8月29日、2021年全国総会は東京の亀戸文化センターで開催され、23の救援会、8つの共闘団体、70人の参加で意気高く勝ち取られました。
最初に大坂さん救援会の飯島幸雄さんが大坂正明さんのメッセージを読み上げ、でっち上げ粉砕の決意を語りました。関西生コン支部の武建一委員長から熱いメッセージが届き、司会が読み上げました。
共同代表の狩野満男さんが基調報告を行いました。続いて、土田元哉弁護士から被告・国の言い逃れを医学的見地からの反論で国を追い詰めていることが報告されました。専門医の意見書を年内に提出する予定であることも明らかにされ、力強い前進を感じさせるものでした。
午後は、以上の提起に踏まえ討論が活発に行われました。最初に星野国賠全国運動の呼びかけ人である金元重さん、船木明貴さん、福島尚文さんが発言し、星野国賠に勝利する全国運動の豊かな発展を展望することができました。その後、全国各地の救援会が次々に発言しました。。
星野暁子さんが家族の訴えを行い、星野さん獄死の責任を追及していく決意を表明しました。最後に基調報告の確認が全体の拍手でされ、星野暁子さんと狩野満男さんを次の1年の共同代表に選出して総会は終了しました。
コロナ第5波は爆発的感染となっている。菅(安倍)政権は1年半、何一つ有効な手を打たないばかりか、GOTOトラベル、オリパラ強行開催で完全に医療崩壊の状況を作り出してしまった。金権と腐敗にまみれたオリンピックに対して7月23日、世界の怒りとつながる実力闘争を蘇らせた意味は実に大きい。
星野文昭さんを獄死させた国の責任を追及する国賠訴訟は、星野さん獄死の経過の解明とその責任を取らせる怒りが運動の継続として掲げられ、必死に闘ってきた。徳島刑務所と東日本成人矯正医療センターの責任を医師の意見書をもって追及する段階に入っている。
「星野国賠に勝利する全国運動」が昨秋発足した。5月30日には呼びかけ人会議も行われ、いよいよこの全国運動が力を発揮する時を迎えている。入管、刑事施設の非人間的な医療、処遇への怒りを糾合する結集軸となるような運動へ発展させていこう。そのためにも東京地裁に対する要望書を集めよう。
関西では全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部弾圧支援のなかで、星野絵画展を通した訴えが弾圧を打ち破る闘いと共鳴し、相乗的に大きな団結と新たな発展を作り出している。
「台湾有事」をあおり対中国侵略戦争にのめり込む米日の軍事戦略が、再び沖縄を焦点化させている。新たな沖縄闘争が待ったなしで切迫する今日、渋谷闘争と星野さんの不屈の闘いがこの時代と問うものとして急浮上している。星野闘争を労働運動や地域の様々な闘い、そして情勢と結合する、運動の主体的な転換が勝ち取られている。これまでの「星野さんを生きて取り戻す」運動の主軸から、これを乗り越え発展させる闘いが具体的に始まった。これらが階級的労働運動と改憲・戦争阻止!大行進運動の一翼を担うことで、さらに星野闘争陣形を強固にしていこう。
全国の星野闘争は広範な労働者民衆の怒りと結びついて闘われている。港合同、関西生コン支部、動労千葉が呼びかける11・7全国労働者総決起集会は広範な民衆の大衆運動の結集軸としても労働運動とひとつに闘われている。この一体となった闘いで戦争と改憲を阻止しよう。
闘いの方針は、①国賠闘争、②沖縄連帯、③絵画展の拡大、④団結と連帯の拡大、⑤国際連帯、⑥11・14渋谷闘争50年を闘おう。
11月28日に星野文昭さん、大坂正明さん、奥深山幸男さんの闘いをひとつに据える全国集会を開催する。11・14渋谷闘争の歴史的意味を明確にし、星野さん奥深山さんを引き継ぎ、大坂さんの無罪・解放を勝ち取る集会として、これまでの枠を越えるものとして実現しよう。
絵画展は星野闘争の宝 金元重さん
私の友人で、李哲(イチョル)さんという方がいる。彼は1975年、韓国に母国留学中に北朝鮮のスパイという容疑をでっち上げられて、中央情報部に逮捕され、拷問の末、死刑判決を受けるという過酷な人生をたどった。無期に減刑され、仮釈放で13年の獄中生活を終えて日本に帰ってきた。その後、再審無罪となり、今は大阪で元気に暮らしている。
その李哲さんが「長東日誌 在日韓国人政治犯・李哲の獄中記」という本を出した。1975年の事件ですから、星野さんの闘いとダブる。まさに、韓国西大門(ソデムン)刑務所での格闘と、安保・沖縄返還をめぐる渋谷暴動闘争で獄中闘争を闘った星野文昭さん、大坂正明さんらの格闘が、あざなえる縄のように胸中を駆け巡る。
星野さんがもし生きて出てこられたら、星野さんの獄中回顧録を私たちは読めたはず。彼の獄中回想録を本当に見たかった。
でも、私たちには星野さんが残した絵画がある。200点になる多くの美しい水彩画、それが今絵画展として、星野さんの再審運動、そして国賠運動にとっても大きな力、私たちの宝になっている。私たちは彼の人柄をしのび、彼の獄中生活をしのび、彼が目指した全ての人々の幸せの世界を作り上げるという、そういう革命家達の志があの絵の中にあるということをどういうふうに受け止めて、これからの闘いに生かしていくべきか、そういったことを感じる。
絵画展については、星野救援運動、国賠闘争にとって非常に重要な宝だと思っているし、今各地でいろんな形で創意工夫の絵画展が行われているということは心強いことだと思う。国賠全国運動としてもぜひこれを大きなステップにしていきたい。
今改めて、李哲さんの本という鏡を通してみると、星野さんの闘いの本当のすごさというものをもう一度認識する必要があるのかなということを思いながら、今日の集会に臨んだ。
広がった神奈川の闘い 船木明貴さん
文昭さんと暁子さんを軸として集まってみなさんの熱い想いの中に包まれる形で、非常に居心地がいい。一緒にいることの嬉しさ、そこから来る力、文昭さんもどれだけそれを思い描いていたのかと思う。
横浜市長選があった。菅のお膝元で大変な負け方をさせたということは、カジノ反対で20万の署名を集めた市民運動の力もあり、我々も菅倒せ、改憲・戦争阻止でずっと県内各地で訴えてきて、そういうものの集積があったと思う。
こんどは、武器の見本市を企画しているのではないか。「横浜を武器の商売の街にするな」という新たな闘いが始まるのではないかと思っています。
僕は(新型コロナの)ワクチン漬けになるんじゃないかと思って心配をしています。微生物敵視社会をやめ、自然治癒力、生物多様性、本来の健康の自然と人類の共生のあり方みたいなところに立ち返るべきだと思っている。命を育む、平和を作ろうと努力し続けることでしか維持されない。
沖縄も50周年に向けて焦点化してくる。沖縄の人が星野さんの闘争を共に闘うことでようやく沖縄を仲間達と一緒に闘えるんじゃないかと思ったという。
星野さんの闘争や絵画展を取り組む中で、本質の部分、原点の部分をお互いに考えあいながら、さらに、我々の外に広げていくということをも神奈川で、さらに進めていかなければないと思っています。
全国の皆さんとつながれている。そこに可能性と希望を感じます。さまざまの運動と星野闘争をさらに統合をさせながら、より大きくしていきたいなと思っています。
無関心生む壁を破ろう 福島尚文さん
星野文昭さんが亡くなった後の日比谷松本楼での記者会見の席で、今の日本でこんなことがあっていいのかという衝撃を受けました。しかもそれを、悪かったと言って認めればいいんですけど、平気で責任逃れをしていく体質。
3月6日に、ウィシュマ・サンダマリさんが亡くなったのと全く同じじゃないか。人の心があるのかという怒りに火が付いた。
星野さんもウィシュマさんも大坂正明さんも壁の向こう側です。壁というのは物理的な壁でもある。実際に刑務所だったり拘置所だったり入管だったり、工場の外側だったり、要するに仕切って中を見せない。あるいは外敵からの侵入を守る。物理的な壁であると同時に、壁ができたことによって中が見えなくなる。壁があることによって関心がなくなっていくことに気がついた。
これは大変なことだ。それは在日韓国人、障害者、LGBT等々、いわゆるマイノリティの人たちに対しても自分の中で勝手に壁を作って、関心持たないできた。それを変えていかなきゃいけない。
加えて、差別排外です。資本家等は自分の都合のいい情報は出すでしょう。それを拡声器のように流すからいけない。この構造が戦前もあった。言論の果たしてきた犯罪的な役割というのは大きい。
星野さんの国賠裁判は、勝てる闘いだと、僕は思ってます。全国運動も幅広い市民の理解を得ながら、メディアの関係者も巻き込んで進んでいけば、勝利できるんじゃないかと思ってます。
全国の救援会から16人が発言されました。全て貴重な意見ですが、紙面の都合で、新しく救援会を結成した大阪と、東京・東部の発言要旨を掲載します。
大阪市 川原正さん
私は大阪市で小学校の事務職員をしています。
私の職場闘争から言いますと、大阪市では今「ステップアップ研修」と言うのですが、不適格教員研修攻撃がかけられています。校長の恣意(しい)的な「評価」によって研修所に行かされ、職場から分断されています。この攻撃で、今まで累計で55人ほどの人が対象になっており、職場復帰したのは10人くらいという許し難いものです。
この研修制度絶対反対で、昨年度と本年度修正案を出しました。昨年度は分会総意の決議であげ、本年度は一人で、少数否決でしたが、声を上げたことが僕の自信になりました。また、反対の声を皆に知らせることもできました。
この「ステップアップ研修」も、星野闘争とつながっていると思います。星野さんは長い間獄中で、獄外と分断されていました。こういうことを変えていきたくて星野闘争をやる決意をしました。
1月から「大阪市星野文昭さんをとり戻す会」の結成を準備しました。沖縄での星野集会で、暁子さんの話を聞けてとてもうれしかったです。そして、6月25日からの絵画展で正式に会の代表になりました。
今、対中国侵略戦争にのめりこむ日米政府によって、沖縄が再び焦点化されています。新たな沖縄闘争が求められています。この時に星野闘争がまた重要になっていると思います。皆で、今の世の中を変えていきましょう!
東京・東部 小泉純子さん
星野文昭さんの命日の5月30日を前にして、堀切菖蒲園の地区センターで3日間絵画展を行いました。閑散としている地域なので不安もありましたが、地域で、駅頭で、近くのスーパーなどでビラを撒いたところ、本当に多くの方に来ていただきました。200名近かったと思います。
1日目に、持ち合わせがないのでと言って5千円カンパしてくれた女性が、翌日自転車で駆けつけてくれて、涙ながらに5万円をカンパして下さいました。さらに、70年代の闘いをやった方、成田の方で働いている方、星野さんを知っている方なども来られて、絵画展を頑張ってやってよかったなと思っています。成功したということで、もう一度東部の地域で、ユニオンの方々と一緒に、新たな星野闘争をやっていきたいと思っています。
昨日、大坂さんの集会に参加しました。船山先生の学習会にも4回参加させていただき、奥深山さんの追悼集を改めて読みました。星野さんの救援運動に取り組みながらも、知らなかったことが多いなと思いました。奥深山さんはお亡くなりになるまで見えない手錠をかけられて弾圧されてきた。大坂さんも長い間、指名手配攻撃と闘いぬいて、ご家族の思いなどを考えると、すごいご苦労があったと。
星野さんはその先頭で、獄中で44年間縛られ、闘い抜いてきた。これを本当に一体のものとして今、闘う時が来たんだと思います。
もう一度怒りを取り戻す、星野さんは助けられた命だったんだ。怒りを呼び戻して、更に運動を構築していきたいと思います。特に、爆発的なコロナ感染で、医療崩壊や解雇や命の軽視等が問題になり、人々の怒りが沸騰している情勢の中、地域の仲間と共に、運動を再構築していくための取り組みを始めます。
闘いの継続で局面拓く 連帯労組関西生コン支部
2018年7月から始まった日本の労働運動史上最大ともいわれる権力弾圧が関生支部に吹き荒れています。滋賀県、京都府、大阪府、和歌山県の各県警が先を争うがごとく刑事事件をデッチ上げ、延べ89人を逮捕し、67人が起訴されました。その刑事事件の公判も進み、大阪の運賃引き上げを求めたストライキの一次・二次は「威力業務妨害」、京都の就労証明を求めることが「強要」との不当判決が下されています。
7月13日には、武委員長の滋賀と大阪の併合事件判決が下されました。「恐喝」とされていたタイヨー生コン事件は、無罪を勝ち取ったものの、コンプライアンス摘発やストライキは懲役3年・執行猶予5年という不当判決でしたが、検察が狙った8年求刑を押さえて執行猶予を勝ち取りました。このタイヨー生コン事件の無罪は、全国の仲間の闘いが大きく前進した結果であると同時に、今後の闘いの局面を切り開いたと確信しています。
私たち関生支部はどのような判決があろうとも全国の仲間と団結し、意気高く反転攻勢の闘いを進めています。コロナ禍の中で解雇・差別された仲間を救済する闘い、命がけで闘っている医療・介護労働者の支援、沖縄辺野古新基地撤去の闘い、老朽原発廃炉の闘い、戦争のできる国作りに突き進む菅政権の打倒、星野文昭さんの無罪獲得、等々です。全国の仲間と団結して闘いを継続することで、必ずや局面を切り拓くことが可能であると確信しています。今後も闘い続けることを誓って、連帯のメッセージに代えさせていただきます。
民衆の力で裁判包囲を 大坂正明さん
私の闘いは星野文昭さんの無念を晴らすための一つのコースとなります。星野さんの裁判と同じ証拠構造なので、その証拠であるデモ参加者の供述のデタラメさを暴くことが基軸となります。これに勝利すれば星野さんの再審に直結するのです。
また私の裁判はもう一面、起訴そのものが不当だということがあります。この闘いは、事実上の奥深山幸男さんの再審ということになります。奥深山さんを45年間も被告席に縛り続けたことの不当性を問うものです。私の時効の針を止めるために、奥深山さんを見えない手錠につないでいたことを許さない闘いです。
私の裁判はこの両面で闘うことになりますが、どちらの面を見ても権力の攻撃は不当なものです。
星野さんの国賠は法務省の全面的居直りとの対決が本格化します。刑務所の医療が社会一般の常識とはかけ離れた非常識なものであることを認めさせなければなりません。
名古屋入管で見殺しにされたウィシュマさんについて、法務省はトカゲのしっぽ切りではありますが誤りを認めました。一部でも不当性を認めさせたことには大きな意義があります。そうさせたのは、入管を包囲した民衆の力です。星野さんの国賠もこのような形にすることが必要です。
国賠は論理的には決して敗けることはありません。しかし民衆的関心が薄いと権力は平気で居直ってしまいます。だから居直ることができないほど大きな声とすることができるかに運動の成否がかかっています。
1971年の闘いから50年目のこの秋、沖縄の闘争と固く連帯し、一体となって星野国賠の旗を掲げ、運動を盛り上げていただきたいと思います。
2年前の星野さんが虐殺された無念さを、改めてかみしめつつ、皆さんからの朗報を待っています。
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星野新聞第119号 掲載
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