TOPページへ ! 

11.29全国集会総会 基調報告+集会決議
星野さんをとり戻そう! 全国再審連絡会議
2015年全国集会 基調報告      2015・11・29












[1]今こそ星野文昭さんを取り戻そう

 2015年の星野闘争は、9・6徳島刑務所デモを頂点に決定的な大前進をかちとりました。絵画展は全国57カ所で開催され、1万人を越える人たちが星野文昭さんの絵と闘いに触れました。2016年のさらなる飛躍を実現し、今こそ星野文昭さんを取り戻そう。
 今、世界戦争の危機が激化しています。
 11月13日、パリにおいて襲撃事件が発生し、129人が死亡しました。「イスラム国(IS)」が声明を出し、フランスのオランド大統領が「これは戦争だ」と絶叫してシリアへの空爆を拡大しています。アメリカ、ロシアも空爆を強化して、パリ襲撃で殺された百倍、千倍の罪なき人々が虐殺されています。
 24日にはロシアの爆撃機がトルコ空軍に撃墜され、プーチン大統領はこれに激しく反発しています。第3次大戦と言うべき情況が、私たちの眼前にあります。
 情勢は完全に変わりました。戦争と新自由主義を打ち破る闘いが、全世界で闘われています。戦争を真に阻止する力は労働者のゼネストと国際連帯にあります。
 11月1日、日比谷野外音楽堂に集まった5700人は、全世界の労働者と団結して60年、70年を越える闘いを切り開く歴史的な集会を実現しました。戦争に反対し、外注化・非正規職化、貧困との闘いを押し進め、国鉄闘争を中軸に闘う労働組合を組織するのです。ここに、2016年から2010年代中期へ、安倍政権を倒し、労働者民衆の未来を開く展望が示されました。
 29人の大訪日団で11・1集会に参加した民主労総は、11月14日、パククネ打倒のゼネストに決起し、15万人が機動隊と激突して深夜まで闘いました。逮捕攻撃を打ち破って登場したハンサンギュン委員長は、「パククネを退陣させるまで、2次3次民衆総決起闘争を組織して闘おう」と呼びかけました。
 星野文昭さんを取り戻す闘いは、戦争と新自由主義を打ち破る全世界の闘いと一つです。星野さんは「私は絶対に譲れないものを守り抜いてきた。それは国鉄闘争と一つだ」と語っています。そして無期懲役の獄中から「すべての人間が人間らしく生きられる社会」の実現を呼びかけています。労働者階級の団結と国際連帯をつくり出す星野さんを、もはやこれ以上、徳島刑務所に置くわけにはいきません。2016年、闘いの飛躍をかけて総決起し、星野さん解放と人間解放を一体で実現しよう。
 2016年の飛躍の第1は、『星野新聞』の発行です。
 1月から、『星野新聞』を発行します。新聞発行は、巨大な情勢に対応するものであり、100万人と結びつく力をつくり出すものです。
 第2は、徳島刑務所に対する闘いです。2月19日、94人の星野さんとの面会者が中心となって徳島刑務所に対する申し入れ闘争を行います。2010年以降の友人面会禁止を許すことはできません。徳島刑務所を徹底的に弾劾し、星野さんの健康と権利を守ろう。
 第3は、再審闘争の前進です。この闘いは星野さん解放に直結します。東京高検を追い詰め、11人の民間目撃者の供述調書を始めとするすべての証拠を開示させよう。東京高裁に迫り、三者協議を実現しよう。
 第4は、絵画展をさらに全国で開き、47都道府県に星野救援会を結成することです。その最先端として、東京23区で絵画展を開催しよう。
 第5は、7月参議院選挙です。弁護団長である鈴木達夫弁護士が星野文昭さんの解放も掲げて東京から立候補します。国会議員を持つ運動として、星野さん解放へ驀進しよう。
 これらの決意を込めて、本日、戦闘的都心デモに打って出よう。

[2]総括 -この1年間の前進-
(1)11・1労働者集会-60年、70年を超える新たな闘い
 11月1日、全国労働者総決起集会がかちとられました。この集会は、「オープンスペース街」や全学連にかけられた国家権力の弾圧を打ち破り、日本共産党や社会民主主義、SEALDS等との党派闘争に勝ち抜いて実現されました。
 この集会はまず第1に、新たな時代を切り開くために、国鉄闘争の継続と発展をかちとりました。動労千葉は、第2の分割・民営化である外注化攻撃とこの15年間、不屈に闘い、勝ち抜いてきました。そして、非正規職労働者の新たな結集を実現しています。動労水戸は、被曝労働拒否のストライキを闘い、階級的労働運動の新たな発展の基軸となっています。この上に、動労総連合が全国に建設されようとしています。
 第2に、国際連帯の新たな発展を実現しました。パククネ政権打倒のゼネストに決起した民主労総との熱烈な団結がかちとられ、すさまじい弾圧を突き破って参加したトルコの闘う労働者との連帯が実現されました。ドイツの労働者も参加しました。
 第3に、弾圧を打ち破った全学連、非正規職化と闘う青年労働者たちが先頭に立つ、熱気にあふれた闘いとして実現されました。
 星野文昭さんは徳島刑務所から連帯のメッセージを送り、暁子さんが発言に立って、5700人と一つになって闘いました。
 11・1労働者集会をかちとった後、100名を超える動労千葉訪韓団は、民主労総とともにパククネ打倒のゼネストを闘いました。この闘いは、安倍政権の戦争・改憲攻撃と真っ向から激突する日本のゼネスト情勢を大きく押し進めるものです。
 安倍政権は戦争法案を強行採決しましたが、何の決着もついていません。星野さんが獄中で見抜いた通り「安倍は墓穴を掘った」のであり、60年、70年を超える闘いが始まったのです。「戦争反対、安倍を倒せ」という闘いは、2016年の闘いに向かってさらに爆発していきます。
 日本共産党が掲げる「国民連合政府」は、これに真正面から敵対するものです。日米安保も自衛隊も容認し、「祖国防衛戦争」を共に戦うというのです。「戦争反対」どころか、戦争遂行の連合政府をつくるのです。
 SEALDS幹部は逮捕者続出の国会前で「警察ありがとう」と公言し、全学連や青年労働者の闘いに暴力的に襲いかかりました。「学園や職場では闘わない」という運動では安倍政権を倒せないし、青年や学生を裏切るものです。
 今必要なのは、労働者民衆の怒りと闘いの中軸に闘う労働組合が立つことです。闘う労働組合を中軸に、全学連と青年労働者が先頭に立って総決起した時、60年、70年を超える労働者階級の根源的な力が爆発します。オキナワの怒り、ヒロシマの怒り、フクシマの怒りと一体で安倍政権を倒そう。

(2)全国57カ所で絵画展
 今年、全国57カ所で絵画展が実現されました。多くの絵画展で実行委員会がつくられ、労働組合を中軸に多種多様な人たちが決起しました。総計25万枚のビラがまかれ、全国で1万人を超える人が絵画展に来場しました。100万人との結合が始まっています。
 星野さんの描いた絵を見た人たちは、「無期の獄中でどうしてこんな絵が描けるのか」と驚き、「勇気をもらった。励まされた」と感想を語っています。絵画展を通して星野さんの無実を確信し、決起を開始する人が相次いでいます。「100万人の力で星野さんを取り戻す」具体的な展望が開かれています。
 その跳躍台となった沖縄絵画展は、「復帰」43年の5・15闘争と一体で沖縄の労働者民衆の怒りの結集点となりました。来場者640人は「新たな闘いを求めて」会場に足を運びました。「オール沖縄」の限界を乗り越え、安倍政権・辺野古新基地建設への怒りと星野闘争が一つになりました。
 各地の救援会に加えて、愛知、三重、高知、香川、長野、静岡、富山、山梨、栃木等、これまで救援会が無かったところでも、絵画展が成功しています。
 記者会見を開いたり、マスコミへの訴えを積極的に行った結果、新聞やラジオ、ケーブルテレビ等で紹介されました。それによって星野さんの闘いと絵が多くの人に知られるようになり、さらに来場者が拡大しました。
 「星野さんをとり戻す会・愛知」、「高知・星野さんを救う会」、「香川・星野さんを取り戻す会」が結成され、星野救援会は全国30になりました。さらに、「星野さんを取り戻す会・三重(準)」が結成されるなど、全国で救援会結成に向けた闘いが進められています。

(3)9・6徳島刑務所デモ
 9月5日、徳島市内で2015年総会を開催しました。
 翌日の徳島刑務所包囲デモを前に180人が集まり、星野文昭さんを取り戻そうと熱い論議を交わしました。いずれも、絵画展が切り開いた地平に立ち、労働者階級を中軸とした星野闘争の発展の方向性を示すものでした。
 9月6日、全国から720名が参加し徳島刑務所に肉薄する感動的なデモを実現しました。「集団面会」と参加者全員が実感する闘いになりました。
 徳島刑務所正門前で星野暁子さんが「文昭聞こえますか? みんなで迎えに来ましたよ」と呼びかけた時は、涙を流して感動する人が何人もいました。
 星野さんは昼から「今か今か」と待っており、午睡の時間で静まり帰った刑務所にデモ隊のコールや歌声、そして呼びかけが響きわたりました。
 9月7日には、22名が参加して、面会差し入れ行動が行われました。面会した暁子さん、修三さん、ゆかりさんに、星野さんは「はっきり聞こえた。『街』も分かった」と答え、これが全国に伝わると歓喜が爆発しました。午後には、和久田弁護士が接見しました。
 3日間の闘いは、徳島を先頭とする星野救援会の総決起によって実現されました。星野闘争は労働者階級の正面課題として完全に位置付きました。労働組合を中軸に、市民運動や救援運動、宗教者など、多種多様な人たちが討論を重ねて、徳島に集まりました。
 これに恐怖した徳島刑務所が、10月から星野さんの獄中処遇を2類から3類へ降格する攻撃をかけてきました。これは、9・6徳島刑務所デモに対するまったく不当な報復処分であり、労働者民衆の決起に対する圧殺攻撃です。
全国の星野救援会と労働組合、市民運動や救援運動はただちに反撃に立ち上がり、抗議の文書や、ハガキ、FAXも次々に送っています。あまりにも露骨で不正義な弾圧を逆にエジキにして運動を拡大し、100万人と結びつく闘いが始まっています。

(4)労働者階級の正面課題
 この1年の総括として重要なことは、今年1年の闘い、とりわけ絵画展を通して、労働者階級と労働組合が自己の正面課題として星野闘争に決起したことです。全国労組交流センターは繰り返し星野さん解放の決議をあげ、労働者階級解放と一体のものとして星野闘争に取り組んでいます。
 東京西部ユニオン・鈴木コンクリート工業分会や小竹運輸労組の組合員は『愛と革命』を読み、厳しい状況から決起する糧としたと語っています。また動労福島委員長の橋本光一さんは、組合結成を決断する時に『愛と革命』を3回読んだそうです。
 どの絵画展においても、労働組合が実行委員会の中軸に位置し、市民運動や救援運動、宗教者など広範な人々が結集しています。中軸に労組が座ることによって、多種多様な人々が決起するようになりました。
 星野闘争自身も、戦争反対、原発再稼働阻止、辺野古新基地建設阻止、国鉄闘争、外注化・民営化・非正規職化反対、福祉や医療切り捨て反対等を積極的に闘ってきました。
 鈴木達夫弁護団長の都知事選と衆議院選挙、北島邦彦さんの杉並区議選を、星野闘争自身の課題として全力で闘いました。

(5)全証拠開示・再審開始100万人署名運動
 7月21日、「全証拠開示・再審開始100万人署名」2万6540筆を東京高裁第12刑事部に提出しました。5次にわたって提出した署名は、総計6万5857筆です。
 全国で絵画展・集会が開かれ、100万人署名は明らかに加速しています。全国の会が地域の労働組合や市民運動、救援運動に積極的に署名を持ち込むことによって、確実に組織的な取り組みが広がっています。労働組合として集めた署名が各地から寄せられています。
 「無実の政治犯星野文昭さんを取り戻そう」という必死の訴えが、100万人の署名という形で広範な人々と結びついています。

(6)星野さんの健康と権利を守る闘い
 星野さんの健康と権利を守る闘いは、星野闘争の絶対的な土台です。
 徳島刑務所による卑劣な弾圧と妨害をはねのけて、申し入れや要求を、地元の徳島・救う会を先頭に繰り返し行ってきました。この闘いが星野さん自身の努力と一つになって、健康と権利を守ってきました。刑務所外の病院での検査も行い、胃や皮膚の病名も判明しました。
 これから厳寒の季節を迎える徳島刑務所に対して、暖房の設置、ポケットカイロやヒートテックの購入、湯たんぽの使用を要求してきました。昨年、徳島弁護士会に人権侵害救済を申し立て、今年11月2日、「勧告書」が徳島刑務所に送られました。全国の声を集中して、この勧告を実行させよう。

[3]情勢 -ゼネストと国際連帯で戦争をとめよう-
(1)世界戦争の危機
 世界大恐慌の深化の中で、戦争の危機がますます激化しています。
 11月13日、フランスの首都パリで、レストラン・劇場・サッカー場等6ヶ所で襲撃事件があり、死者は129人に達しました。「イスラム国(IS)」が襲撃を行ったという声明を出しました。オランド大統領は非常事態宣言を発し、「フランスは戦争状態にある」と叫びました。これは、あらゆる人権を制限し、労働者の決起を弾圧する攻撃です
 私たちは第1に、今回の襲撃をもたらしたものは、戦後世界体制の全面的崩壊のもとでの、帝国主義・新自由主義による侵略戦争と貧困、失業であることを、強く、怒りをこめて訴えます。
 アメリカによるイラク・シリア空爆に続いて、フランスは凶暴きわまるシリア空爆を行ってきました。無辜の民が大量に虐殺され、数十万人という膨大な人たちが難民としてギリシアからヨーロッパに命がけで脱出する事態の中で、今回の襲撃事件は起きたのです。
 第2に、新自由主義・帝国主義に対する怒りが激しいほど、同時に、その怒りで今回の襲撃を実行したISを弾劾する必要があります。ISがやった行為は労働者階級人民に対する無差別襲撃であり、反階級的な裏切りと敵対です。断じて許されるものではありません。帝国主義の侵略戦争と人民虐殺の現実を打ち破る力は、労働組合を基軸とした労働者階級の決起と国際連帯にあります。ところがISは、全世界の労働者階級の決起と国際連帯を踏みにじり、絶望を組織するものとして、今回の襲撃を実行したのです。私たちはこれを強く弾劾します。
 第3に、アメリカ、ヨーロッパ、さらには中国、ロシアの戦争攻撃、とりわけ安倍政権の攻撃と闘い、打ち破るための決起を呼びかけます。
 各国の支配者たちは「テロ弾劾」を叫び、排外主義・国家主義をあおり、さらなる戦争の拡大に踏み込もうとしています。トルコで開かれたG20は戦争会議になりました。
 安倍首相は、弾圧と虐殺で血塗られたトルコのエルドアン大統領と握手し、これまで以上に戦争に踏み出す姿勢を示しました。核武装を視野に入れた原発輸出も合意しました。
 東アジアにおいては、「作戦計画5015」を発動して朝鮮侵略戦争を強行しようとしています。そのための出撃基地として、辺野古新基地建設を強行しています。
 三里塚においては、市東孝雄さんの農地強奪、成田空港の第3滑走路建設を狙っています。成田空港の軍事空港としての本質をあらわにする攻撃です。
 中東、アジア、世界への侵略者、虐殺者として登場した安倍政権を倒すことこそ、国際連帯であり、世界の労働者人民に応える道です。
 11月14日、ソウルでは15万人の労働者民衆が決起しました。民主労総のハンサンギュン委員長は、「パククネ政権退陣を要求する。今日は労働者民衆の大反撃の日だ。国民に権力を!労働者に権力を!」と12月5日のゼネストを熱烈に呼びかけました。
 国際連帯で戦争をとめる闘いが、日韓米、ヨーロッパ、中東で燃え上がっています。

(2)世界大恐慌の深化
 世界大恐慌の深化こそ、世界戦争危機の根源です。
アメリカFRB(連邦準備制度理事会)イエレン議長は、「雇用回復」を理由に12月利上げの可能性に言及しました。しかし、実質成長率は減速し、製造業の停滞という実体経済の悪化は何一つ解決していません。利上げが言われる度に株価が暴落するという現実が、アメリカ経済の破綻を如実に示しています。
 先のG20を前にして、IMFは中国経済の減速と米FRBの利上げが「世界経済の不安定化を招く恐れがある」としました。中国経済は、中国版の過剰資本・過剰生産力という根本問題を解決することができず、バブルの崩壊に向かって一直線です。
 ヨーロッパ経済は、フォルクスワーゲン(VW)の不正問題が発覚し、EUの中心国ドイツから崩壊が始まっています。いかに金融緩和を進めても景気浮揚を実現できず、むしろバブル崩壊を促進するしかありません。
 日本では、アベノミクスが完全に破綻しました。日銀は、物価上昇目標達成の時期を「2016年度後半」に先送りしました。GDPは、2四半期連続でマイナスとなり、7~9月期の機械受注が、前期比マイナス10・0%となっています。安倍政権は金融緩和をさらに野放図に進めて実体経済を破壊した上、TPPを強行しようとしています。

(3)新自由主義攻撃を打ち破ろう
 安倍政権は、民営化・非正規職化を極限まで進め、いっさいの犠牲を労働者民衆に押し付けて延命しようとしています。派遣法改悪に続き、解雇の「金銭解決制度」を強行しようと狙っています。新自由主義は社会の基本的なあり方を破壊し、人間が人間として生きられない現実を生み出しています。「もう我慢できない。生きさせろ」の声が社会全体に沸き起こっています。
 労働者民衆の怒りを一つにするものこそ、労働組合です。
 動労千葉のストライキ、動労水戸の被曝労働拒否の闘いは、あらゆる怒りを結集し、闘う力を生み出す展望を開いています。ストライキで闘う動労総連合建設を全国で押し進め、1%を倒す99%の闘いを発展させよう。
 非正規労働者が組合をつくり、ストライキで勝利した鈴コン分会の闘いは、新自由主義を打ち倒す道を示しています。

(4)辺野古新基地建設を許すな
 安倍政権は、朝鮮侵略戦争のために辺野古新基地建設をあくまで強行する構えで、警視庁機動隊を沖縄に送りました。辺野古新基地建設阻止・安倍政権打倒を全力で闘おう。
 沖縄は基地の島であると同時に非正規職の島です。反戦闘争、反基地闘争と非正規職撤廃、新自由主義反対を一つに闘い、本土・沖縄の分断を超えた団結で勝利しよう。

[4]再審 -全証拠開示・無罪釈放へ-
(1)星野文昭さんは無実だ
 星野文昭さんを今も無期懲役の獄に閉じ込めているのは、星野さんの無実を100も承知ででっち上げた1983年の確定判決(東京高等裁判所・草場良八裁判長)です。
 星野さんは無実です。星野さんは、機動隊員が攻撃されている時、そこから離れた十字路に立ち、NHK方面に現れた別の機動隊の動きを注視していました。機動隊員を殴打していないし、火炎びん投てきの指示もしていません。
 星野さんを有罪とする物的証拠は一切ありません。あるのは、警察の密室でつくられたデモ参加学生6人の「供述調書」だけで、そのうち3人が少年です。「殴打」についてはKrさん(当時18歳)の供述調書が、「火炎びん投てきの指示」についてはAoさん(同19歳)とArさん(同17歳)の供述調書が、核心的証拠です。

(2)「供述調書」は崩壊している
 確定判決は、6人の「供述調書」が「具体的かつ詳細」だから信用できるとしています。これは、まったく逆です。1分間にも満たない出来事を、3カ月以上後にビデオテープを回すように詳細に供述しているのは、警察・検察が脅迫と誘導によってでっち上げたからです。
 第2次再審の異議申し立て(異議審)は、第1次再審請求以来の全成果の上に闘われています。第1次再審請求審は不当にも退けられましたが、2008年最高裁を、星野さんの服装の色に関するKr「供述調書」の誤りを認めざるを得ないところに追い込みました。最高裁は闘争当日の星野さんの服装の色が薄青であり、Krさんが言う「きつね色」ではないことを認めました。Krさんは星野さんとは初対面であり、顔も見ていないのに、服装の色を根拠に殴打者が星野さんであると特定したのです。
 その服装の色が違うのだから星野さんは無実であり、ただちに再審を開始しなければなりません。にもかかわらず最高裁は、「後ろ姿で分かった」、「声で分かった」と、検察官すら主張していないことを強弁し、特別抗告を棄却しました。しかし、最高裁に服装の色の違いを認めさせたことは、Kr供述調書を崩壊させる決定的な前進です。
 「供述調書」でっち上げの中心にいた検察官・中津川彰が弁護士になり(ヤメ検)、今年、横浜弁護士会から懲戒処分を受けたことが分かりました。中津川は、依頼者の妻を検事総長に会わせたり、金銭トラブルになって脅迫まがいの書面を送ったりという行為をしていました。こんな奴が、星野さんを無期懲役とする「供述調書」をでっち上げたのです。

(3)第2次再審に勝利しよう
 再審弁護団は、第2次再審請求において、「厳島鑑定書」を提出しました。これは、3人の「供述調書」を科学的実験に基づいて解析し、警察・検察の誘導によってでっち上げられたものであることを明らかにしたものです。
 さらに、159枚の写真の開示をかちとりました。その中に、殴打現場を通過後の星野さんを写した写真(「一郎丸写真」)がありました。星野さんが右手に持つ白い紙の巻かれた鉄パイプは真っ白なままで破損もなく、殴打の痕跡は一切ありません。
にもかかわらず、2012年、東京高裁第11刑事部(若原正樹裁判長)は、第2次再審請求を棄却しました。若原は、警察・検察の誘導は「記憶喚起に有効」とした上(何という言い草でしょうか)、「一郎丸写真」には「不鮮明ながら損傷らしき痕跡」があるとしました。何よりも許せないのは、「精密な鑑定を行うためにネガを開示せよ」という弁護団の要求を拒否したまま、棄却決定を出したことです。
 異議審において三者協議を行い、ついに「一郎丸写真」のネガデータを開示させました。三宅洋一千葉大学名誉教授の「鑑定意見書」は、東京高裁の言う「痕跡」なるものは「一定幅の環状の線」であり、殴打の痕跡ではないことを科学的に明らかにしました。星野さんが殴打などしていない決定的な物証が「一郎丸写真」なのです。

(4)11名の現場目撃者の供述調書開示をかちとろう
 検察官は、星野さん無実の証拠をいまだに隠し持っています。現場目撃者11名の供述調書の開示を突破口に、すべての証拠の開示をかちとろう。
 11名の現場目撃者はなんの利害関係もなく、闘争後日を置かずに供述調書を作成されました。それをすべて開示させれば、星野さんの無実が証明されます。ところが検察官は、その開示を拒否する「意見書」を8月7日に出してきました。
 東京高裁は三者協議を開く姿勢を示していません。労働者民衆の怒りで三者協議を開かせ、11人の供述調書を始め、すべての証拠を開示させよう。

(5)奥田反動判決を打ち破ろう
 東京高裁第9民事部の奥田正昭裁判長は、今年、2つの極悪判決を出しました。
 ビデオ国賠訴訟は、渋谷闘争当日のテレビニュースを録画した証拠のビデオテープ2巻を、東京地裁と警視庁公安部が「紛失」と称して隠滅したことを弾劾する裁判です。昨年9月、東京地裁は国(裁判所)と東京都(警視庁公安部)の責任を認め、それぞれに20万円の賠償支払いを命じました。ところが今年5月、奥田裁判長は、逆転敗訴としました。
 奥田は、星野さんの証拠へのアクセス権を否定した上、裁判所の職員や警視庁公安総務課長が将来重要な証拠となる可能性を認識していなければ、ビデオテープをずさんに扱ったり、失くしても責任を問わないというのです。これは、警察・検察に証拠隠滅をそそのかす極悪の判決です。星野さんと弁護団はただちに上告しました。
 面会・手紙国賠は、2010年5月から始まった友人面会拒否と暁子さんが送った9通の手紙墨塗りを弾劾する裁判です。一審判決は、再審請求人と弁護人は看守の立会い無しに面会できる、弁護人は回数制限なしに面会できると認めて、被告・国に5万円の賠償支払いを命じました。9月16日、奥田裁判長は、この勝訴部分を取り消す許しがたい判決を出しました。暁子さんら原告は上告し、最高裁で勝利するために闘っています。

[5]方針 -2016年総決起で星野文昭さん解放へ- 2・19徳島刑務所行動に決起しよう
(1)星野闘争の3つの課題
 星野文昭さんを取り戻す闘いは、星野さんの健康と権利を守る闘いを絶対的な土台として、確定判決を打ち破る再審闘争と労働者階級を中軸とする大衆運動を両輪としています。

(2)1000万人と結びつく大飛躍を
1.『星野新聞』の発行
 2016年1月から、『星野新聞』を発行します。これは、星野闘争を全社会に知らせ、運動を拡大し、100万人民と結び付くためです。『星野新聞』の発行で星野さんを取り戻そう。
2.全証拠開示・再審開始100万人署名
 全証拠開示・再審開始を求める100万人の署名を全国で集め、星野さんを取り戻す政治的・階級的力関係をつくろう。各地で労働組合への働きかけが進んでいます。ついに、組合として集めた署名が届くようになりました。これを基軸に、救援運動、市民運動や宗教者などに呼びかけ、多種多様な人たちが結集する運動をつくり出そう。
 星野さんを取り戻すために、戦争法案粉砕・安倍政権打倒の1000万人の決起と結びつき、全証拠開示・再審開始100万人署名に総決起しよう。
3.絵画展・集会をさらに開き全国に星野救援会を
 絵画展は、広範な人々が星野文昭さんの存在を知り、その闘いにふれる場になっています。各地の絵画展では、様々な出会いがありました。沖縄絵画展が示したことは、多くの人たちが「新たな闘いを求めて」会場に足を運ぶことです。
 2015年に続き絵画展を成功させて、47都道府県に星野救援会をつくろう。
 東京23区で絵画展を開き、すべての区に星野救援会を結成しよう。
4.国際連帯の発展を
 41年間、不屈・非転向の闘いは、国内の労働者階級にとどまらず、世界の労働者階級を無条件で獲得する力を持っています。労働者は国境や民族を超えた一つの階級であり、本質的に世界的存在です。自分たちの仲間が国家権力によって投獄されている時には、ただちに団結し、その解放のために共に立ち上がるのです。 国際連帯の発展で星野さんを取り戻そう。
5.財政の強化をかちとろう
 2016年の飛躍のために、財政の強化をかちとる必要があります。最大のカギは、「賛同会員」の拡大です。これを中軸に、夏季・冬季のカンパ、恒常的なカンパ、ニュース代等の着実な納入等に取り組んでいきます。また、日常経費の節約にも努力します。
6.奥深山幸男さんの免訴をかちとり、生きる権利を守ろう
 検察官は、奥深山さんの裁判を再開し、保釈を取り消せという許しがたい攻撃をかけています。星野さんと共に渋谷闘争に決起し、病気と闘っている奥深山さんの裁判打ち切り、免訴をかちとろう。奥深山さんの生きる権利をまもろう。
7.治安弾圧との闘いの先頭に立とう
 戦争の時代は、治安弾圧強化の時代です。「現代の治安維持法と闘う会」、「裁判員制度はいらない! 大運動」と団結して、戦争攻撃、治安弾圧攻撃を打ち破ろう。
 戦争のための「共謀罪」法案を粉砕しよう。
 戦争の時代ゆえに「救援連絡センター」の存在は一層重要なものになっています。完全黙秘を中軸に国家権力の弾圧と原則的に闘うセンターとして強化しよう。完全黙秘を、労働者民衆の闘う原則として貫こう。

(3)全証拠開示で再審開始をかちとろう
 現在、闘っている異議審に勝利し、再審開始・無罪釈放をかちとろう。
 最大の攻防は、確定判決を支える核心証拠である、デモに参加した6人、とりわけ3人の少年の「供述調書」を打ち破ることです。第1次再審以降の全闘いによって、警察の密室でつくられた「供述調書」の信用性は決定的に崩れています。ここを徹底的に攻撃し、星野さんの無罪・釈放の道を開こう。
 6人の「供述調書」の信用性をさらに崩壊させると共に、星野さんが十字路から見た「光」を証拠化する闘いに取り組みます。
 再審弁護団と固く団結し、再審闘争の勝利を切り開こう。

(4)2・19徳島行動に決起しよう

 無実の星野文昭さんが41年も徳島刑務所に閉じ込められている現実を、これ以上、1日たりとも許すことができません。今年の9・6徳島刑務所デモに続いて、「星野さんを今すぐ返せ」という闘いに何度でも決起しよう。
 徳島刑務所は、居房にエアコンを入れず、湯たんぽやポケットカイロの使用も認めていません。夏には、濡れたタオルで体を拭くことすら禁止しています。「自殺防止」と称して、上の窓を開けることも禁止です。総計94人が面会した地平を破壊するために、2010年5月以来、友人面会は禁止され、旧監獄法の時代に逆戻りしています。
 2月19日、星野さんと面会したことのある人が中心になって、徳島刑務所に対する申し入れ行動を行います。要求項目は、①星野さんとの友人面会を認めよ、②星野さんへの非人間的な処遇を改めよ、の2点です。

(5)星野文昭さん解放の2016年へ
 2016年は安倍政権打倒・星野文昭さん解放のための決戦の年です。
 安倍政権は戦争攻撃と治安弾圧を強化し、7月参議院選挙をもって改憲への道を開こうと狙っています。「日本会議」は武道館で改憲集会を開き、桜井よしこが「天が与えた好機」と絶叫しました。
 これを真っ向から打ち破るのが、2・14国鉄集会、3・11フクシマから7月参議院選挙に向かう闘いです。日本共産党の「国民連合政府」を粉砕し、鈴木達夫弁護団長を参議院に送ろう。
 2015年をはるかに超える大飛躍をかちとり、星野文昭さんを取り戻そう。
                                    以上

         
集  会  決  議
  本日、私たちは無実の政治犯・星野文昭さんを今こそ取り戻す決意をもって、ここに集まりました。今年かちとった大前進の上に、2016年のさらなる飛躍を実現し、今こそ星野さんを取り戻そう。
 私たちの眼前には、世界戦争危機の激化があります。11月13日、パリにおいて襲撃事件が発生し、129人が死亡しました。フランスのオランド大統領が「これは戦争だ」と絶叫してシリアへの空爆を拡大し、アメリカ、ロシアも空爆を強化して、罪なき人々が日々虐殺されています。ロシアの爆撃機がトルコ空軍に撃墜され、戦争の危機は激しくなるばかりです。
 これに対して、戦争と新自由主義を打ち破る労働者階級の闘いが全世界で闘われています。11月1日の全国労働者総決起集会、14日の韓国民主労総のゼネストは、戦争反対の巨大な火柱をあげました。戦争を真に阻止する力は労働者のゼネストと国際連帯にあります。
 星野さんを取り戻す闘いは、この闘いと一つです。労働運動と国際連帯を発展させ、星野さん解放と人間解放を一体で実現しよう。私たちは、ついに星野さんを取り戻す情勢が来たと宣言します。
 安倍政権は、米韓連合軍による作戦計画5015に参戦するために、沖縄・辺野古への米軍基地建設をごり押ししています。星野さんは沖縄に米軍基地を押しつける返還協定に反対して闘い、獄中41年を非転向に闘い抜いています。私たちは沖縄の闘いと連帯し、辺野古新基地建設阻止・安倍政権打倒を全力で闘います。
 2016年に、私たちは大飛躍をかちとります。
 その第1は、『星野新聞』の発行です。『星野新聞』の力を全面的に発揮し、全証拠開示・再審開始100万人署名を全国で集めよう。
 第2は、徳島刑務所闘争です。私たちは、何度でも徳島刑務所に対する闘いを行います。2月19日には、94人の面会者が中心となって徳島刑務所に対する申し入れ闘争を行います。
 第3は、再審闘争です。東京高検を追い詰め、11人の民間目撃者の供述調書を始めとするすべての証拠を開示させよう。東京高裁に迫り、三者協議を実現しよう。
 第4は、絵画展です。全国で絵画展を開き、47都道府県に星野救援会を結成しよう。その最先端で、東京23区で絵画展を開催しよう。
 第5は、7月参議院選挙です。再審弁護団長である鈴木達夫弁護士が東京選挙区から立候補します。国会議員を持つ運動として、星野さん解放へ驀進しよう。
 本日の戦闘的都心デモから、星野文昭さん解放の2016年に進撃しよう。

                                                  2015年11月29日

                         今こそ星野文昭さんを取り戻そう! 11・29全国集会 参加者一同
  画像をダウンロードするには、ここを右クリックします。プライバシー保護を促進するため、この画像はインターネットから自動的にダウンロードされません。