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 7月5日の法務省包囲デモと6日の全国総会から新たな闘いが始まりました。
 星野暁子さんは「文昭の闘いのすべてを引き継ぐ」と語り、1971年星野さんと共に闘った大坂正明さんは「星野さんの遺志を継いで闘う」と表明しています。国家賠償請求訴訟と第3次再審に勝利する大運動をつくろう。
「星野文昭さん追悼 獄死・国家犯罪を許すな7・26全国集会」に集まろう。
7・5法務省へ怒りのデモ
 7月5日正午、全国の仲間320人が日比谷公園霞門に集まり、法務省包囲デモを行いました。
 星野暁子さんが「文昭が残してくれたすべてを生かしきり、人間が人間らしく生きられる社会をつくるために頑張りましょう」と訴えました。三里塚芝山連合空港反対同盟の伊藤信晴さん、救援連絡センターの菊池さよ子さん、全学連委員長の高原恭平さんが、共に闘うことを表明しました。
 共同代表の狩野満男さんが「一人ひとりが星野さんになって闘おう」と呼びかけて、デモ出発です。
 遺影を持つ星野暁子さんを先頭に全員が喪章を付け、星野さんの絵のパネルもかかげました。法務省に「命を奪った法務省弾劾」「国家犯罪を許さないぞ」と、怒りのシュプレヒコールを叩きつけました。

7・6全国総会で星野精神継承誓う
 星野精神継承を熱気に満ち討論
 翌6日、すみだ生涯学習センターで、120人が参加して2019年全国総会を行いました。
 黙祷(もくとう)の後、星野さん追悼のDVDを上映し、戸村裕実共同代表が開会のあいさつをしました。
 星野暁子さんが「文昭が生涯をかけた闘いのすべてを引き継ぐ」決意を述べました。
 これに続いて事務局が基調報告を行いました。
 再審弁護団の岩井信主任弁護人と和久田修弁護士が国賠請求訴訟と第3次再審を闘うと表明しました。
 続いて、大坂裁判事務局の杉浦文俊さんが大坂正明さんの裁判を報告し、吉川健明医師が肝臓がん切除手術の問題を説明しました。
 討論では、各地の仲間が発言。権力への怒りと悔しさを語り、星野精神を継承し闘う決意を述べました。
 平良修さんの退任を確認し、戸村裕実さん、星野暁子さん、狩野満男さんを共同代表に選出しました。
 暁子さんと星野誉夫さんが家族のあいさつを行い、星野文昭さんへの思いを込め「インターナショナル」を歌って終了しました。
 当面する最大の闘いは、7月26日に開催する全国集会です。あらゆる人に参加を訴え、歴史的な成功をかちとろう。


  81号に掲載された方々の発言を掲載します。
  ☆生涯かけた全闘いを引き継ぐ 星野暁子さん      ☆幸福な一生だったと思う  いとこ 星野誉夫さん
  ☆支配体制と全面的対決を 共同代表 戸村裕実さん   ☆星野精神は絵中あのにる 共同代表 狩野満男さん
  ☆国賠訴訟で責任取らせる 星野再審弁護団  岩井信主任弁護人  和久田修弁護士
  ☆大坂裁判報告 遺志を継ぎ大坂さんの無罪を  裁判事務局 杉浦文俊
  ☆医療報告 獄中医療弾劾の国賠を闘う  医師 吉川健明
  ☆基調報告 星野精神を継承する総決起を  全国再審連絡会議 金山克巳
 生涯かけた全闘いを引き継ぐ   星野暁子さん
 私は今、星野文昭の無実を明らかにする再審請求人として、文昭が生涯をかけた人間が人間らしく生きられる世の中を求める闘いの全てを引き継ぐ者として、皆さんの前に立っています。よみがえるのは、文昭の愛の大きさと獄死させた権力への怒りばかりです。
 星野精神の継承とは何か、文昭に問いかけつつ考えています。一つは、人間への信頼です。文昭は、人間の本質を他者との共同性としていました。私と仲間を信頼し、労働者が必ず立ち上がるという確信は揺るぎませんでした。
 二つは、人間解放のための準備を日々怠らず革命家として生きたことです。まず、学習です。大好きな絵も優先順序を変えず、体力作りもやめませんでした。
 三つは、他者への優しさです。まず私と周りの人を考え、それから自分のことを考えるというのが常でした。配膳する受刑者の負担を考え、おかゆの申し出を決断しなかったぐらい気遣いました。
 四つは、どんな仕事も全力投球したことです。カバン作りが負担だったことを考えると、悔しいですが、文昭は常にそうでした。そして、沖縄への連帯がこの全体を貫いていました。
 やるべき闘いが3つあります。一つは国家賠償請求訴訟です。昨年8月に文昭が倒れた時、原因究明の検査がなされていれば、もっとリスクのない治療ができたはずです。医療センターでの巨大ながん切除の手術は2名のみの執刀医で行われました。万全な体制だったのか。術後の体制はどうだったのか、明らかにしなければなりません。国賠に勝利し、文昭の無念を晴らさなければなりません。
 二つは、殺人罪でっちあげを明らかにする第3次再審請求裁判です。申立人には私がなります。大坂裁判を星野裁判の継続として闘い、勝利を勝ち取りましょう。獄中44年を強制した国家権力に対する再審であり、沖縄をめぐる再審として、私は自分の生命をかけ、明るく闘います。
 三つは、安倍政権打倒の闘いです。
 「もう一度生まれても、僕は暁子と皆との団結を生きる」それが文昭が残した言葉です。危篤になっても、全力で生き抜き、私の手を握り、抱きしめあい、安らかな顔で文昭は旅立ちました。文昭が残したものは、200枚を超える絵も含め、大きいと思います。書簡集も作りたいです。
 弁護団、救援会の必死の闘いに改めて感謝します。悲しみを乗り越え、皆さん頑張りましょう。

 幸福な一生だったと思う   いとこ 星野誉夫さん
 非常に残念です。5月22日に面会し、元気な文昭君と別れたのは暁子さんと私です。いつものようにニコニコしながら帰っていきました。当然、手術は成功して、また元気に会えるという前提だったわけです。それがかなわなかったこと、非常に残念です。
 文昭君は「再審で必ず出られる」ということを確信しておりました。それで、暁子さんに相談して、暁子さんは「仮釈放で出てきてもらいたい」と文昭君に言ったわけです。岩井さんも「ここは仮釈放で出てくることが非常に重要なんじゃないか」ということを言ってくれました。
 でも、仮釈放が許可されず、非常に残念だったんですが、それ以降も本当に彼は希望に燃えておりました。手術で元気になれば、またいろんな活動ができる、ということを一所懸命考えていたわけです。
 彼は幸福な一生だったと思います。皆さんを信じ、運動を信じて、それが最後まで勝利できるというふうに考えていたと思います。
 暁子さんを通じて皆さんとのお付き合いは残ると思います。文昭君からは「暁子が困った時には助けてくれ」と言われていますから、それはずっと続けます。それを通じて、皆さんとの縁も何らかの形で残ると思いますので、今後もよろしくお願いいたします。
 支配体制と全面的対決を
        共同代表 戸村裕実さん
 昨日の法務省包囲闘争と19年度の総会ということで、全国からお集まりいただきましてありがとうございます。
 時々振り返ると、ふと文昭さんがもう「居ない」ということに、何か喪失感を覚えることがあります。でも私たちは、その喪失感にひたっているわけにはいきません。運動を進めていかなければいけないと思っております。
 昨日、法務省弾劾闘争がありましたけれども、私はいつも法務省を考える時に、「検察村」ということを考えるんです。だいたいの局長が検察あがりであったりで、何かあったときにだいたい検事正というのは出てこないですよね。大臣はあやまるけれども、検事総長はあやまらないです。出てこないです。検事総長は事務次官よりも偉い。大臣があやまっても、検事総長はあやまらないという、こういう支配体制だと思います。私たちは、こういう在り方との全面的な対決をして、真相を明らかにして責任を取らせるために闘っていかなければいけないと思っています。
 すでに暁子さんからの昨日の発言にもありますように、星野闘争の継承、星野文昭さんの精神の継承、ということが訴えられております。今日も、これからの基調報告の中で、これまでの四国地方更生保護委員会との闘い、徳島刑務所の不作為、そういう過去の実態を踏まえつつ、これからの運動の方針が提起されると思います。それを踏まえ、今日1日熱烈な討論をおこなって、そして、これからの運動の前進をかちとっていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  星野精神は絵の中にある
         共同代表 狩野満男さん
 星野闘争始まって以来の、星野文昭さんの獄死という本当にあってはならないような事態の中での総会になりましたので、私も皆さんの議論を一所懸命聞きました。今日の議論を私の糧にして、皆さんと一緒に運動を作っていく上で、全体の運動の責任を背負っていくと改めて決意しています。
 暁子さんが、星野精神を継承して闘っていくと宣言されました。星野精神とはどういうものか。これは私たちが創っていくものですけれども、僕が一番考えているのは、星野精神は、やはり絵画の中にあると思うんです。星野さんにしかない力、それは暁子さんや私たちと一緒になってできたものであり、本人が70年代以来のの闘いを全部背負い込んで、そういうものが絵の中にあると思います。これがやはり僕にとっての星野精神であり、星野闘争の精神だと思います。
 それから、闘いの条件、前提が変わりました。国家権力が大坂正明さんを2年前に逮捕したことで、星野さんを失った私たちにとって、この大坂さんの存在がいよいよ重要なものに転化しました。この間の星野闘争の物量と迫力が大坂裁判の証拠開示を押し進める力になった。
 裁判所―国家権力は「社会的関心の高まり」、つまり運動がどうなるか、これを一番恐れています。新しいスタートとして大坂裁判に臨み、星野再審も勝利していく運動として、絵画展も継続し、広げ、私たちの運動が「大行進運動」を形成する主要な力になっていくことだと思っています。
 その上での提起ですが、新しいリーフレットを早急に作り、署名用紙の形式、要望書も、どういうものにするか、これも早急に検討して、整えたいと思いました。来年の総会まで、共に闘いましょう!
 国賠訴訟で責任取らせる
           
星野再審弁護団
 ●岩井信主任弁護人

 裁判所から第2次再審請求異議審「終了」の書類が届きました。タイトルは「決定」という2文字で、7月2日付です。ところが、この書類の中には、「殺人」という事件名が書いてありません。再審で私たちが闘ってきた最も重要な罪名がこの書類の中には書かれていないということです。いかに裁判所がこうしたことに無頓着であり、「死亡」ということに何らの感覚を持っていないかが明らかです。手続きを終了させる一つの理由、としか考えていないわけです。
 「巨大な腫瘍( しゅよう)」という言葉、この「巨大」というのは私たちが選んだ言葉、形容詞ではないんです。「巨大」というのは、死亡診断書を書いた医療センターの医師が書いた言葉です。この「巨大」というところまで放置された、医療の放置。また、その腫瘍があることを仮釈放審理の中で隠ぺいした医療隠ぺい。さらに、手術の判断、術後の対応、そこですべきことをしなかったという医療過誤。この医療放置、隠ぺい、過誤について、国家賠償請求訴訟の準備を、今進めています。
 真実を明らかにしていく闘いが、始まるわけです。告別式の時に述べたように、これは終わりではなく、新しい闘いの始まりであるわけです。私個人としても、これまで直接に面会できていた弁護人として、星野さんに対する責任があると思っています。

 ●和久田修弁護士
 星野さんが亡くなられて本当に悔しく、寂しい思いで一杯です。再審弁護団は1991年に結成され、同年に私も弁護士になり、28年やってきました。「人間が人間らしく生きられる社会」というのを、一番非人間的な刑務所で訴え続けてきた星野さんの気持ちが、私としても、弁護士としてここまでやらしていただいたものだと思っています。 歩みを止めず、国家賠償請求、皆さんと共に再度、再審をかちとり、星野さんの無念を晴らす。それが私にとっても弁護士としての課題と受け止めています。

 大坂裁判報告
  遺志を継ぎ大坂さんの無罪を
           裁判事務局 杉浦文俊
 星野さんを失い、だれもが喪失感を感じている。だがここで立ち止まるわけにはいかない。星野さんが残したもの、闘いとった地平を踏まえ、前進しよう。
 大坂さんは星野さん逝去の報に、「私自身も星野さんのやり残した闘いを引き継ぐべき最も近い位置に立つ一人ですから、これを何としても成し遂げたいと思います」と述べ、星野さんの闘いを自分自身が引き継ぐと決意している。星野の無念を自分が晴らすのだと闘争宣言を発した。この大坂さんの決意に応えよう。
 星野闘争は、世界の労働者に響く内容と闘いを作り上げた。「星野精神の継承」とは抽象的な話ではなく、具体的な権力との攻防。星野さんを奪われた怒り、悔しさを、暁子さんの闘いと一体で大坂裁判闘争として貫こう。
 大坂裁判は、星野裁判と全く同じ証拠構造だ。権力の弾圧に込めた意図は、70年決戦で社共に代わる青年・労働者の荒々しい闘いが具体的な姿を現したことに対する恐怖だ。星野さんは屈服を拒否し、闘い抜くことで敵の狙いを根幹において打ち砕いた。星野闘争とは、星野さんが命をかけて訴えた「人間が人間らしく生きられる社会」をめぐる階級激突だ。大坂裁判で権力のでっち上げの全貌を暴き、星野の再審・無罪の展望をこじ開けよう。
 大坂裁判は今、弁護側立証に焦点が移った。裁判員裁判は司法の改憲攻撃。これまでの常識が通用しない闘いだ。だが、裁判所は大坂裁判が星野闘争と一体だとよく知っている。ビラまき一つで慌てだし、「裁判員裁判の判断は支援組織や社会的関心の高まりなどを総合的に判断して行う」と言っている。この間の爆発的な星野闘争の発展は、証拠開示を推し進める力となってきた。改憲阻止決戦と一体で巨万の労働者と結合し勝利しよう。


  医療報告  獄中医療弾劾の国賠を闘う
                       
医師 吉川健明
 星野さんと直接会って、握手をし言葉を交わして聴診器を当てたかった。それがかなうことなくこの日を迎えることになってしまって残念です。
 星野さんの獄死は、これは獄中医療によって殺されたということだと思います。獄中医療はすべてがブラックボックスの中にあるということです。昭島の医療センターは形式的には立派な施設のように見えるが、同じです。星野さんがどのような痛みを受けたのか、そのすべてが今は閉ざされているのです。
 星野さんが暁子さんに書いた手紙の中で巨大な肝臓がんの素晴らしい絵を描いています。画家だから上手いというのではなく、肝臓がんを克服し暁子さんと共にここに立つんだという思いで描いているんです。
 徳島刑務所、医療センター、これらのすべてがでたらめな医療を行っている、およそ医療とは言えないものです。
 この星野さんを殺した獄中の隠された医療を、明らかにすることが国家賠償請求訴訟です。ブラックボックスにある獄中医療という医療環境の中で星野さんは放置され、小さながんが巨大ながんにまで成長して殺された。このすべてを怒りをもって弾劾しなければならないと思います。
   基調報告  星野精神を継承する総決起を
                       
全国再審連絡会議 金山克巳
 星野文昭さんは5月30日に東日本成人矯正医療センターにおいて逝去されました。享年73。
 28日に肝臓がん切除手術を受け、翌日未明に危険な状態になってからも最後の最後まで生きるために闘い抜きました。獄中44年を不屈に闘った星野さんを生きて取り戻せなかったことは、本当にくやしく、痛恨のきわみです。腹の底からの怒りが沸き上がります。
 本日の全国総会から、星野文昭さんの精神を継承する闘いを開始しましょう。
 第1に、星野暁子さんが星野さんを継いで闘うことを宣言し、悲しみの中から勇躍立ち上がっています。
 第2に、大坂正明さんは星野さんと共に11・14渋谷闘争に決起し、46年間のでっち上げ指名手配攻撃と闘い、「自分こそが星野さんの遺志を継がねば」と決意しています。
 一昨年徳島市で「30年問題に全力で取り組んで星野さんを取り戻す」という方針を決め、大前進、大飛躍を実現してきました。この2年間の闘いの核心は、星野さんを実際に取り戻すことです。「星野さんを徳島刑務所から出そう」という目標と希望が、それまでにないものすごいエネルギーを生み出し、運動と闘いの大飛躍を実現しました。
 70年安保・沖縄闘争は、学生と並ぶ膨大な青年労働者の決起を生み出しました。そのピークをなす11・14渋谷闘争に政府・国家権力は恐怖し、「二度とこのような闘いを許さない」と星野さんに憎しみを集中しました。星野さんは死刑求刑・無期懲役を受け、獄中44年を不屈に闘いました。彼は労働者民衆とその闘いに無限の信頼を寄せ、「すべての人間が人間らしく生きられる社会」の実現を獄中から訴え続けました。

 新たな大運動を

 星野さんの精神を継承する大運動をつくりましょう。第1に、改憲・戦争阻止に立ちあがる広範な労働者民衆と団結し、安倍政権を倒すために闘おう。安倍政権に対する怒りは地に満ちています。改憲・戦争阻止大行進と一体で闘おう。
 第2に、星野さんがなぜ獄死したのか真実を明らかにして責任を取らせるために、国家賠償請求訴訟を起こします。6月21日、第1弾として東京地裁立川支部に証拠保全を申し立てました。
 第3に、星野暁子さんや家族が継承して第3次再審請求を行います。でっち上げ判決を打ち破って再審・無罪をかちとろう。
 大坂さんの無罪・釈放を私たち自身の重要な課題として闘いましょう。
 当面する最大の闘いは「星野文昭さん追悼 獄死・国家犯罪を許すな7・26全国集会」です。星野闘争に関係したあらゆる人たちに呼びかけて、杉並公会堂を埋める大集会を実現しましょう。

   星野新聞第81号 掲載
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