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家族に毎日面会と手術立ち会いを
弁護団が矯正医療センターに通知書

 徳島刑務所は、本年3月のエコー検査で星野さんの肝臓がんを把握しながら、1カ月半もおし隠し治療を放棄し続けた。星野さんは今、東日本成人矯正医療センターに移監され、手術を待っている。 弁護団はこうした経緯を踏まえ、5月14日、万全の手術と、家族の回数制限を超えた面会と立ち会い等を求める「通知書」 を医療センターに送った。(以下全文)

通   知   書
 2019年5月14日
東京都昭島市もくせいの杜二丁目1番9号
      東日本成人矯正医療センター
     センター長 奥 村 雄 介 様
 
  〒101-0054 東京都千代田区神田錦町1丁目8番地伊藤ビル3階
神田橋綜合法律事務所(連絡先)    
TEL 03-3233-6620  
FAX 03-3233-6221  
通知人星野文昭弁護人    
弁護士 岩  井     信  
同   鈴  木  達  夫  
同   和 久 田    修  
同   西  村  正  治  
同   藤  田  城  治  
同   酒  井  健  雄  
同   角  田  義  一  
 当職らは、星野文昭(以下「通知人」といいます。)の再審弁護人として、以下のとおり、 申し入れをします。
 通知人は、本年4月18日木曜、徳島刑務所から貴医療センターに突然移監され、その知らせを受けて驚いた当職(岩井)も直ちに同月22日月曜に接見をしたところです。
 その後の検査により、肝臓癌が発見されました。その大きさは肝臓の半分ほどで(最大部が14cm×11cm)非常に大きく、進行のステージはⅡからⅢで、医師によるとどちらかというとⅢとの説明でした。現在、手術を予定していると聞いています。
 通知人が、進行癌を告知されて不安に思い、最愛の家族に近くにいてほしいと願うことは自然にして当然のことです。本来であれば家族には毎日面会され付き添ってもらう場面であり、その面会の必要性は極めて高いものです。特に手術前の説明と手術後の報告を家族や親族にも受けてもらい、状況を共有し、互いに励まし合い、少しでもストレスをなくし、適切な予後を過ごすことが進行癌に対する治療としても必要です。
このため、1ヶ月3回という回数制限を超えても家族の面会を認めるようお願いします。また、手術後、最愛の妻暁子さんが病室で会えるよう、特別のご配慮をお願いします。
 このように進行癌を有する73歳の通知人は、刑の執行を停止することができる要件である「著しく健康を害するとき」(刑事訴訟法482条1号)及び「年齢70年以上」(同2号)にも該当します。
 したがって、少なくとも、妻の星野暁子さんや従兄弟の星野誉夫さんの面会については、通常の面会回数に限らず認めるよう、特別の配慮を申し入れます。

 徳島刑務所の責任は重大

 なお、通知人やその家族、弁護人らは徳島刑務所の段階から、本人の体調がすぐれないことを、長らく、また繰り返し、具体的な症状をもって指摘し、適切な検査を求めてきました。当職らも何度も書面を送付してきました。にもかかわらず、肥大化した患部を有する進行癌が突然発見され、突然貴医療センターに移監されたことは、徳島刑務所の医療措置に重大な過誤があったことを示すものです。
 特に仮釈放審理において「心身の状況」は調査事項であり(犯罪をした者及び非行のある少年に対する社会内における処遇に関する規則第18条4号)、同事項に変動があった場合には刑務所長には保護観察所長への通知義務があります(同規則第7条8号)。
 この点、通知人は3月4日、エコー検査を受けています。エコー検査は、超音波を発する装置を当て、音波のはね返る様子を画像にすることで体内の状態を観察する検査であり、結果は直ちに判明するものです。特に、患部の大きさは肝臓の半分ほどで非常に肥大化していたのですから、刑務所は少なくとも3月4日の検査直後に直ちに患部を認識、把握していたはずです。

 仮釈放の意図的な妨害行為

 しかし、通知人は、4月17日の移監前夜になってはじめて、徳島刑務所の医務担当から、エコー検査の結果、肝臓に問題があり、医療施設での検査が必要という結論になったことを知らされました。3月14日には、四国地方更生保護委員会の井坂委員長が通知人と面接をしていますが、その際にもエコー検査の結果には言及されず、ことさら体調についても話題になっておらず、同検査結果を把握していなかったと思われます。
 仮釈放審理の結果通知の直後に突然、貴医療センターに移送するほどの病気の疑いが告知されたことは、通知人に進行癌の疑いがあるという「心身の状況」について徳島刑務所が隠蔽したか、もしくは適切に報告せず、その結果、仮釈放を認めさせないように画策した疑いがあります。仮に徳島刑務所において通知人の「心身の状況」について正確な報告がなされていなかったとすれば、仮釈放をしないという四国地方更生保護委員会の判断の前提に誤りがあったとの重大な疑いが生じています。
 また移監の方法も、手錠をしたまま徳島から昭島まで1日かけた車での移動によるものであり、トイレも車内での簡易トイレを強要されました。貴医療センターの医師の説明によれば、最悪、何らかの衝撃で破裂する可能性もあるほど患部は肥大化していたのであり、車での1日かけた移動は、およそ進行癌の疑いのある患者に対する配慮がない極めて非人道的なものです。このようなことを二度としないよう申し入れます。
 貴医療センターにおいては、通知人の家族、親族への説明を手術前後の説明、報告を十分になし、1ヶ月3回という回数制限を超えても家族の面会を確保し、特に手術後は妻の暁子さんと病室で会えるように特別の配慮をお願いするとともに、今後の適切かつ迅速な医療措置を強く申し入れます。




   星野新聞第77号 掲載
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