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星野さん獄死の責任を追及
徳島刑務所で証拠保全
再審弁護団 藤田城治弁護士

10月18日、徳島刑務所に対する証拠保全を行いました。3回の証拠保全で入手した資料を精査し、1日も早く国家賠償請求訴訟を提訴します。これと一つに各地で絵画展を開き、新たな星野闘争を前進させましょう。藤田城治弁護士に徳島刑務所に対する証拠保全の報告を書いていただきました。(編集部)
徳島刑務所での証拠保全に立ち会った、右から藤田城治弁護士、岩井信主任弁護人、カメラマン(10月18日 徳島刑務所)

 証拠保全は、裁判の提訴前に、相手方(本件では医療センターや徳島刑務所)が所有する証拠や資料を、裁判官と共に強制的に確認する裁判手続です。相手方からすれば、証拠保全当日、開始数時間前に裁判所職員から「今日の午後、裁判官と関係者がそちらへ行くので、必要な資料を準備しておくように」と突然通告を受け、開始されるので、「家宅捜索」のイメージで考えればいいと思います。警察が行う捜索=「ガサ」のように相手が持っている資料を一切合切持ち出すことはできませんが、相手方に資料を提出させ、それを現地でコピーや写真撮影することで、内容を保全することができます。

 計3回に及ぶ証拠保全実施
 星野再審弁護団は、星野文昭さん獄死に対する国の責任を追及する国家賠償請求訴訟のため、昭島の医療センターに7月29日と9月6日の2回、10月18日に徳島刑務所で、計3回の証拠保全を実施しました。
 なぜ、証拠保全が必要かといえば、一つは、国が都合の悪い記録を改ざんするおそれがあることです。
 もう一つは、星野さんへの徳島刑務所の医療放置、そして、手術がきちんと行われたか、すべてが刑務所という密室で行われたため、この手段によらなければ星野さん獄死の経過を明らかにする資料を入手できないからです。
 普通の医療機関ならば、患者本人が求めれば、カルテを当然に開示します。自分自身の体の情報は、本人に開示されるべきという考えに基づきます。しかし、刑務所では、受刑者本人にも医療記録は一切開示しないという扱いです。したがって、証拠保全という裁判所の手続によるしかないのです。
 証拠保全では、毎回ほぼ午後一杯を使って実施しました。徳島刑務所では、午後1時過ぎから開始し、帰りの飛行機の時間ぎりぎりの午後7時過ぎまで行いました。プロのカメラマンに同行してもらい、国が開示したカルテ等の資料を1枚1枚撮影しました。写真の数は毎回数百枚以上という大変な作業を担っていただきました。この写真のおかげで、裁判所の記録ができあがる前に内容の検討をすることができています。
 ただ、昭島の医療センター関係の5000枚に及ぶ画像記録があり、これは裁判所の記録ができてからコピーすることになります。

 国家賠償請求訴訟に向けて
 これまでの証拠開示で、国が持っていた星野さんの医療に関する記録は一通り入手したことになります。今後は、これらを、協力してくれる医師に送付し、徳島刑務所の医療放棄の実態、医療センターで行った手術の適否、また、術後の対応に問題がなかったかを検討してもらう作業に入りました。医師の意見をもとに、国の責任を明らかにする主張を整理します。
 弁護団としてはむしろこれからが本番です。国家賠償請求訴訟で、星野さん獄死の経過を明らかにし、国の責任を明らかにしていきます。今後もご支援をお願いします。


星野新聞第88号 掲載