴訟では、原告に一年遅れて被告・国の医師の意見書が出され、双方の意見書がようやく揃った。年頭にあたり思うことは、星野文昭を権力が殺した事実は、絶対に曖昧にできないということだ。被告・国の意見書を書いた池田正行は第三者ではなく、高松刑務所の医療第四課長で内科医だ。診療録(カルテ)に全く記載のない病名をあげて、根拠のない「反論」を展開している。医学的知見に反しても裁判所に圧力をかけ、原告側請求を却下するよう迫っている。絶対に負けるわけにはいかない。法廷内外の闘いで必ず勝利しよう。大坂裁判と一体に圧倒的な支援を改めてお願いしたい。 星野・大坂を一つに新たな飛躍を 共同代表 狩野満男 本年もよろしくお願いいたします。星野文昭さんへのずさんな医療、獄死への無念の思いと怒りで始まった国賠闘争は3年目を迎えました。闘いは大きく前進しています。とりわけ昨年の闘いでつかみ取った主体的な成果、情勢はとても大きいものでした。 原告側3人の医師による意見書に対する被告・国側の反論が1年近い遅延となり結局、国は身内の刑務所勤務の医師による2通の意見書(徳島刑務所医療と昭島医療センターでの手術)に頼らざるを得ませんでした。しかもその内容たるや事実誤認はおろか、ずさん極まる刑務所医療を擁護し開き直る言わば破れかぶれの代物です。 いま、攻勢に立って被告・国を追い詰めているこの地平は入管、刑事施設全体の拘束される側の人間としての医療を勝ちとる闘いです。いまでも刑務所で亡くなる受刑者の数と死因も医学的に解明されていない実態が続いているのです。この闇との闘いが星野国賠の核心にあります。本年は意見書を作成した医師、さらに当該の医師、職員、所長ふくめ証人尋問を勝ちとり真実を明らかにしたいと思います。2023年は冒頭から激しい攻防になるのは間違いありません。 もうひとつの闘いの柱は大坂正明さんの裁判闘争です。すでに「有罪立証」の鍵とされる当時の供述者の証言が始まっています。法廷はまさに証拠構造を同じくする星野再審の証拠調べの場と化し、実質的には「星野再審」の法廷そのものです。半世紀を経た「新証言」が当時の取り調べ、調書と矛盾・混乱を生み、でっちあげこそが真実であることを浮き彫りにしています。ここに星野再審で意見書を出された、記憶・供述について心理学の厳島行雄先生の証人尋問も行われます。 全国集会で確認された星野・大坂をひとつの闘いとする新たな広がりはすでに運動を相乗的に飛躍させています。被告席での大坂さんは、星野さんをすべて引き受け、引き継ぐ、強い意志を傍聴席に生き生きと伝えています。沖縄を再びの戦争の最前線にさせない闘いが、渋谷闘争を今日的に復権させ、いま法廷で闘われているのです。 星野新聞第135号 掲載 |