主催者あいさつ(要旨)
大きく幅を広げた星野・大坂闘争へ 共同代表 狩野満男
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星野文昭さんの獄死の責任を追及する星野国賠と対をなす闘いとして、大坂正明さんの裁判闘争が始まりました。本集会は、そういう中での画期的な全国集会です。
1971年11・14沖縄返還協定批准阻止渋谷闘争から51年が経ちました。国家の全体重をかけたでっち上げ弾圧に対する闘いは、不屈の反弾圧闘争として貫かれてきました。星野さん、大坂さんを先頭とした渋谷闘争の正義が今、誰の目にも明らかになっています。
星野闘争の全てを土台とし、さらに大きく幅を広げた星野・大坂闘争へと、運動の転換・飛躍を勝ちとっていきましょう。
今、ウクライナをめぐる戦争はだれの目にもアメリカ・NATO対ロシアの戦争の構図として映し出されています。アメリカの最大の敵対国は中国であり、その前哨戦としてウクライナ戦争を仕掛けたのです。
3・11フクシマ、反戦・反核・反改憲闘争の中で起きた、みやぎの会の星野闘争の歪曲について触れます。
3・11フクシマ行動とその原点を裏切る別行動は許されません。階級的労働運動の力に最大の求心力を求め、ヒロシマ、ナガサキ、あらゆる運動を包括してきた闘いからの脱落は、星野さんと星野闘争を裏切るものです。
また、今日の戦争情勢に対する時代認識とも対立するものです。労働者民衆の自国の戦争を止める闘いと国際連帯こそが戦争を止め、支配のくびきを断つのです。獄中との団結によって発展した星野闘争は、根底からの社会変革を求める戦争絶対反対の立場に立ちます。「人間が人間らしく生きられる社会を」と訴えた星野さんの魂を投げ捨てるものです。
今夏の全国総会はこれに対する批判と意見であふれるものとなりました。みやぎの会を担う事務局の刷新と、会員が本来求める新たな反戦・反核・反改憲を核心とする星野運動の再構築を図る以外ありません。
星野国賠訴訟では、原告側の3名の医師による意見書は被告・国に大打撃を与え、10月になって初めての反論意見書が出されました。しかも、徳島刑務所の責任を否定する刑務所勤務の医師の文書であり、刑務所医療を「刑の執行のための医療」とする法務省の論理で貫かれています。
大坂裁判は、10月25日の初公判からすでに6回の公判を終えました。国家権力は異常なスピード審理で早期有罪決着を狙っています。しかし、記憶消滅の証人で何が裁けるのかということです。大坂さんは法廷を団結の場として闘いぬいています。傍聴闘争で団結し検察、国家権力を粉砕しましょう。
差し迫った市東孝雄さんの農地、生活拠点の全てを奪う強制執行手続を弾劾し絶対に阻止しましょう。三里塚は星野精神を育んだ階級闘争の大地であり、遺骨が市東さんの畑の一角に仁王立ちする星の木と共に埋葬されています。星野さんはここに眠り、ここに生き闘っています。星野追悼碑を守り、強制執行を断固実力阻止しましょう。 |
家族のあいさつ(要旨)
反戦・反核・反改憲を闘おう
家族・共同代表 星野暁子
星野の国賠訴訟では、池田正行の医師意見書が提出されました。池田は高松刑務所の医療第4課長で権力の中枢そもので、詭弁に満ちていて、怒りなしには読めません。「獄死のない社会」をつくりたい。これは文昭が言っていた「人間が人間らしく生きられる社会」であり「戦争のない社会」です。
みやぎの星野の会に対する批判が、8月の全国総会で全国から寄せられました。みやぎの会の一部の人たちが、3・11郡山行動を分裂集会として中心的に担ったことは許せません。10年間共に築いてきた反戦・反核、ノーモアヒロシマ・ナガサキ、チェルノブイリの内容をかなぐり捨て、汚染水問題だけの集会としてやったのです。みやぎの会は、今日の集会内容ともあい容れません。決別する以外ありません。みやぎの中で「星野さんのことに人生をかけたい」という人たちと新たな会をつくるために連帯していきたい。
ビデオメッセージにあったように、今日は三里塚で緊急現地闘争が闘われています。国家権力は市東さんの命である農地を奪い、正義を踏みにじろうとしています。市東さんの農地に文昭の遺骨を分骨し、そこにモニュメントを建てています。市東さんの農地を守りぬきましょう。
時代は、ここまで来ています。星野闘争の豊かな展開を切り開き、反戦・反核・反改憲を推し進めましょう。国際反戦闘争、自国帝国主義打倒の闘いで、岸田政権を打倒しましょう。 |
星野弁護団報告(要旨)
医療放棄を正当化 岩井信弁護士
私たちは、昨年12月までに3人の医師の意見書を提出しました。これに対して被告側は、医師の意見書をいつ出すかを明らかにせず、「出す出す」と言うだけのあいまいな態度を続けてきました。
徳島刑務所に関するものを書いた池田正行医師は大学教授等をやったりしましたが、現在は高松刑務所の医療第4課長です。ネットで検索すると、「私の意見書で負けそうになっていた訴訟を逆転した」と自慢する記事を書いています。彼は「エビデンスに基づく医療」と言っていますが、根本的な問題に答えていません。
それは、2018年の秋になぜ腹部エコー検査と血液検査を行わなかったのか、ということです。星野さんは8月22日に激しい腹痛で倒れ、緊急の診察を受けています。彼が「大げさになるから良い」と言っているのに、職員は車イスで運びました。
その原因が分からないのに検査を途中でやめてしまうのは、医師としてありえないと柳澤裕子医師も怒っています。池田医師は、柳澤医師の意見書に学術論文のようなエビデンスがないと切り捨てようとしていますが、長年にわたる総合内科医としての経験に踏まえる意見を無視してはなりません。
池田医師は、8月20日の受診と22日の緊急受診を混同し、「定期診察の時に腹が痛いと言っただけで急性腹症ではない」と主張しています。これこそ、エビデンスに基づかない主張です。また、10月には700g体重が増えたから「一貫して体重が減ったという主張は誤りだ」とも言っています。しかし、それまで55㎏を切ったことのない星野さんの体重が減り続け、その途中でほんの少し戻ったことを強調するのは「木を見て森を見ない」の典型です。
エコー検査をやるべきかどうかには踏み込まず、「法的義務はない」とだけを言うのが池田意見書です。また「星野さんの肝臓は良い肝臓だった」とひたすら強調しています。これからの裁判で、根本的な批判をしていきます。
星野弁護団報告(要旨)
山本志都弁護士
大坂裁判は51年前の事件を法廷で裁くという、前代未聞の裁判になっています。本当に裁判として行えるのか。
まず、証人尋問では、殆どの質問に対して「忘れました」「記憶にありません」「覚えていません」という答が返ってきます。そうすると何が起きるか。検察官の調書というのは51年前に取っているが、そちらの方が信用できると、そっちが法廷に証拠として出て来てしまうという構造があります。亡くなった証人については、無条件に、法廷証言が証拠に出来ることになっています。刑事裁判の原則で、供述調書はそのままでは証拠に出来ないことになっているにもかかわらずです。
ですから、本来時効にかかって免訴にならなければいけないんだと当初から言ってきています。51年前の裁判なんてやっぱり出来ないんだと、1日1日明らかになっています。
これまでは、最重要証人が終わったんですけども、これから、デモ参加者の学生の尋問で、取り調べの状況というのがドンドン明らかになって来ると思います。前回の検察官の最重要証人というのは、結局検察官の取り調べでは、それ程ひどいことはされていないというスタンスで来ています。しかし、それ以外の学生というのは、星野さんの公判などで、「供述調書は嘘です」と皆さん言っています。言っているにもかかわらず、結局公判よりも調書が取られてしまう状況が、おかしな判断を生み出しているので、そこのところを公判廷で明らかにしていきたい。どういう心理状況で、そういう嘘の証言をせざるを得なかったのかということを、ご本人の口から言って頂きたいと思っています。
私が会いに行った方などは、「生涯の中でこんな場に出ることは多くないと思う。だけど、自分のせいでいろんな人が困ってしまったということに責任を感じているので、これが仇討ちだと思ってやりたい」ということをおっしゃってる方もいます。
2月の6日、7日には心理学者の厳島行雄先生、原聡先生の証人尋問があります。取り調べや写真面割りが行われているんですが、それが今のやり方からすると写真面割りとは言えないような取り調べの方法をしています。それに対抗する科警研の心理学者の証人尋問が3月初旬に準備されています。
大坂さんは、傍聴席が埋まって皆さん熱心に聞いておられることを非常に喜んでいます。これからも傍聴よろしくお願いします。
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徹底的に反撃する 土田元哉弁護士
夏の全国総会で、人を死なせたり、健康を害するような施設は解体しなればならないと発言しました。それに加えて、追及されても疑問に答えないようなあり方は許せないと言いたいです。私たちが医師の意見書を提出してから1年近くが過ぎました。徳島刑務所に関するものはようやく出ましたが、医療センター関係はまだです。
医療センターで肝臓がんの切除手術を受けた2時間半後に、星野さんの血圧が急降下し64まで下がりました。尿も出なくなり、ヘモグロビン値も下がりました。ここで術後出血を疑って検査をすれば出血は確認されたはずです。必要だったのは再開腹して出血を止めることでした。意見書を書いた肝臓外科の専門医は、再開腹止血術を行えば100%に近い確率で星野さんは助かった、これをしなかったのは重大な過失だとおっしゃっています。
これに対して被告側は、術後出血を疑わせるデータはなかったと主張しています。それなのに、「星野さんは再開腹止血術に耐えられなかった。止血術を行わなかったことと星野さんの死との因果関係がない」と言います。これが一番許しがたいことです。
徳島刑務所に関しては、「星野さんの肝臓がんは特殊だった、C型肝炎もなく肝硬変もない良好な肝臓だった」と強調しています。だとすれば、術後管理をちゃんとやれば星野さんは死ななかったのです。
被告側の主張には、誰が死の責任を取るかという視点がありません。池田医師は「負けそうな訴訟を逆転させた」と自慢していますが、裁判はゲームではありません。真実を明らかにし、星野さんや家族の無念を晴らすためのものです。徹底的に反撃して、ここで勝負を決します。
国家犯罪を暴く裁判 和久田修弁護士
この裁判の本質は、ほぼ故意的に星野さんの命を奪った国家犯罪を暴くことです。
東日本成人矯正医療センター関係の意見書はまだ出ていません。ここに国の追い詰められた姿が現れています。徳島刑務所関係の意見書を書いたのは完全な御用医師です。まともな医師なら、その矜持にかけて書けないのだと思います。
沖縄闘争を闘った星野さんが死んでも良いというのが国の本質です。だから反論できないのです。
ある看護師に「こういう時に何をすべきか」と聞いたところ、「執刀医に連絡する」と答えました。当然ですね。しかし、それをしなかったのです。その真実を明らかにするために弁護団は全力で闘います。
大坂さんの裁判は、星野さんの再審と一体です。共に闘っていきます。
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