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国賠全国運動大飛躍の年
広範な民衆の怒りと共に

星野精神で未来を開こう


第3回口頭弁論の後、星野文昭さんの遺影を掲げて、星野暁子さん、狩野満男共同代表などを
先頭にして法務省を弾劾するデモ行進をおこなった(2020年12月3日 霞が関)

 
2021年新年アピール
 
星野暁子さん   「みんなで文昭になろう」と今年も呼びかけたい
 文昭のいない2度目の正月を迎えた。過ぎ去った35年の中で、会えない時間の方が圧倒的に多かった私たちにとって「会えない時もいっしょに生きる」ことは重要な闘いだった。
 短い面会を埋め合わせてくれたのは、手紙と絵、詩だった。それでもやはり「面会ですべてを交わす」ことがあればこそ成り立っていたのだ。文昭が殺されてから1年7カ月がたち、文昭と対話をしながら生活することがようやくできるようになった。残された絵と詩、手紙に向き合いながら、一緒に生きる時間を大切にしている。そばにいて一緒に生きてくれるようになったと私は思っている。「私が文昭になる」「みんなで文昭になろう」は、今年も呼びかけたい。
 トルコのUID - DERから、正月に配信したライブビデオ・プログラムの中で文昭の絵を使ったと報告のメールが届いた。ビデオは、詩のバックに文昭の絵が流れる。まるで、絵の世界を描いた詩のようで、絵と詩がフィットしている。詩は闘いに立ち上がることを呼びかける詩だ。「生があれば希望がある。闘いがあれば希望がある」文昭の絵の本質をこのようにとらえてくれた。私も改めて勇気づけられた。
 国賠の闘いは、第3回口頭弁論を昨年の12月に終えて、いよいよ本格的な攻防に入っている。争点は二つ。徳島刑務所の検査・治療の遅れと文昭にも四国地方更生保護委員会にも巨大な腫瘍(しゅよう)が見つかったことを告知しなかったこと。そして東日本成人
矯正医療センターの医療過誤の問題だ。文昭の生命がかかっている国賠訴訟をあいまいにはできない。新自由主義のもとでの医療問題、すべての受刑者の生命がかかっているのだ。
 迎賓館・横田爆取事件ででっちあげ有罪とされた板垣宏さんが出獄、満面の笑みで勝利宣言した。これから、共に連帯して闘っていきたい。

 狩野満男共同代表 国賠・全国運動の発展は改憲阻止地域運動と一体
 2021年を迎えました。まさに激震、激動の歴史的な年になります。全世界を覆うコロナ禍は自然の制圧など本来不可能であることを突きつけました。グローバリズムはあらゆる生命の住み分けを破壊し、自然からの反撃に打つ手を失っています。社会的弱者に矛盾を強い、命を奪っています。医療崩壊はその象徴です。医療こそ社会保障であり、今こそ「人間らしく生きる社会」を取り戻さなければなりません。
 私たちは昨年、こうした中で星野国賠を正面課題として闘い、その成果を積み上げてきました。「星野国賠に勝利する全国運動」の立ち上げは、星野闘争で蓄積されてきた運動が土台です。ここに新たな呼びかけ人が加わり、その輪郭が徐々に形成されてきました。これを出発点にさらに陣形を広げていきます。刑務所医療の非人間性は、法務省の「刑務所内完結主義」による閉鎖性と保安優先の構造と運用にあります。外部の一般医療と断絶され、医師の判断も刑務所長に従属させられ、限られた薬品の範囲でしか処方されません。受刑者は自分の薬さえ知ることができません。この中で星野さんの命が奪われました。医療センターでの手術もまさにこの闇の中で行われたと言えます。そしてこの闇には多くの受刑者の苦しみと奪われた命が数多くあるはずです。この実態を暴くのが私たちの闘いであり、星野さんが託した闘いなのです。星野国賠全国運動は裁判闘争と共に絵画展を軸とする要望書運動、改憲阻止地域運動として私たちが星野さんの意志を継承する闘いです。本年も裁判と一つに法務省弾劾デモを恒常化させたいと思います。大坂救援会は大坂・奥深山・星野弾圧構造を今日的に解明、総括し、公訴棄却への新たな闘いの方針を打ち出しました。大坂さんの治療と健康を守り一つになって闘っていきましょう。

 岩井信 弁護士  今年こそ国賠訴訟通して真実を勝ち取りましょう
 寒さが肌に突き刺す頃になると星野文昭さんを思い出します。
 徳島刑務所の冬はとても寒いです。文昭さんとの面会室も冬は壁や接見台が冷たく凍えるほどでした。刑務所内では布団をかぶることが禁止されていて、耳が最も凍えるので、一方の耳を枕にあてて寝ると文昭さんは言っていました。朝起きると、表にさらしていた方の片耳が凍傷のようになっているので、交互に枕にあてて寝ていると言っていました。
 文昭さんが求めて、ようやく徳島刑務所でも使い捨てカイロが支給されるようになりました。文昭さんが求め、勝ち取ったひとつです。
 文昭さんの国賠訴訟がはじまりました。
 2019年3月1日の腹部エコー検査や腫瘍(しゅよう)マーカーの検査結果などからすれば、「直ちに」外部病院、せめて医療センターへの移送を実施すべきでした。しかし、徳島刑務所がようやく同月13日付で診療情報提供書を作成したのは、翌日の14日に予定されていた四国地方更生保護委員会との面接で、訪れた委員に対し文昭さんが、病変により仮釈放の必要性を訴えさせないためでした。
 徳島刑務所は、更生保護委員会に対し、仮釈放の審理事項である「心身の状況」に「変動が生じたときは、速やかに」報告する法律上の義務があります(社会内処遇規則第7条4項)。刑務所が法令に背いてまで更生保護委員会に報告せず、文昭さんにもずっと告知さえしなかったのは、3月25日に予定されていた更生保護委員会の仮釈放審理に影響を与えないためだったのです。
 真実は求めなければ明らかになりません。
 文昭さんにならい、今年こそ、私たちは真実を求め、真実を勝ち取りたいと思います。

星野新聞第111号 掲載