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東京拘置所はコロナ対策をとれ
大坂裁判事務局が申し入れ


 大坂裁判事務局は4月14日、東京拘置所(中川忠昭所長)と森雅子法務大臣あてに、東京拘置所での新型コロナウイルス感染予防をしっかり行うこと、感染が疑われる場合は獄外と同じ医療を全面的に行うこと、さらには拘置所内の全ての被収容者を解放すべきであることを申し入れた。
 新型コロナウイルスへの感染が拡大する中、法務省は4月11日に、東京拘置所に収容されている被告人の男性が新型コロナウイルスに感染したと発表した。報道によれば、男性は4月上旬より咳などの症状を訴えていた。PCR検査の結果感染が明らかになったが、その後も東京拘置所内に留め置かれ、「治療」を受けていると言われている。しかし東京拘置所はこの男性に接触した職員らの感染の有無を明らかにしておらず、自宅待機措置もとっていない。
 大阪拘置所でも刑務官4人の感染が確認されている。刑事収容施設は、一定の空間に多くの人が収容され、環境も換気も悪い。その上で医療が極めて劣悪だ。被収容者には一切の自由がなく、感染予防をしたくてもできない。感染予防が徹底的に行われなければ、被収容者の命と健康を守ることができない。

全ての被収容者を直ちに解放せよ
 大坂正明さんは弁護士と接見した際、「拘置所内でコロナ対策がほとんど行われていない」と強い危機感を訴えた。看守がマスクをして時折取っ手などをアルコール消毒する程度だと言う。大坂さんが、マスクを購入しようとしたが、品切れのために購入できなかった。やむなく差し入れを希望してきたのだが、なんとマスクを外から差し入れることもできない扱いなのだ。東京拘置所の対応は、新型コロナへの真剣で十分な対策といえるものでは全くない。安倍政権の「緊急事態宣言」発令によって、面会や差し入れの自粛を求めたり、弁護人以外の面会を禁止する措置によって、被収容者の権利侵害を強めているだけだ。
 世界では、刑務所内でのコロナ感染拡大を懸念し、イランで約7万人(3月上旬)、インドネシアでは約3万人(4月上旬)、アフガニスタンで約1万人(3月下旬)、アメリカでもニューヨーク市900人(3月31日)をはじめ全米で数千人が一時解放または早期釈放されている。
 パンデミック情勢と日本の拘禁施設の劣悪さを見れば、被収容者の命と健康が大きく損なわれ、壊滅的事態を招く恐れがある。法務省は、被収容者を見殺しにするな。直ちに全被収容者を解放しろ。刑務所・拘置所で殺されてたまるか。大坂さんの命と健康を守ろう。今こそ世界の労働者は団結して、共に生きよう。



星野新聞第98号 掲載