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「2009年全国総会 星野さんを必ず取り戻そう

    2009年全国総会が6月26、27日の両日、東京で開かれました。会場を超満員にする熱気と迫力で論議が交わされ、獄中34年の星野文昭さんと固く団結して総会が熱烈にかちとられました。

全国揺るがす大運動を

 1日目は、共同代表・柴田作治郎さんの開会挨拶の後、1971年11・10沖縄ゼネスト、同年11・14渋谷闘争のDVDが上映されました。
 星野さんのメッセージが全文読み上げられ、「事実上の総会の基調報告」であることが確認されました。連れ合いの星野暁子さんはビデオメッセージで参加しました。

 総会は、各地の「救う会」「取り戻す会」の自己紹介の後、千葉、茨城、大阪、福島の今年結成された4つの会と、8月結成予定の新潟が挨拶し、決意を述べました。
 「暴力行為等処罰法」弾圧と闘う法大生・久木野和也さんと全学連委員長代行の坂野陽平さんが連帯の挨拶。三里塚反対同盟の北原鉱治事務局長のメッセージが紹介されました。
 「総括と運動方針案」が事務局から提起されました。昨年7月に最高裁は特別抗告を棄却した際、確定判決の柱とも言うべきK供述に誤りがあったことを認めているにもかかわらず、再審開始の訴えを退けました。これは、「裁判」の論理を超えた、星野さんを絶対に出さない国家意思であると断じ、弾劾しました。
 「最高裁が示した国家意思を打ち破るために、労働者と学生と市民が心を一つにして闘う時です。星野文昭さんと心を通わせ、星野さんを取り戻すという一点で団結して闘いましょう。既に82人が、星野文昭さんと面会しました。それまで抽象的な存在だった星野さんが、『あの星野さん』になりました。
 早くから運動に取り組んできた人も、つい最近星野さんを知った人も、『星野さんと共に闘い、星野さんを取り戻す』ために、一緒に闘いましょう。今こそ、労働者、学生、市民が団結しましょう」と熱烈に訴えました。
 その上で、闘いの方針として、全力で労働組合を組織すること、そのために学習会や現地調査を積み重ねることが提起されました。そして、具体的には再審要求の新10万人署名運動を開始することが呼びかけられました。
6月17日に面会した群馬の青柳晃玄さんが「6・14ー15連続闘争の息吹を伝えた。星野君は法大闘争を聞いてさらに確信を深めている」と報告しました。
広島から8・6ヒロシマ大行動が呼びかけられました。

 星野奪還の思いをひとつに

 2日目は、会場を移して午前10時に始まりました。
 最初に、鈴木達夫弁護団長、岩井信弁護士、和久田修弁護士から第2次再審にむけた報告がありました。鈴木弁護士は「獄中34年の政治犯ということが、労働者の心を絶対に揺さぶることを確信しよう」と、職場に根を張った再審闘争を訴えました。証拠とされているのが、「共犯者」の供述だけで、それも公判廷で全部覆っています。獄中の星野さんも強調しているように、この点を重視して再審闘争を闘うことがそれぞれ語られました。

  松川闘争の教訓を学ぶ

 続いて、「松川裁判闘争の教訓」が報告されました。1949年8月の福島県松川の列車転覆事件で、国労と東芝労組の労働者20人がデッチ上げ逮捕されました。一審で死刑・無期を含む全員有罪の大弾圧が加えられましたが、労働組合が運動の中心に座り、全国に1000の救援会が作られ、全国を揺るがす運動で全員無罪判決を勝ち取ったのです。この教訓を学び、労働者階級の力で星野再審闘争に勝利しようと訴えました。
 全国労組交流センター共同代表の辻川慎一さん、国労5・27臨大闘争弾圧被告団の羽廣憲さんが連帯の挨拶を行い、階級的立場で星野闘争を闘おうと熱烈に訴えました。
 群馬から奥深山幸男さん免訴の闘いが報告されました。

 その後、4時間にわたって討議は、熱烈に行われました。
 そのテーマは、「本当に星野さんを取り戻すには、どう闘うか」です。星野さんは、自分自身を救済の対象とは位置づけていません。星野さんは、常に労働者や学生の闘いと共にあるというあり方を貫いています。この星野さんと連帯し、闘いの前進で必ず取り戻そうという意見が、次々表明されました。
 星野闘争の発展に展望を見失ったような発言もありました。11・29全国集会パンフを全く配布していない会があるという事実が、討議を通して明らかになりました。この事実に、激しい怒りが表明されました。星野闘争の新たな発展を勝ち取るために、真剣な議論が交わされたのです。
 司会が総括と運動方針案を含む7点を「総会のまとめ」として提案、全体の拍手で決議されました。
 星野文昭さんの兄の治男さん、弟の修三さん、従兄の誉夫さんが家族として挨拶をし、1日も早く取り戻したいと訴えました。共同代表の平良修さんが「まとめと閉会の挨拶」を行い、最後に団結ガンバローで星野奪還を誓い合いました。
         星野文昭さんからのメッセージ
               (2009年、星野・全国総会へ)            星野 文昭

 本日は、御多忙のなか、全国各地から、遠路をいとわずに本総会に参加して下さったことに、暁子・家族共々、心から感謝しています。
 本日は、暁子が体調回復の途上であること、私がいまだ獄中にあることで、直接、参加することこそできませんが、思いは本総会に共に参加しています。

 世の中を変える闘いと、星野を取り戻す闘いは一つ

 今日、大恐慌が一層深まり、資本主義が資本主義である限り、社会を根本から破壊し、荒廃させることが目前で進み、日本と全世界で、青年・学生を先頭に、この世の中を変え、自らと全ての労働者人民の解放をかちとる闘いに立ち上がっています。それを資本と権力が圧殺するために、戦前に治安維持法と一体に暗黒弾圧を振るった「暴処法」さえ使って、資本・権力と激しく闘う法大闘争に襲いかかっていることに対して、法大生を先頭に労働者人民が一体に闘い、その弾圧との闘いのなかで団結と解放の力を養い、それによって弾圧そのものをも打ち砕き、闘いを前進させる、それが当たり前の時代を開いています。
 そして、その闘いの中で、無期弾圧と、自らと全労働者人民の解放をかけて闘
う星野のように共に闘い、必ず取り戻そうという闘いが、青年・学生を先頭に闘われ、その闘いが、世の中を本当に変える闘いと、星野を本当に取り戻す闘いを一つのものとして闘い、未来を開く団結と解放の力を飛躍させようとしています。そのようななかで、本総会は、その闘いを本当に実現していく、そのために討論を深め、一つに進むための歴史的な総会であることを、参加された皆さんと共に確認したいと思います。

 星野闘争は、再審と運動の内容的飛躍をかちとっている

 昨年の全国集会で、闘う労働者人民が先頭になって、全社会的な、松川に並び超えるような力で、星野再審・釈放をかちとろうという方針がうち出され、第2次再審への討論を通した内容的飛躍とともに、動労千葉・三里塚の地に千葉、動労水戸を先頭に闘う茨城、橋下・道州制攻撃と先頭で闘いすばらしい結成報告集を出した大阪、そして東北の山形・みやぎに続く福島で、ついに全国で22になる取り戻す会が結成されました。
 そのことは、運動が本当に大きな前進をかちとっていることの実感を共有できるものですし、何よりも、再審と運動の内容的飛躍をかちとっているものとして、最も大きな意味があると思います。
 それは端的に言って、私たちが、社会・人間生活そのものを破壊する資本主義を終わらせ、労働者人民が真の社会の主人公となって、誰もが人間らしく生きられる社会を、労働者人民の力を全面的に信頼して実現していく、その青年・学生を先頭とした世の中を変えていこうとする闘いと一体に、その世の中を変えようとする闘いを圧殺するために、権力が私の無実を百も承知で無期を強いることを一日だって許すな、一日も早く釈放せよ、再審を開き無罪を出せ、このことを真っ向からかかげた闘いを始める、ということにあります。

 厳しい自己変革

 私がこうした立場に立つまでには、青年・学生を先頭にした皆さんの闘いに学び、励まされつつ、本当に、自らと全ての人々の人間的未来=解放をかちとっていく、その力によってまた、再審・釈放をかちとる力と内容を、一切のごまかしを持ち込まず全てと格闘しつつ、厳しい自己変革・飛躍によって獲得するということがありました。

 私にとって、その飛躍の土台として、暁子が体調を崩すほどのしわよせを、自らがやるべきをやらなかったことで集中したことへの痛烈な反省がありました。
 そこには、本当に現実・現状を打ち破り、自ら・家族と全ての労働者人民の解放と、再審・釈放をかちとることがありました。それまでも、そのために多くの困難をのりこえ苦闘しつつも、明らかに現状の固定化・安住があり、そこには根本的なところで、権力と現実への屈服・容認があり、それを本当に克服し、自らと全ての労働者人民の力で、現実を本当に変える、再審・釈放を本当に実現する、それを本当に実践的にやり遂げる、という飛躍が問われました。

 自己(家族)の解放は、労働者の解放=人間的解放の中にある

 死刑求刑と無期確定ということは、世の中を変え人間的未来を開く闘いを圧殺するために、本質的にも現実的にも未来の全て、生きる未来そのものを奪おうとするものですから、本当に、人間的未来、自らと全ての人々の人間的解放につながる道すじとそれを実現する力を得ることによってしか生きることができません。ごまかしや曖昧さ、観念的な思い込みのようなものを持ち込んだのでは、その力を得られないのです。そのなかで得たものが、自ら(家族)の解放は、労働者の解放=人間的解放の中にある、ということです。
 獄壁という最大の分断の壁をうち破って、家族はもちろん、全ての労働者人民の現実と闘いの中に身をおいて、その根源にある、人間らしく解放され生きたいという自己解放・人間解放の欲求・希求・力を全面的に信頼し、それに依拠し、それをあらゆる分断をのりこえ、一つの団結、解放の力とし、資本主義を終わらせ、労働者が社会の真の主人公となって、その人間的共同性によって、誰もが人間らしく生きることのできる社会を実現する、そこに自らと家族、全ての労働者人民の解放の未来がある。その力が、再審・釈放をかちとる力。それが獲得したものです。

 人間的共同性、絆、団結を根源的な欲求・力に

 人は、本質的に利己的なのではありません。誰もが人間らしく生きられることによって最も深く満たされる人間的共同性をこそ本質とし、それを根源的欲求としています。その人間的共同性、絆、団結を根源的欲求・力に世の中を変え、その力で再審・釈放をかちとる。それを実践的にやりとげることが問われている、ということだと思います。
 資本主義が社会的発展力を失い、労働者に極限的な搾取・支配・犠牲を集中し、それを全ての人民に及ぼしている今、闘いを通してあらゆる分断をうち破って、その人間的共同性を団結として取り戻し、それを力に資本主義を終わらせ、誰もが人間らしく生きられる新たな社会をつくる。今、その時代を迎えているなかで、その世の中を変える力によって、再審・釈放をかちとる、それを単なる確認ではなく、実践的にやりとげることこそ問われています。

 資本主義を終わらせる以外に、未来はない

 今日、大恐慌の深まりによって資本主義が資本主義である限り、社会生活を根本的に破壊し、荒廃させるものであることが誰の目にも明らかになっています。今進んでいる大恐慌は、戦後発展が行き詰まった後、労働者の抵抗拠点=労組を破壊し、規制緩和・民営化によってリストラ・低賃金・社会保障破壊を労働者人民に強いる新自由主義によって、労働者人民を食い物にして資本増殖を極大化し、大破綻したものです。とりわけ、金融資本が、新自由主義によって労働者を低賃金の下に置いて極限的に搾取した利潤と、先々の労働者の賃金をローンとしてむさぼり尽くすことによって資本増殖を極大化し、それがその腐敗の極致とも言える貧困者を詐欺的に食い物にするサブプライムローンがその無理によ って破綻することによって大破綻し、その金融恐慌が実体経済をも大破綻させています。まさに、資本主義が行き着く所まで行って破綻したのです。
 そして、資本主義が資本主義である限り、資本の増殖を求め、資本・大資本同士がつぶし合い、争闘戦を帝国主義の論理で激化させ、ブロック化・収縮化を生み出しつつ、一層過酷に新自由主義による搾取・収奪と戦争の道を労働者人民に強いる以外にありません。それに体制内指導部が手を貸しています。その体制内指導部を倒し、この資本主義を終わらせる以外に、労働者人民の手で誰もが人間らしく生きられる人間的な共同社会をつくる以外に未来はありません。
 職場においても、地域においても、全国においても、そして全世界で、労働者が賃金奴隷、労働力商品として物のように扱われ、まともに働くことも、食べ、住むことも、生きることもできない現実を強いていることに対して、それら職場、地域、全世界の生産を担い、それらを動かしている労働者が、あらゆる分断をのりこえて、民族、国境、国籍や、出身、性差、能力をこえて一つに団結し、全人民と共に支配権をうちたてる、それによって資本主義を倒し、全てを労働者の手に奪い返し、社会の真の主人公となることで、その人間的共同性によって、誰もが人間らしく生きられる社会をつくる、それが私たちの革命であり、それが可能な時代を迎えているのです。それを体現しているのが、動労千葉であり 、法政・全学連であり、西郡・八尾北であり、沖縄・三里塚であり、11月集会・日韓米国際連帯です。そして、星野闘争です。

 無実を百も承知の無期・34年間の投獄、絶対に許せない

 そして、このような世の中を変えようという闘いを圧殺するために、権力が私の無実を百も承知で、本人が強制された嘘だと言明している供述を唯一の証拠に無期を強いている。34年も投獄している。これを絶対に許すわけにはいきません。
 何よりも、沖縄基地をなくし、戦争の道を阻止する、闘うアジア人民と連帯し、必ず侵略を労働者人民の実力決起に転化する、自らと全ての労働者人民の解放を必ず実現する、それを圧殺しようとする無期、無実を承知の無期を絶対に許さない。全国・全世界の労働者人民の力で世の中を変える。自らと全ての労働者人民の解放を実現する闘いの力で絶対に粉砕する。そのことを必ずやりとげましょう。
 そして、権力は無実を百も承知で無期を強い、34年間も投獄していることを絶対に許せません。

 証拠は、強制された供述のみ、それは法廷でウソと否定されている

 証拠としているのは、権力に強制された供述のみです。しかし、供述した5人は、それが目撃してもいないことを強制されたと明言し、残る1人は証言さえ拒否していて裁判の審尋さえ経ていず、そもそも証拠に採用さえできないのです。まさに証拠がない以上、無期の執行などできないのです。
 再審において、新証拠に、それだけで無実を明らかに証明するものを求めるのではなく、新証拠を加えて、新旧証拠全体を総合的に判断し、判決に合理的疑いがあればいいという白鳥決定に踏まえれば、彼らの証言をより不動のものにする新証言=新証拠や、他の新証拠に決定的にこだわって、必死に追求することは絶対に必要です。
 しかし、星野無期に改めて向き合うと、新証拠に偏重するのではなく、その新証拠にも加えて、唯一の証拠とされている供述を、彼ら自身が強制された嘘だと否定している、そのことこそ、無期とする証拠が皆無だということを決定的にするものです。
 それも、それだけではありません。彼らは見てもいない供述を、強制に応じなければ一生出さないぞと脅され、星野が殴っているのを見ていないというなら、それはお前が殴っていたからだろう、そうでないのなら見ていたはずだ。同じように他の名前も言わされたと、それぞれが供述をどのように強制されたかを詳述しています。
 それは明らかに、実際に体験した者でしか述べることのできない、いわば「秘密の暴露」という内容で語られていることであり、判決で言うような「遠慮によって事実と違ったことを言っている」というものでは全くなく、そのことこそ、より明確に、新証拠も加えつつ、無実を明らかに証明する揺るぎない証拠です。鑑定によって、それを一層明らかにします。

 これ以上、一日たりとも投獄するな 

 まさに、まともな証拠もないのに、むしろ証拠が無実を明らかにしているのです。これ以上、一日たりとも投獄するな、一日も早く釈放せよ、執行停止せよ、一日も早く再審で無罪を出せの声と力を、取り戻す会を軸に、闘う労働者人民を主軸に、全人民・全社会的につくりだし、再審無罪・即時釈放を必ずかちとりましょう。
 全国・全世界の労働者人民の団結した力で資本主義を終わらせ、労働者人民の手で誰もが人間らしく生きられる世の中に変える。その闘いと一つに、その闘いの力で、再審・即時釈放を必ずかちとりましょう。権力との闘いを曖昧にする立場は、星野闘争を破壊するものであり、絶対に突破しなければなりません。
 自らと全ての労働者人民の解放、一切をかけ、何ものも恐れず、資本・権力との闘いに立ちあがり、闘いを貫く、その解放感のなかでこそ、全ての闘いを共有し、全ての分断をうちやぶり、団結をかちとることができ、あらゆる壁をうち破り闘うことによって、解放をかちとる真の団結と力を手にすることができます。共に闘い、再審・即時釈放をかちとり、そして合流し共に闘いましょう。

 このメッセージと共に、大阪・取り戻す会へのメッセージを是非読んでください。

                                      徳島刑務所・星野文昭

(中見出しは全国事務局が付けました)
 
   
ビデオメッセージ
        「それぞれが得意な領域を担って」      星野暁子
 

 6月の17、18、19日、面会に行ってきました。文昭は本当に今、はつらつとしておりまして、どうして本当にそんなに元気なのかと、また聞いてみたくなるような感じなんです。実際、聞いて見た様子は面会報告でもご紹介していますけれども、それに対して文昭がどういう風に答えているかというと、やっぱり「無期」、本当にそれをはね返すのは、中途半端なことでは出来なくて、どこに自分の立脚点を置くかということが大事なのだと語っています。そして本当に全ての人が解放されない限り、自分も人間的に生きることが出来ない、そこに自分の立脚点を置いた時に、本当に心から元気になれるということを言っています。

 徳島の学生さんから、「文昭さんは『無期』の中にいて、自分の解放ではなくて、全ての人の人間解放ということをどうして言えるのか」と聞かれたんですけれども、全ての人の人間解放を立脚点に置いているから、元気で、自分の解放も言えるのだと、今、私自身もとらえているところです。
 そしてまた、文昭のどこに惹かれているのかということを青年に聞いてみたんですね。そしたら、その青年が言うには、「今、自分達は競争の中に置かれていて、一人ひとり本当に一緒に生きると言うことが難しい状態になっているんだと、そういう中で文昭さんは人のために生きるということを、希望として表現してくれているんだと、そこに惹かれるんだ」ということを言ってくれました。
 もう獄中34年になるわけですけれども、その中で奪われなかったもの、また、奪われたがゆえに大切に作り出してきたものがあるというふうに、私自身は思っています。
 私と一緒に生きる喜び、全ての人を信じて、闘う人たちを信じて生きる喜び、そして又、人に対するやさしさ、人間解放という思想、そういうものは奪われなかった、あるいは、奪われても作り出してきたものとしてあると思っています。
 そのことが今本当に若い人達に、それから様々な人達にストレートに伝わる、そういう時代状況になっているんじゃないかと、心から思っています。
 「無期」の中で人間解放を闘うということは、一方では本当に厳しさも伴うものがあります。ですから、こんな生き方を選んでいる星野と一緒に生きる私としては、そんな文昭を支持して下さっている皆さんに、この場でお願いしたいことは、再審を再審として推し進めること、それから政治闘争の中に星野がいつもいるもいるという状況をつくって頂きたいこと、つまり様々な集会、大小の集会で、星野のメッセージや発言を取り上げて頂きたいこと、それから闘っている人達にも星野の会員になって頂きたいということ、労働組合や地域の中に「星野」を持ち込んで頂きたいと言うことです。
 星野の運動は、これから大きく幅を広げていく、本当に絶好のチャンスが来ていると思います。その中で、今まで多くの困難さの中でやってきて頂いている方たち、市民運動として今までやってきた面が強いかと思うんですけれども、そういう方たちも一緒に、それぞれが自分の得意の領域で担っていく、そういう幅の広さということも大事にしていきたいと思っています。

連 帯 の 挨 拶

   久木野和也さん(暴処法弾圧と闘う法大生

 「暴力行為等処罰に関する法律」は、大勢の仲間、団結した行為を、丸ごと網にかけて罰するという悪法です。実際に6月15日に起きたことは、全学連と文連と3万法大生の分断、法大闘争破壊を狙った大弾圧でした。しかし私たちは、暴処法の狙いを完黙・非転向の闘いで、見事に打ち破りました。団結は崩されませんでした。

 取調で公安刑事らは「このままいけば星野のようになるぞ」と言ってくるわけです。しかし私たちは、「だったら徹底的にやってやろうじゃないか。星野さんのように闘えば本望じゃないか」という思いで、星野さんと一体で闘いました。暴処法弾圧をぶち破って、8人の学生、そして星野文昭さんを取り戻しましょう。 
   坂野陽平さん(全学連委員長代行)

 星野さんのメッセージを読んで、星野奪還の一番鮮明な方針を持ってるのは、星野文昭さんだと思っています。労働者の無限の力、もしくは労働者階級の解放、これを全ての基礎に置くことを、星野さんは一番鮮明に打ち出している。

 6月15日、法大闘争をたたかった1200人の労働者と学生が、星野さんの闘いを別物だと考えることは絶対にない。この労学共闘が星野さんを奪還できる現実性だということを僕は訴えたいと思います。
 
 
    羽廣憲さん(国労5・27臨大闘争弾圧被告)

 34年間も獄に捕らわれている無罪の星野さんを、獄内外、心を通じ合わせて、絶対に取り戻す。我々こそが全国に散って、無罪の人間を何故これだけも閉じ込めて置くのか、これは一種の権力犯罪ですから、これを徹底的に弾劾し、今こそ総決起する必要があると思います。私も保釈中の身でありながら、今の労働運動をひっくり返すのだと全国を飛び回っている被告の一人として、われわれの出番が来たと思っています。
 私たちも、5・27裁判の弁護団を解任するまでは、体制内の最左派だった。しかし、それでは改憲と戦争の時代、大恐慌に突入した時代は闘えない。闘いの先頭に立って、頑張りぬきたいと思っています。共に闘いましょう。
 辻川慎一さん(全国労組交流センター共同代表)

 世の中の青年達は本気な顔をして、自分で信頼した本当に革命をやる勢力に次々と結集している時に、我々の中にインチキなものがあってはいけないんだ。星野さんは、今まさに非転向の本物の革命家として、我々の中軸的存在として立っています。
 マルクスは、労働者階級の団結は、労働者が臣民、下僕から人間として独り立ちすることだと言っている。我々は星野文昭さんを奪還したい。奪還する。その時に、その奪還闘争を、日本帝国主義の下僕の立場から考えるのではなくて、階級的な団結を貫いて、09年の階級闘争の大地の中にドカーンと打ち据えるということだ。
 僕は、星野闘争は労働者階級を根底から獲得出来る闘いだと確信しています。まだまだ、我々の位置づけが足りない。労働者に対して、星野さんの闘い、星野奪還闘争、自分の存在と生涯をかけて革命を貫く存在と言うことについて、訴えが足りないと思う。労働者は必ず分かる。そのことを今伝えることが、ものすごく決定的だと考えています。 
 

 

   
政治的フレームアップを打ち砕いた「松川裁判闘争の教訓」
                                        事務局 米山實則
 

 1949年8月の列車転覆事件を使った政治的フレームアップで犯人にでっち上げられ5人死刑、5人無期、20人全員有罪という極反動判決を第1審で受けながら、これをはね返して無罪をかちとった松川裁判闘争は、第2次再審を開始するにあたって私たちが大いに学び取るべき教訓に充ち満ちています。

 労働者の無限の力

 この恐るべき攻撃に絶望するのではなく、また救済を求めるのでもなく、自らに加えられたこの不正義で理不尽なこの攻撃を労働者階級は絶対に許さないという確信が、労働組合運動の一員として闘っていた被告たちには自然に育っていました。だから、目に見える結果が出ない時は、嘆くのではなく「まだ労働者階級に良く伝わっていないからだ」と、1枚でも多くの手紙を書いたのです。
 労働者階級が労働組合に結集して団結を基礎にして闘うとき、そこから無限の力が生み出され、極めて広範な運動が発展していくことを松川裁判闘争は示しています。それは労働組合を中心に地域住民、詩人・作家・画家から映画・演劇人等のあらゆる領域の人士を包含した救援運動としての広がりをもって発展したのです。
 そしてこれは、ここにたどり着くまでの被告・家族・支援者の孤軍奮闘の文字通り血のにじむ闘いの積みかさね、どんなに断られても諦めない執念の闘いによって生み出されたものなのです。1953年6、7月の国労と総評大会決定をもって労働者階級全体の課題であることが確認され、極めて多様な形態の松川闘争への取り組みが始まりました。
 もちろん、今日の労働運動の現状は、戦後革命期的状況のなかで戦闘性をもって階級的労働運動を闘い抜いている労働組合がいたるところで頑張っていた当時とは様変わりしていて、労働者の自己解放的決起を体制内に抑え込もうと資本と一体化している連合支配と裏切りに直面することになるでしょう。

若者の怒りと結びつこう

 しかし、世界大恐慌の下で労働者階級は闘わなければ生きていけないという現実のなかで、動労千葉のような「一人の労働者の首切りも許さない」という原則を貫くたたかいを求めて苦闘しているのです。『蟹工船』が100万人の若者に読まれているという現実はすでに至るところでそれがマグマとなって地上に吹き出しはじめているのです。この青年労働者・学生といかに出会い、結びつくのかということのなかに、「階級的労働運動の発展の中でこそ星野文昭さんを取り戻す展望が開かれる」という第2次星野再審闘争の勝利の核心問題があるのです。
 沖縄と本土との分断を乗り越え、沖縄11・10ゼネスト闘争と連帯して決起した星野さんを先頭とする若者たちの1971・11・14のたたかいは、星野文昭さんの35年の獄中闘争を貫いて、今日「星野さんのように闘おう」と青年労働者・学生に受け継がれています。
 労働者階級の自己解放闘争こそが、大恐慌情勢の下で生きることがたたかいそのものとなっている全人民の希望となっている、という星野文昭さんの訴えこそ、いま労働者階級が心底から求めているのです。

 この声と結びつくことこそ星野第2次再審闘争が勝利する道です。

 

     
現全国総会を踏まえて
         「一日も早い再審・無罪、釈放を」
                                    共同代表 平良 修
 

 2009年全国総会は、6月26日(金)~27日(土)に開かれ、113名が参加した。事務局提案の「総括と運動方針(案)」を軸に真剣な論議がなされ、支持され、7点にわたるまとめが決議された。以下、決議に至るまでの経過を超略述する。

   歴史的総会

 2009年総会は、歴史的総会であると位置付けられた。その点を「総括と運動方針(案)」は次のように述べている。

 「星野文昭さんは、徳島刑務所を自己の戦場に、新自由主義攻撃と闘ってきたのです。動労千葉の闘いが示す労働者の団結と共に闘っているのです。この中に、星野さんがなぜ明るいか、なぜ不屈に闘えるのかが示されています。私たちは、この地平で闘います。最高裁決定という形で示された国家意思を打ち破るには、『星野闘争』という枠の中だけで考え、闘うのでは、展望が開けません。星野文昭さんを取り戻すには、日本全体を揺るがす広範な闘いと結合し、私たち自身がその一翼を担うことが必要なのではないでしょうか。このことは、これまでの星野闘争を考えると、大きな飛躍です。しかし、この飛躍に挑戦する以外に、実際に星野文昭さんを取り戻す道はないと確信しています。これが2009年全国総会のテーマです」

 星野さんの主張が改めて確認された。「何より、救援の対象ということではなく、一体に、今の資本主義の世の中を変え、労働者の解放を通した人間解放を実現していく闘いを共に実現していくものとして星野を闘うということにこそ意味があり、そのように、共に闘う、一つに団結して闘う、ということの喜びがあります」、 
「総括と運動方針(案)」は、その上で「むすび」において、「全国総会に集まった私たちの目標はただ一つです。それは、一日も早い、星野文昭さんの再審・無罪・釈放です。星野文昭さんを、必ず、私たちの手に取り戻しましょう」、と訴えている。

   運動の方向性

 運動の方向性をめぐって 明確な路線として、全国の労働組合、学生青年との共闘が打ち出された。その方向を示すものとして「松川裁判闘争の教訓」が丁寧に語られ、労組、学生集団からの多くの連帯挨拶がなされた。この新しい方向性が示された結果、政治色が強く浮かび上がる構図になった。
 と同時に、星野暁子さんの「全ての人を解放するという政治思想に立つ運動の中で文昭を解放するという原則に立ちながら、自分の最も得意な方法で参与して欲しい」という趣旨のビデオメッセージに、市民運動の立場から大きな共感が示された。
 これまで、控え目であった政治色が前面に出る新しい方向性について、市民参加による運動の広さを要求する声が出たことに対して、「両者は対立するものではない。労働者や労働組合の闘いが中心に座ることで、もっと広い市民参加も可能になる」との反論がなされた。政治色を強く出す鋭角的運動にするのか、市民参加を容易にする鈍角的な手法でいくのか、両者をどう調和させるか、運動形成についてのこの基本的課題に適切に対処しなければならない。
 「総括と運動方針(案)」は、「冤罪」問題についての言及が不十分ではないか、との指摘があり、それとの関連で「冤罪」事件の観点から運動を広げれば市民の共感と参加を得やすくなる、との発言もあった。論議の後半で、激しい論争があった。運動を統一的に進めるためにはやむを得ない状況ではあったとしても、一部の会員たちにマイナス影響を及ぼしたかも知れないことを恐れる。

 (1)国家権力が末期症状を示している今、資本主義体制が崩壊し始めている今こそ、それらの権力構造を撃つ星野闘争は極めて有効な行動である。労働者、学生青年らの場に軸足を築く行動を展開しよう。

 (2)星野さんは、共謀共同正犯としてではなく、「実行犯」とされている。それだからこそK証人問題は形勢逆転の有効な手だてになる。

 (3)足利冤罪事件との関連で、DNAの精度の問題以上に、冤罪の温床である国家権力による代用監獄の反人権状況を強く問題にする必要がある。

 (4)心理学者厳島教授による鑑定書は今秋には完成予定。教授は、これまでの裁判調書を調べた結果、星野事件は典型的な冤罪事件の形になっていると認定している。鑑定書を武器に第二次再審請求を強力に進めていく。

 (5)共犯者以外の第三者による有力な目撃証言は逆に最高裁特別抗告棄却決定のネックになっている。

 (6)証人の言語は変わってきているが、星野さんの言語は一貫して不動である。だから確信を持って弁護することができる。

 (1)「権利としての仮釈放」を実現すべきという主張に対して、「仮釈放は星野さんに転向を要求することだ。星野さんは運動の力で解放されることを望んでいる」との強い主張がなされた。運動の根本問題にかかわる重大な意見であり、慎重な論議を要するところである。

 (2)柴田作治郎共同代表から、会の名称を「星野文昭さんに連帯する会」に変更する提案がなされた。「救う」というのは星野さんを辱める名称ではないか。「取り戻す会」よりふさわしい名称として「連帯する会」はどうかとの提案がなされたが、継続審議となった。

 (3)星野文昭さんの兄、星野治男さんが家族挨拶の中で、仮釈放でも良いから早く弟を獄から出してやりたいと切々と訴え、更に、党派が本気で運動するのなら、共同代表に党派の人も入れるべきではないかと発言したことが心に残った。更に従兄弟の星野誉夫さんからパンフレットは党派運動面からのものと市民運動面からのものとの二種類を作成してはどうかとの発言があった。

 (4)星野文昭さんの面会者が80人を超えた。このことの成果は極めて大きい。それまでは抽象的な人であった星野さんが、生身の人間として、響きあう仲間になった。この出会いによって自分自身の生き方が変えられた、救援運動への確信が持てるようになった、との報告があった。星野さん自身の励ましになったことは言うまでもない。面会の成果は大である。だからこそ徳島刑務所の面会不許可攻撃があったと考える。面会不許可攻撃は逆に救援運動を励ます結果となった。面会は刑務所の妨害に対抗して断固続行すべきである。

 (5)星野さんへの手紙(葉書)は、団結証明そのものである。まずこの一歩を確実に実行しよう。

 (6)23の救援会の中に労働組合、学生・青年集団への教宣活動をする確かな一人がいれば23名になる。私はその中の一人になることを宣言する。

 (7)その他、忘れがたい発言が多数あるが、もはや紙面がない。

 全国総会を踏まえて、一日も早く星野文昭さんを解放するために闘おう。
   


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