11月9日、「私がチョンテイルだ」。ヨイド公園前の大きな幹線道路をせき止めて、10万の労働者が結集して開かれた民主労総の大会で、大きな叫びがこだました。動労千葉訪韓団120人の一員として参加した。午前中訪れたチョンテイル記念館には、あまりに劣悪な労働環境に抗議して自らの体に火を放ったチョンテイルの足跡が刻まれていた。大会は「チョンテイル烈士精神継承全国労働者大会」として、労働者の解放に命をかけたチョンテイル精神を引き継ぐことを誓って毎年開かれている。香港の労働者も発言した。
大会終了後、国会に向かってのデモ。国会には警察の装甲車で阻止線が張られていた。一足先に到着していた動労千葉訪韓団の前に、サウンドトラックを先頭に大部隊が到着。右からも大部隊が入ってきた。民主労総は、機動隊の壁に対峙し、機動隊をごぼう抜きにしたということだった。
午後6時30分頃に闘いが終わり、動労千葉の関道利委員長が訪韓団を前に「今日の経験を日本に持ち込んで、日本の労働者の闘いに火をつけよう」と締めくくった。田中康宏顧問が「今日国会前に迫ったのはムンジェイン政府の労働改悪と闘うためだ。日本の安倍政権は、8時間労働制以前まで労働法を解体しようとしている。これと闘わなければ民主労総との連帯はない。日本での新しい闘いを」と呼びかけた。日本でも幹線道路をせき止めるような闘いを、と訪韓団の皆が思った。
高速料金所の闘い
翌日は2つに別れ、私たち40人はバスで4時間、クミ(亀尾)の旭硝子非正規支会籠城(ろうじょう)現場とキムチョン(金泉)のトルゲート闘争現場に向かった。
韓国道路公社本社で、トルゲート(高速道路料金所)労働者120人が占拠籠城を続けている。イミョンバク政権下で、それまで直接雇用だったトルゲート労働者を非正規職労働者として民間会社に強制配転。所属は変わったが指示・監督は道路公社が継続するという違法派遣だった。今年の春、道路公社は「正規職化」と称し、全国6500人の労働者に子会社への転籍を強要した。これを拒否した1500人が解雇され、直接雇用と原職復帰を求め闘っている。ほとんどが女性と障害者だ。この日で占拠は63日目だという。
公団敷地には、赤い横断幕がはりめぐらされていた。女性労働者と私たちの間には、警察の柵があり、警備の警察官が立ち並んだが、その間をくぐって、熱い握手が交わされた。交流会が始まり、群馬合同労組の清水彰二委員長とコンビニ関連ユニオンの河野正史委員長が連帯のあいさつをした。占拠闘争中の民主労総・民主一般連盟のキムボンジン副委員長が「ムンジェイン自身による問題解決と謝罪を求めていく」と発言。トルゲート女性労働者が、「私たちは、明るく元気に闘っていると思いませんか?」とあいさつ。律動を踊ってくれた。交渉結果なのか、その時だけ警察は脇に退いた。笑顔での律動は、素晴らしかった。8月には、直接雇用を命ずる最高栽判決も勝ち取っている。今が踏ん張り時だ。闘争のシンボルが描かれたスカーフを、民主労総の女性労働者が一人ずつ私たちにつけてくれた。星野としてもカレンダーを贈った。訪韓団は、一列に並んだ女性労働者一人ひとりと警察官を押し分けて握手し、別れを惜しんだ。
クミの旭支会訪問
旭支会は、日本企業AGC(旧旭硝子)の韓国法人の下請けの労働者だ。労組結成が理由の不当解雇から4年5ヶ月、原職復帰と正規職化を求めてきた。5回の日本遠征闘争を重ね、昨年動労千葉を柱に結成された支援共闘会議が共に闘ってきた。籠城現場は、AGCの広大な工場前にある。色とりどりの横断幕が張られている前で熱く歓迎された。「闘ってこられたのは、多くの労働者と日本の同志たちの支援があったから。全労働者の勝利まで闘う」とチャホノ支会長が発言。支援共闘会議の山本弘行議長が応えた。
日韓の労働者は、安倍政権の韓国バッシングをはねのけ、同じ資本に対する闘いの中で一瞬で団結できることを実感した。
訪韓3日目 11・11
韓国拘束労働者後援会と感動的交流を実現できた
訪韓3日目の11月11日、拘束労働者後援会(拘労会)を暁子さんと共に6人で訪問しました。
9日の民主労総労働者大会の会場で、「FREE星野」の旗を見つけて、拘労会事務局長のペミヨンさんが声をかけてくださり、1年ぶりの感動的再会でした。会場横のテントに暁子さんと共に伺い、暁子さんは「星野カレンダー」を手渡し、簡単な交流をしました。暁子さんがペミヨンさんに、文昭さんが5月に亡くなったことを伝えると、権力への怒りと共に優しいねぎらいの言葉もかけてくださり、大きな信頼を感じました。
11日には事務所で会長のチョヨンゴンさんとペミヨンさんが出迎えてくださいました。暁子さんからは、文昭さんの葬儀へのメッセージのお礼と、この数年間、多大なご支援をいただいたことへの感謝が伝えられました。そして、これからも、①国家賠償訴訟、②第3次再審闘争、③改憲・戦争阻止!沖縄・米軍基地反対!安倍政権打倒!を闘う決意が表明されました。
食べきれない程の昼食をいただきながら、短い時間でスマホ、英語、身振り手振りを駆使して交流を深めました。
文昭さん虐殺・獄死させた国家権力への怒りを共有し、チョヨンゴンさんとペミヨンさんとの団結を深め、国際連帯を前進させることができた感動的訪問でした。(大阪・とり戻す会 吾郷春代)
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星野新聞第90号 掲載
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